ねこやまローカボ日誌

美味しいご飯を気にせず食べたい、食べさせたい。だから厳選ローカボレシピを紹介させて。

中国旅行記② 語彙力0の町中探索と、初の快適新幹線(北京~平遥古城編)

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10月13日金曜日。

 

中国旅行も早くも2日目となり、少し寂しくなってしまう。

残り13日だと考えると、がむしゃらに遊ぶ意欲が溢れてくる。

 

初めての異国の地、北京で一晩の宿を取る。

そしてまだ見ぬ世界遺産 平遥古城へ向かう、2日目。

 

私は快晴の天候に恵まれて、北京の街に一人繰り出した。

その目的は、相方にあの回復剤を届けるためである。

 

 

これは遅めの夏休みを使った、2週間の中国旅行記

皆様に少しでもお楽しみいただければ、最高に幸せだ。

 

前回までの旅行記はこちら

 

 

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語彙力ゼロの北京初めてのお使い

語彙力ゼロの北京初めてのお使い

 

朝7時。

 

外から何か、すごく大きな話し声が聞こえてくる。

室内テレビかと間違えるほどの臨場感に、扉を閉め忘れたかと思ってしまった。

 

しかしそれは、部屋に隣接する広場からの声だった。

僅か扉の15cmほどの向こうで、宿泊先の方々が食事をされているのだ。

 

その大きな談笑の意味は全く分からないが、美味しそうな香りは全世界共通だ。

炒め物の香りと共に、お茶碗と箸がカチンとぶつかる音が響いている。

 

 

二日目の開始である。

 

進研ゼミの主人公並に、私はすこぶる元気だった。

飛行機の中でも良く寝たし、寝不足とは程遠い体調である。

 

よく考えれば昨日北京に到着し、まだ何も中国らしいことをしていない。

使った中国語も啤酒(ビール)のみであり、物足りなさは計り知れない。

 

 

でも、まてよ…。

 

私は何か、大切な事を忘れているような感覚だった。

いつもの海外旅行の朝と違い、確かに何か違和感を感じるのだ。

 

 

そうだ。

相方もちこの胃腸破壊だ。

 

いつもならBIGBANの音楽と共に飛び起きる、もちこの気配を感じない。

彼女は果たして、この8時間で復活したのだろうか。

 

答えは一目瞭然

 

そこにはゴマちゃんのように横たわる、ユニクロに包まれたもちこがいた。

完全にノックダウンされた彼女は、もはやゴマちゃんよりゴマちゃんである。

 

 

こ、これはあかんでぇ。

 

謎の関西弁を使う余裕はあるものの、エネルギー切れは一目瞭然だ。

しかし熱や腹痛、不快感などは一切なく、ただ胃腸が機能していないようだった。

 

同じ症状だった彼女の旅の相方も、同じように約3日間消化機能を失っていた。

そのためもちこもまた、その回復期真っ只中なのだと思うことにした。

 

食べ物は一切消化されず、水分もダイレクトに排出されている。

しかしそれでも、何か水分を補給した方が良い。

 

指示を仰ぐ医師も存在せず、尚且つここはかなりの田舎地域

外から聞こえる牛の鳴き声から、近隣の病院もあまり有効だと思えない。

 

そもそもあと数時間で、私たちは新幹線に乗らなければならない。

もちろん最悪の場合は救急車を呼ぶが、もちこ自身も断固拒否している。

 

しかし、この状況がキツそうなのも事実である。

私はもちこに、何か必要なものがあるかを尋ねた。

 

 

ねこやま…。

アレ買ってきてけろ…。

 

 

アレ?

アレとは何だろう。

 

体調が悪い日に、無性に食べたいもの。

まさか天下の宝刀、チキンラーメンのことだろうか。

 

いや今のもちこは、一切食事を受け付けない。

飲み会の〆で活躍する、チキンラーメン先生の可能性は極めて低い。

 

一体なんだ…。

もちこは何を求めているのだ…。

 

( ゚Д゚) ハッ!!

 

そうか。

脱水症状・胃腸風邪・消化不良と来たならば。

 

答えはあれである。

みんな大好きポカリスエットだ。

 

そう問い返すと、相方は大きく頷いた。

そうそうそう!という感じに布団が揺れ、彼女は布団に再度もぐりこんだ。

 

 

なるほど、なるほど。

なんとも冷静な判断である。

 

北野武さんが宣伝されていたように、あの飲み物なら世界中にあるはずだ。

インドでも売られているCMも拝見したし、この北京にもきっとある。

 

よし、任せておけ。

中国語が話せない以上、私は行動力で貢献しよう。

 

見事ポカリスエットを発見し、ここに持ち帰ろう。

そして貴殿の胃腸を、世界で一番体に近い水で癒して見せよう。

 

 

私は小銭を握りしめ、ホテルの外に飛び出した。

いざ初めてのおつかいin北京☆成人編の始まりである。

 

語彙力皆無で挑む初めてのお使い

語彙力皆無で挑む初めてのお使い

 

