Amazonでは1,000円以下でUSB 3.1対応のC to Cケーブルが売ってたりしますが、ロクなものではない可能性が高いので注意しましょう。
USB 3.1対応のC to Cケーブルは高い
C to Cケーブルは『USB 2.0対応品』と『USB 3.1対応品』の2つに大きく分けられます。
この2種の価格を比べてみると基本的にUSB 3.1対応品のほうが高価であり、メーカーによっては2倍以上の価格差がついていることも珍しくありません。
例として、AmazonベーシックのC to Cケーブルを比較してみます。
2017年11月4日時点では、USB 2.0対応品が333円、USB 3.1対応品が1,475円となっています。2倍どころか4倍以上の価格差ですね。
このように明らかな価格差があるC to Cケーブルですが、なぜこんなにも価格差があるのでしょうか。
USB 3.1対応品が高い理由
USB 3.1対応品が高価な理由ですが、先に答えを言ってしまうと『全てのUSB 3.1対応C to CケーブルにはeMarkerが内蔵されているから』です。
eMarkerとは
eMarkerという単語を知らない方も少なくないと思いますが、eMarkerとは『C to Cケーブルに内蔵されているICチップ』です。
両端がUSB Type-CであるC to Cケーブルは、USBのデータ転送だけでなく、USB PDでの大電力の供給や、Alternate ModeによるUSB以外のデータ転送にも使われます。そのため、ケーブル自身が接続している機器に対して『XXボルトYYアンペアまで対応しています』『データ転送速度は最大ZZ Gbpsです』といった情報を通知する必要があります。
そういったケーブルの電気的特性を通知するために内蔵されているICチップがeMarkerです。
eMarker搭載はコスト増
こういった役割を担うeMarkerですので、当然汎用品を使うというわけにはいきません。製品ごとに対応している電圧・電流は異なりますし、データ転送速度も同じとは限りません。
ついでに言うと、eMarkerにはUSB-IFの認証を取ってあるケーブルのためにProduct IDやTest ID、XIDなんかを入力する領域も用意されています。そういった意味でも、異なる製品でeMarkerの使い回しというのはできません。
そんな事情がありますので、eMarkerを内蔵しているケーブルが内蔵していないケーブルと比べてコストの掛かる製品であることは想像に難くありません。
USB 3.1対応のC to CケーブルはeMarker必須
コスト増の原因となるeMarkerですが、USB 3.1対応のC to Cケーブルには必ず搭載することがUSB Type-Cの規格で定められています。
このように規格で必ず内蔵することが定められているため、USB 3.1対応品はどうしても高価になりがちです。
1,000円以下のUSB 3.1対応品
高価になりがちなUSB 3.1対応のC to Cケーブルですが、Amazonを見てみると1,000円以下のものがチラホラあったりします。
例えば以下のAUKEYのCB-CD7というケーブルは、2017年11月4日時点で499円という破格で販売されています。
いったいどうやってこの価格を実現しているのでしょうか。『USB Type-Cで困ったらこの人!』ということで、Googleのエンジニアにして規格違反のUSB Type-C製品をぶった切りまくっているBenson氏のレビューを見てみます。
Aukey CB-CD7 violates the USB spec; Fails in Alternate Modes because of missing wires, and missing required e-marker.
(略)
2. Missing required e-marker electronic identifier chip
USB Type-C Specification Section 4.9 “Electronically Marked Cables” states, “All USB Full-Featured Type-C cables shall be electronically marked.”In my testing with a Twinkie PD Analyzer and the Total Phase Advanced Cable Tester, this cable lacks the required e-marker entirely, and will not work with sources and sinks that depend on checking the capabilities of the cable using the identifier chip.
(略)
なるほど。AUKEYのCB-CD7はUSB Type-Cの規格を無視してeMarkerをケーブルに内蔵しないという画期的な方法でコストを削減し、499円という驚きの格安プライスを実現しているようです。
加えて、規格で定められているピンのうち配線されていないものが6本あるらしく、Alt Mode等で正常に動作しないことも合わせて指摘されています。
AUKEYの他のケーブル
Benson氏によるとAUKEYの他の自称USB 3.1ケーブルも規格違反らしいので、Amazon.co.jpへのリンクとともに紹介しておきます。どちらのケーブルも、上記のCB-CD7と同様にeMarkerなし、ピンの配線なし、という欠陥品のようです。
- CB-CD8: Amazon.co.jp / Benson氏のレビュー
- CB-D36: Amazon.co.jp / Benson氏のレビュー
所感
さすがAUKEY!
他社が考えもしない方法でコストを削減!
そこにシビれる!あこがれるゥ!
※当ブログのUSB Type-C関連記事がお役に立ちましたら、hanpenblog[a]gmail.com宛に100円ぐらいAmazonギフト券を送って下さるとやる気とUSB Type-C製品の購入資金に繋がります。