読者の皆さんは、自分が100歳になったとき、日々どんなふうに暮らしているか、想像したことがあるだろうか。
元気だけれど、足腰は痛むし思うように動かない
10年前に貯金が底をついて以来、離れて住む孫からの仕送りに頼っている
孫にはもう5年以上会っていない
毎日訪ねてくれる介護スタッフの名前が覚えられない
テレビを見たいけれど、買い替え時に同梱されていた「AIスピーカー」とやらの使い方が分からない
趣味を一緒に楽しんだ同年代の友人はもうこの世にいない……
記者が思い描いた自身の100歳は、日常生活に不自由を感じつつ、肩身が狭く、寂しく毎日をやり過ごしている姿だった。今、当たり前のように一人でできることが、誰かの手助けなしではできなくなってしまうのが、年を取るということなのだろう。
100歳まで生きられっこない。そう思う人も多いかもしれない。しかし、厚生労働省の調査では、100歳以上の高齢者は今年、全国で6万7824人と、この20年間で約6.7倍に増えた。
国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によると、2025年には13万3000人、2035年には25万6000人と今後も増加の一途をたどる。ちなみに90歳以上の高齢者は、2017年200万人、2025年(推計)312万人、2035年(推計)425万人と桁違いに多い。
誰にとっても他人事ではなく、すぐそこに迫っている「人生100年時代」の到来。そんな時代に、一人ひとりが自分らしく生き生きと暮らせる社会をつくろうと、福岡市が動き出した。
今年3月、「福岡市健康先進都市戦略」(通称:福岡100)を策定。「すべての市民がケアに参加」「デジタル時代の医療サービスを実現」「ケアテックベンチャーの拠点へ」「ケアの国際化を推進」といった7つの柱を掲げ、それに沿った100個のアクションプランを2025年までに実現していく考えだ。
若くて成長力のあるうちが勝負
なぜ今、福岡市がこうした取り組みを始めたのか。
福岡市は現在、人口の伸び率が全国でトップレベルだ。ただし、直近5年間で増えた7万5000人のうち、8割を65歳以上が占める。高齢化が急速に進んでいるのだ。
一方で、都市としての成長力を併せ持つのも特徴だ。税収は4年連続で過去最高を更新中。支店などの新規進出が相次ぎ、オフィス空室率はここ数年で大幅に低下した。同市はスタートアップの起業支援にも力を入れており、「開業率は全国トップ」と高島宗一郎市長は胸を張る。そうした強みを生かしつつ、個人と社会の幸せを最大化できる社会をつくろうというのが、「福岡100」を打ち出した狙いだ。
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