2023年春の福井県内延伸へ向け、北陸新幹線のつち音が響く県内。一方で、惜しまれつつ廃線になった路線も多くある。鉄路として地図上から消えた路線の今をたどってみると、その場所は形を変えながらも生活に密着していることがうかがえる。廃線だからといって、捨てたもんじゃない。
県内の廃線活用策として有名なのは、旧北陸線の今庄―敦賀間のトンネル群だ。15年に13件まとめて国登録有形文化財となり、観光資源としての価値が急上昇した。
トンネルが多く残る県道今庄杉津線を歩くツアーを、旅行会社クラブツーリズムが関西・中京発で販売し人気を集めている。今年3月には南越前町が蒸気機関車D51を模したバスを導入、観光に活用されている。同町観光まちづくり課の大霜求己課長は「(旧北陸線の遺産が多く残る)敦賀市や滋賀県長浜市とともに広域観光開発できる可能性が高い。鉄道遺産をより感じられるよう周辺整備を進めたい」と話す。3市町は10月19日、鉄道遺産などを生かした広域観光を推進する連携協定を結び、協議会を設立した。
県内の廃線はどれくらいあるのだろうか。福井大地域環境研究教育センターの研究紀要「日本海地域の自然と環境」03年版にある服部勇・同大教育地域科学部教授(当時)の記事「鉄道廃線跡」によると、その延長は100キロを超えるという。線路撤去後の跡地の運命は▽全く痕跡もなくなる▽放置され続ける▽一般道路として再利用▽住宅になる―の4通りあるとしている。
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