「AV男優」という職業
2現場目が終わったら今度は新宿のライブハウスでイベントの出演。
この日は「新人男優オーディション」というイベントで、公募した男優志望の男性の中から優勝者を決め、実際にデビューさせるという企画らしい。
言った通り、AV男優ってベンガルトラより少ないので僕らからすると危機感があるんですよ。新しい才能を育てないと、っていう。そもそも男優って全員一匹狼のフリーランスなんですね。会社なら毎年新人が入ってきて教育してっていうのがシステムとして成立するんでしょうけど、男優はそうじゃない。そもそも「どうやって男優になるのか」っていうことすらも普通の人には分かんないじゃないですか。
確かに。
女優さんなんかは事務所があっていろいろと相談に乗って貰ったり教育を受けたり、面倒なことから事務所が守ったりしてくれるんですけど、男優は良い意味でも悪い意味でも自己責任なんでお酒やギャンブル、女性問題で失敗する人も多いんですよ。僕もそれで2回くらい貯金がゼロになってますからね。盆・暮れ・正月が同時にきちゃって貯金がなくなったり…。そういう問題を回避するために男優同士の繋がりでお互いにバックアップできれば良いなと思って。
なるほど。男優さん同士の繋がりって強いんですか?
そうですね。今でもそれは強いですね。いかんせん70人しかいない、狭い村社会なんでどの現場言っても知り合いがいますから。誰かが何かをやらかすと、『○○が××したらしいよ』って3日くらいで全員に回るようなコミュニティです。
ふーむ、引退した男優さんってどうなるんですかね…?
それがね、AV男優ってそもそもできて33年しか歴史がない職業なんで、まだ手探りの段階なんですよね。引退したらどうするか、っていうのは、チョコボール向井さんなんかは自分のお店出したりしてますけど、いきなり飛んじゃって何してるか分からない人もいますし、警備員の仕事してる人もいます。あんまり良い晩年を送ってる人はいないかもですね…。トップ級の人は確かに稼げるんですけど、入った分だけ使う人も多いですから。
ほんとに全部自己責任なんですね…。
そんなわけで本日主催のベテラン男優・吉村卓さんの司会でイベントがスタート!
集まった5人の男優志望者から優勝者を決める!
この日は人形を使った実践テストや知識テスト…、
「野菜図鑑」を見て勃起させられるかという勃起力テスト…、
そしてお手製の「ウ○コ味のカレー」を食べることでどれだけ気合いが入っているかを検証。
なぜか僕も檀上で食べさせられました。
死ぬほどマズイです。
そんな各審査を経て優勝したのがこちらの「まどわく」さん。
彼の雄姿を画面で見る日は近いかも知れない
イベントが終わるとファンとの撮影会。
ちなみにしみけんさんは一番人気で、この日も最後まで残って撮影。
大ベテランから見た「しみけん 」
しみけんさんって、吉村さんから見てどうですか?
真摯な姿勢とかストイックなところはスゴイよね。あれだけやれるやつはなかなかいないし。今後の業界を背負って立つ人間だと思うよ。
しみけんさんがさっき「男優が引退してからどうするか」がまだ模索してる段階っておっしゃってたんですけど、吉村さんもいろいろ考えてらっしゃったりします?
そうですね。「株式会社YOSHIMURA」っていうのを立ち上げたんですけど、やっぱり男優さんって引退してから身の振り方を悩む人が多いんですよ。そういう人の受け皿みたいなものを作れたらな、って思うんですけどね。
ちなみに吉村さんは「吉村卓チャンネル」というニコ生のチャンネルを持っていて、今回の男優オーディションの様子を実況したり、性感染症の予防を啓蒙するような活動をやっていらっしゃるそうです。
でも、こういうのって全部インターネットのおかげなんですよね。SNSで情報を発信できるようになったのは大きい。
あーそれは確かにそうですね。僕も細々とライターみたいなことしてますけど、インターネットがなかったら絶対成立してないです。
ですよね。こういうツールと、知名度みたいなものを活かして活動を続けたいなと。まあ僕はあんまり業界に残りたい、とかは思ってないんで、またちょっと違うフィールドに行けたらな、って思ってます。それで後輩とかを導いていって、何かしらの指針になると良いですね。
でもあれですね。今日のイベントを拝見したり、しみけんさんに一日密着していて思ったんですけど、男優さんってエンターテイナーじゃないとやっていけないですね。
エンターテイナーかぁ。まぁエンターテイナーなんでしょうね。やっぱり人に喜んで貰うのが好きなんですよきっと。いろいろ大変な職業でもありますけどね。
そんなわけでイベント会場を出たらもう夜の11時。
ファンからもらった大量の差し入れを手にしみけんさん。
いやー、朝からお疲れさまでした!