ホテルの外は、心地良いほどの快晴

軽い空腹感を感じつつ、久しぶりの土の道路を噛みしめる。

 

まるで良き昭和時代にタイムスリップしたような、何とも言えない懐かしさ。

明らかに服装の異なる私は、結構な浮きっぷりである。

 

道路でめんこに興じる子供達や、壊れかけのスクーター軍団。

ここではまるで挨拶のように、バイクのパッシングが飛び交っている。

 

恐らく道が狭いため、鳴らしまくったほうが逆に安全なのだろう。

それほど小道が乱立し、あらゆる方向から子供たちが突進してくる。

 

語彙力皆無で挑む初めてのお使い

 

そして疑問に感じるほど、無数の公衆トイレ。

それは大げさではなく、50mに1個くらいの驚異の厠数である。

 

それほどこちらの人々は、トイレを必要とする機会があると言うのか?

確かに食事を沢山召し上がる国だと伺ったため、それ故の政府の政策なのだろうか。

 

 

そしてその公衆トイレの扉には、仕切りは一切存在しない。

個室という概念はなく、完全にシースルーな構造になっている。

 

もし私が今、神のいたずらで猛烈な便意に襲われたなら。

私はこの地域の人々に、私の全てを見てもらうになる。

 

おおう、なんと刺激的なのだ。

これは是非とも、謎の便意に包まれてみたいものである。

 

 

いやいや。

そんな冗談を言っている場合ではない。

 

宿泊先では、弱ったゴマフアザラシが私の帰りを待っているのだ。

早急に市内のお店を散策し、ポカリスエットを購入しよう。

 

語彙力皆無で挑む初めてのお使い
語彙力皆無で挑む初めてのお使い

 

街を彩るカラフルな建物や洗濯物を眺めながら、私はお店を散策した。

意外なほどに綺麗な街の色合いに、いくらでも歩いていたくなる。

 

珍しそうな視線の現地の方に挨拶をすると、心地良い笑顔を向けてくれた。

どうやらモーニンは、全世界で共通の挨拶みたいである。

 

少し涼しい風を楽しみながら、ふともう少し散歩したいと感じてしまう。

しかしお散歩は、ポカリミッションのクリア後のお楽しみにしよう。

 

地元の駄菓子屋さんでの出会い

 

さらに約15分ほど散策すると、ふと地元の子供達と目があう。

もっふもふの犬を撫でまわす彼らは、地元の駄菓子屋さん風の軒先で遊んでいた。

 

そしてその中にふらりと入ると、ついに私は飲み物を発見した。

謎のお酒から謎のリッツ的お菓子まで、完全にミニコンビニと言った感じである。

 

語彙力皆無で挑む初めてのお使い

 

そしてその中で、ついに私はあのお馴染みの飲み物を発見した。

名前こそ違うものの、そのビジュアルは間違いなくヤツである。

 

青色のフォルムに、白濁&透明の中身。

これぞ世界で広く活躍する、世界で一番体に近い水だ。

 

語彙力皆無で挑む初めてのお使い

 

もはや漢字で書けない、宝石〇力水徳。

これぞ間違いなく、幼少期の風邪っぴき時期に飲まされたアレである。

 

目の前に積まれた、常温ポカリスエット

子供たちが買いたい可能性も考慮し、6本中3本を掴んだ。

 

常連お爺ちゃんが桃らしきものを買うのをじっと待ち、お店の方に手渡す。

そしてポカリを手に入れた有頂天の私は、一気に現実に引き戻される。

 

 

这是12元,有没有包?

 

…( ゚Д゚)?

 

 

完全に忘れていた。

私は中国語が、全く喋れないことを。

 

そして同時に、全く聞き取れない。

この飲料の価格が分からない私は、もう恰好のぼったくり対象ではないか。

 

もし1本10元だと言われても、全く気が付かない。

それどころかああそうなのかと思ってしまうほど、貨幣感覚もまだ備わっていない。

 

何というカモ。

何という葱のしょいっぷりだろう。

 

ただ昨日のビールが6元だったことを思い出せば、それ以上と言うことは考えづらい。

しかしここは値段も確認できぬ、田舎の小さなお店である。

 

もし30元を渡して、一元も返ってこなかったらどうしよう。

それはつまり、一本10元の超高級ポカリだということになるのか。

 

いやこれは、一つの教訓と反省である。

語学の勉強を怠った事実を、甘んじて受け入れようではないか。

 

 

そんな事を考えながら、私は首をかしげてみた。

ごめんね言葉分かんないんだ的な雰囲気を出し、30元(10元3枚)を手渡した。

 

もし一元も帰ってこなくても、これはおばちゃんのせいではない。

中国語が離せない私に対する、パンダの鉄槌である。

 

 

しかし私が話せない事を察しても、おばちゃんは尚ひるまない。

喋れようが喋れまいが関係ないと言わんばかりに、ビシバシ話しかけてくるのだ。

 

もはやこれは恐らく、ポカリの値段の話ではない。

私のマフラーを触りながら、いいねこれ!的にバンバン喋り倒してくる。

 

挙句の果てには、常連のお爺ちゃんも何やら笑っている。

先ほどかった梅をかじりながら、謎の言語を浴びせかけてくるのだ。

 

 

(´◉◞౪◟◉;)

 

こんな顔をしている私に、おばちゃん軍勢の猛攻は止まらない。

子供達もコイツ話せねぇ外人だぁ!と言わんばかりに、次々お店に飛び込んでくる。

 

 

もはやこれまでか!

