「72時間TV」元SMAP3人と森且行で「視聴者数6000万人」キー局真っ青
「ふざけんな!と思った。これからだと思ったし、なんで言ってくれなかったんだって」
今から21年前、下積みを重ねたSMAPにようやく人気が出始め、まさにこれからという時、メンバーの森且行から脱退を知らされた当時の香取慎吾が思ったというホンネだ。しかし、森もまた、思い悩んでいたという。子供の頃からの夢であるオートレース選手になれる最後のチャンスを逃したくはなかったし、いまSMAPを抜けていいものか――。
これが生で放送されたのが、インターネットテレビ局AbemaTVの「稲垣・草なぎ・香取3人でインターネットはじめます『72時間ホンネテレビ』」。ジャニーズ事務所を去った元SMAPの稲垣吾郎(43)、草なぎ剛(43)、香取慎吾(40)の3人による11月2日午後9時から3日間、ぶっ続けの生放送である。放送は同局社長である藤田晋(44)の持つ軽井沢の別荘から始まった。都内に移動し、脚本家の三谷幸喜(56)や山田孝之(34)、市川海老蔵(39)らをゲストにトークを繰り広げた。
3日夜に堺正章(71)と行われたトークの舞台は六本木の焼肉店「An」で、ここはSMAPが解散した昨年12月31日に、稲垣・草なぎ・香取と中居正広(45)、森且行(43)、平たく言えば木村拓哉(44)を除いた元SMAPが食事をした曰く付きの店である。そこではかつてザ・スパーダースの元祖アイドルともいえる堺から、グループ解散後の個々の生き方についてのアドバイスに神妙に耳を傾ける3人の姿があった。しかし、「木村君にも中居君にも頑張ってもらいたい」との堺の言葉に3人は反応を示さない。彼らから「SMAP」という言葉すら発せられることはなかった。
「森くん」のキーワードが世界1位を獲得
翌4日、3人は浜松オートレース場に現れる。画面には「このあと21年ぶりに共演」と謳われ、番組最大の目玉である森との対談に期待は高まる。ツイッターと連動した書き込みには「森くん」の文字が躍り、ついに“世界のトレンド”で「森くん」のキーワードが世界1位を獲得までに。3人は、選手として出場する森の車券を1万円ずつ購入。残念ながら森は8位に終わるが、その後に森を交えて始まったトークが冒頭のホンネだ。
香取「帰り道でね、泣きながら叫んだような気がする。でもね、『こうしたいんです!』って森くんから聞いて、その思いはなくなった」
森「本当に迷惑かけたと思う」
香取「森くんが居なくなって大変だった」
草なぎ「歌が上手かったからね」
稲垣「俺はパートが増えたんだよ」
森が加わった時点での累計視聴者数は3800万人だったが、3時間後には4300万人を突破。あくまで累計での数字だが、500万人が増えたのである。
5日に入ってからも数字は着実に増え、午後1時に6000万人を超えた。ITジャーナリストの井上トシユキ氏もこれには驚く。
「3時間も話し続けられるのが、カッチリした枠を持つ地上波とは異なるネット放送の強み。とはいえ、6000万人という数はテレビ局にとっては新たな脅威として認識されるでしょう。いくらスーパーアイドルSMAPの元メンバーとはいえ、いわば四十を過ぎたオッサンたちの井戸端会議を延々と3時間。しかし、これを見たかったという視聴者がこれだけいるわけです。地上波のような作られたものではなく、多少の台本はあったのかもしれませんが、素の姿が見られる放送がネット放送には合いますから。つまり民放が抱えていた企業広告が流れる可能性がある」
将来性は地上波以上?
AbemaTVは無料で視聴が可能だ。同社は民放地上波と同様、その収入の大半はCMで賄われる。現在、トヨタや楽天、JT、docomo、auといったCMも入っているが、自局の番組宣伝であるいわゆる自社広が目立つ。
「藤田社長は年間200億円の赤字と言っていましたが、今後はそれも変わってくる。登録者が増えれば、視聴者層から商品のターゲットも絞れます。企業にとって、地上波とは明らかに異なるメリットです。乗っかりやすい企業が増えることは間違いない」(井上氏)
一方、在京キー局の編成マンは青ざめる。
「視聴率は1%=100万人と言われています。5日午後で6000万人だと単純計算すれば60%です。が、元の数字が延べ人数ですから意味がありません。多分、リアルタイムの視聴率を推計すると、6~7%程度ではないでしょうか。ネット視聴者層は若年層であり、50歳以上の女性F3層、男性M3層となるとまだまだ地上波に分がある。潜在的には1.5倍ないし2倍の視聴率が望めます。これを見せつけられたら、彼らにオファーしないわけにはいきませんよ。ジャニーズは面と向かって言わないでしょうが、共演NGなどチラつかせるかもしれませんけどね」
11月5日にはゲストに佐藤浩市を招き、香取は来日したばかりのトランプ大統領に扮して浅草雷門を練り歩くなどして、午後1時頃に6000万人を超えた。はたして、番組終了の午後9時までに何人が3人を見ることになるのだろうか?
「週刊新潮」WEB取材班
「週刊新潮」2017年11月5日 掲載