いつもこんな感じなんですか!? 朝から晩まで出ずっぱりじゃないですか!
まぁだいたいこんな感じですね。でも、そろそろムラムラしてきません?
しないです。疲れてそれどころじゃない。くっついてるだけの僕でも結構疲れたのに…。
意外と性欲ないんですね。
普通です! でもあれです。一日密着してて思ったのは、しみけんさんって本当に根っからのエンターテイナーなんですね。
そうですか?
そうですよ。くっついてる僕も楽しませようと変な話をいろいろ教えてくれるし、ファンサービスもすごいし、イベントなんてハッキリ言ってあんまり儲かるものでもないのに忙しいスケジュールを縫ってファンサービスしてるわけでしょう。普通の人にはなかなかできないですよ。
まぁやっぱり、楽しいんですよね、仕事が。お金はあんまり関係ないです。好きなことをさせてもらって、それでお金まで貰えるってすごくありがたいですよ。
だからこそやっていけるんだろうなぁ…。
じゃあ僕、帰ってオナニーしますので! 今日はありがとうございました!
「いろいろと濃すぎたし、この記事、過去最高級に長くなるな…」
…と、いうわけでカリスマAV男優の一日、いかがだったでしょうか。
ちなみに本当に濃すぎて書ききれなかったことを、ここで箇条書きにしたいと思います。
・しみけんさんは女性に「事業で失敗して2000万の借金を背負った」と嘘をついたら、一気に周囲から女性がいなくなって女性不信になったことがある。
・好きな女性のタイプはブス、デブ、ババア。
・初体験は地元のゲーセンでナンパした同い年のヤリマン。
・男優デビューの時に監督から「ウ○コ食べられる?」と聞いて「食べます!」と答え、実際に食べたら体調を壊して治療費でギャラが全部消えた。
・冬場の撮影現場の敵は「焼き芋」の移動販売。音が邪魔になるのでADが走って追いかけて全部買い占めて別の場所に追い出すらしい。その日は机に焼き芋が並ぶ。
・沖縄とか海外でのロケは、製作費の削減で何本も一気に撮るのでリゾートどころの話ではない。
・「変わった喘ぎ声」ベスト1は「ワカッタワカッタおばさん」。挿入中ずっと「あーわかった。わかったわかった」と言ってるそうです。
・売れっ子男優・森林原人はニューハーフに掘られたあとに車でオカマを掘った。
・吉村卓さんは中国人の女性に入れ込んで2000万も貢いだのに、その女性が「アナタノコドモヨ」と言って見せてきた子どもが全然違う顔だった。
などなど。
いやーほんとにすごいわ。
しみけんさんは「新人男優を育てたい」とおっしゃってましたが、この記事を公開したら「とてもじゃないけど俺にはできない」って尻込みする人が増えそうな気がしないでもない。
ちなみに撮影現場は全部「男子校っぽさ」がすごかったです。
色っぽい現場のはずなのに、男優さん同士のやりとりとか、ADさんとのやりとりなんかは完全に男子校のそれ。こうやって作ってるんだなぁ…。
そんなわけで本日密着したしみけんさんの新刊、「光り輝くクズでありたい」は本日発売です!
「もうじゅうぶん光り輝くクズだわ」と思わなくもないのですが、これだけエンターテイメントに特化したしみけんさんが書いた本なのでおもしろくないわけがない!
「AV男優」という職業に興味がある人もそうじゃない人も、この機会に手に取ってみてはいかがでしょうか!