セブンイレブン社長「24時間営業は絶対続ける」

ロイヤルティーの引き下げ、来店客にも恩恵

  • 藤村 広平

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2017年11月6日(月)

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 全国に1万9887店を展開し、コンビニエンスストアという業態を日本に根付かせた最大手、セブン-イレブン・ジャパン。古屋一樹社長に加盟店に対する支援策についての考え方や、24時間営業、今後の出店計画などについて聞いた。
古屋一樹(ふるや・かずき)氏
1982年セブン-イレブン・ジャパン入社。店舗運営部門を長く担当し、2000年取締役、16年5月に社長就任。67歳。(撮影:的野弘路)

人手不足など、コンビニ業界の「いま」をどう分析していますか。

古屋一樹社長(以下、古屋):セブンイレブンの看板を掲げれば自動的にお客さんが来てくれるような時代は、もう終わったと考えています。本当に良い店を作らない限り、もうお客は来てくれません。そのためにもチェーン本部と加盟店には、これまで以上の一体感が求められています。とても大事な時期に入ってきたと認識しています。

 マラソンと一緒ですよね。マラソンって序盤はみんなわーっと走り出して、誰でもいい走りをします。けれど相手を抜くチャンスが訪れるのは、苦しくなってきてからです。変化の大きい時代こそ踏ん張りどきです。加盟店にも本部社員にも、いつもそう話しています。

セブンイレブン本部は17年9月、加盟店から徴収するロイヤルティー(経営指導料)を一律1%引き下げました。加盟店オーナーからは、どんな声が届いていますか。

古屋:非常にポジティブです。先日も商品展示会があり、100人近いオーナーさんと会場で立ち話をしました。みなさん非常に好意的に受け止めていただいています。商売って、やはり気持ちがモノを言いますから。(オーナーの)気持ちが萎えると従業員にも伝わり、お店の雰囲気にも響きます。今回の引き下げを、店員が働きやすい店作りを進める原資にしてほしい。お客様に「感じの良いお店になったね」という形で伝われば、売り上げ向上にもつながります。

ロイヤルティー引き下げ、使い道は店次第

今回の引き下げは、店舗あたりで月6万〜7万円の支援に相当します。ただし引き下げの翌月(10月)には各都道府県で最低賃金が引き上げられました。計算してみると、1店舗あたりの人件費が数万円は上がったことになります。「1%」という引き下げ幅は不十分ではないですか。

古屋:必ずしも(最低賃金の改定に紐付けして)「人件費に充当してください」とか「充当してほしい」と考えているわけではないのです。もちろん人件費は加盟店にとって大きなコストですから、そこに充当していただくのでも構わない。けど基本的には働きやすいお店作りの原資です。これだけ多くの店舗がありますから、それぞれの事情によって使い道は色々あって良いと思っています。

古屋社長は経営方針を語る上でよく「拡大均衡」という言葉を使っています。拡大というのは、チェーン全店売上高が増えることを指すのですか。

古屋:いやいや、拡大均衡というのは一軒一軒のお店が積極的な商売を出来るようになるとか、いろいろな意味を含んだ言葉です。例えばレジカウンターでもっと積極的におでんや揚げ物をおすすめするとか、いままで5個しか売れなかった商品を、みんなで力を合わせて10個売っていこうと考えられるようになるとか。

セブン-イレブン・ジャパンが6月末、ロイヤルティーの引き下げを伝えるために加盟店に送付した文書。拡大均衡がうたわれている

チェーン全体だけではなくて、店舗ごとの売上高や利益も含むということですか。

古屋:そうです。それが積極的な接客、積極的な品ぞろえにつながります。まあ、社内用語ですけどね。

縮小均衡という言葉はよく聞きますが、拡大が均衡したら成長が止まるのでは。

古屋:いや違いますよ。まあ、(言葉については)あまり深く考えなくて大丈夫ですよ。

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