「人生100年時代」に挑む福岡市の本気度

100歳になったとき、自分はどんな生活を送っているのか

2017年11月6日(月)

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「人生100年時代」の到来は、我々にとって幸せなことなのか…

 読者の皆さんは、自分が100歳になったとき、日々どんなふうに暮らしているか、想像したことがあるだろうか。

 元気だけれど、足腰は痛むし思うように動かない
 10年前に貯金が底をついて以来、離れて住む孫からの仕送りに頼っている
 孫にはもう5年以上会っていない
 毎日訪ねてくれる介護スタッフの名前が覚えられない
 テレビを見たいけれど、買い替え時に同梱されていた「AIスピーカー」とやらの使い方が分からない
 趣味を一緒に楽しんだ同年代の友人はもうこの世にいない……

 記者が思い描いた自身の100歳は、日常生活に不自由を感じつつ、肩身が狭く、寂しく毎日をやり過ごしている姿だった。今、当たり前のように一人でできることが、誰かの手助けなしではできなくなってしまうのが、年を取るということなのだろう。

 100歳まで生きられっこない。そう思う人も多いかもしれない。しかし、厚生労働省の調査では、100歳以上の高齢者は今年、全国で6万7824人と、この20年間で約6.7倍に増えた。

 国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計によると、2025年には13万3000人、2035年には25万6000人と今後も増加の一途をたどる。ちなみに90歳以上の高齢者は、2017年200万人、2025年(推計)312万人、2035年(推計)425万人と桁違いに多い。

 誰にとっても他人事ではなく、すぐそこに迫っている「人生100年時代」の到来。そんな時代に、一人ひとりが自分らしく生き生きと暮らせる社会をつくろうと、福岡市が動き出した。

 今年3月、「福岡市健康先進都市戦略」(通称:福岡100)を策定。「すべての市民がケアに参加」「デジタル時代の医療サービスを実現」「ケアテックベンチャーの拠点へ」「ケアの国際化を推進」といった7つの柱を掲げ、それに沿った100個のアクションプランを2025年までに実現していく考えだ。

若くて成長力のあるうちが勝負

 なぜ今、福岡市がこうした取り組みを始めたのか。

 福岡市は現在、人口の伸び率が全国でトップレベルだ。ただし、直近5年間で増えた7万5000人のうち、8割を65歳以上が占める。高齢化が急速に進んでいるのだ。

 一方で、都市としての成長力を併せ持つのも特徴だ。税収は4年連続で過去最高を更新中。支店などの新規進出が相次ぎ、オフィス空室率はここ数年で大幅に低下した。同市はスタートアップの起業支援にも力を入れており、「開業率は全国トップ」と高島宗一郎市長は胸を張る。そうした強みを生かしつつ、個人と社会の幸せを最大化できる社会をつくろうというのが、「福岡100」を打ち出した狙いだ。

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「「人生100年時代」に挑む福岡市の本気度」の著者

内海 真希

内海 真希(うつみ・まき)

日経ビジネス記者

2009年日経BP社入社。医師・薬剤師向けの専門誌である日経メディカル、日経ドラッグインフォメーションを経て、2017年4月から日経ビジネス記者。電機、製薬、医療制度などを担当する。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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