 

そう思った時、おばちゃんは私に大きな紙袋を手渡した。

そこには3本のポカリと、18元のお釣りが入っていた。

 

そして耳馴染みのあるリーベン(日本人)?の一言が耳に入った。

そうだよ!と日本語で答えると、また来てね的な笑顔を見せてくれた。

 

嬉しくなった私は、追加でビールも購入した。

500mlで6元のビールは、朝の一杯にしても許されるだろう。

 

お値段(1元17円で換算)
  • ポカリ350ml 4元(約68円)
  • ビール500ml 6元(約102円)

 

そして子供達にも挨拶をし、モフモフの犬に隠れていた真っ白な猫を撫でた。

全く人を恐れない、凄く毛並の綺麗な猫である。

 

しかしすぐに、もちこが猫アレルギーである事を思い出した。

そのため先ほどのトイレに向かい、撫でた手を良く洗っておいた。

 

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偶然出会った地元ご飯、「吃过烤冷面」

 

そしてその直後、私は強烈な空腹感に襲われた。

まるで孤独のグルメを彷彿させるほどの、立ち尽くすレベルの空腹感である。

 

よく考えたら日本を出発してからの約16時間、煎餅3枚しか食べていない。

これは早急に、何か食べなければならない。

 

 

しかし、先ほどの店に戻ってお菓子を買うのはどうだろう。

こいつどれだけ素直にまた来てんだ!?と思われる恐れも激高だ。

 

これは何とか、近くのお店で食べるしかない。

もちこは食事がとれないため、お店に連れて行くのも申し訳ない。

 

 

そう考えた私は、帰り道で食べるところを探した。

しかしメニューも全くない、超現地感溢れるお店ばかりである。

 

談笑するジモティ―に紛れて、小籠包を頼めるのか?

それ以上に残り18元(約300円)で、果たして足りるのか?

 

もし頼んでたりなかったら、走って逃げるしかないのか?

いやそんな罰当たりな事をするくらいなら、空腹のままで結構である。

 

 

そんな自問自答をしながら道を歩いていると、不思議な光景に出くわした。

それはに向かって話しかけている、一人のおばちゃんだった。

 

なんだなんだ。 

なぜこの人は、に向かって話しかけているのだ。

 

もしやこの国では、壁と話せる人など珍しくないのか。

今日もカッチカチだね!などと、談話できるレベルは当たり前なのか。

 

 

そんな疑問を感じつつ近づいてみると、その理由がはっきりした。

その壁の向こうには驚くほど小さな小窓があり、お店が開かれていた。

 

偶然出会った地元ご飯、「吃过烤冷面」n

 

僅かな隙間に、ずらりと並ぶ謎のメニュー。

そこの窓の中では、一人の女性が美味しそうなご飯を作成している。 

 

出来上がりを待つ先ほどの壁おばちゃんに、思わず話しかける。

ハオツ―?(美味しい?)的な事を聞きまくれば、きっと何かしらコミュニケーションできるだろう。

 

 

もちろん、壁おばちゃんは完全にポカーンとしている。

なんだこの頭のおかしい日本人は?という感じで、少し笑っていた。

 

それでも尚、私はこの謎の食べ物が欲しいのだ。

と言うよりも、今あなたが買ったご飯を、ものすごく食べたいのだ。

 

壁の向うからご飯を受け取るや否や、モリモリ食べ始める壁おばちゃん。

見たこともない、お好み焼きとパスタのハーフの様なお料理である。

 

 

身振り手振りで食べたい意思を伝えると、壁おばちゃんはメニューを指さした。

すると私が食べてるのはこれよ!と言わんばかりに、謎の料理名を連呼していた。

 

偶然出会った地元ご飯、「吃过烤冷面」

 

そして私も、そのメニュー名を反復して口に出す。

するとそうじゃないわよ!と、何度も繰り返しリピートしてくれた。

 

壁に貼られたメニュー表を指さし、何度も発音してくれるおばちゃん。

私の公文式の先生ですら、これほど熱心ではなかったに違いない。

 

そして判明した謎の料理名は、吃过烤冷面

わずか5元で売られている、どうやらジモティ―大好きな食べ物の様だ。

 

 

食べたいなぁという顔をすると、おばちゃんは店の人に同じ物を注文してくれた。

そして先ほどの吃过烤冷面を食べながら、颯爽と黒いワンコと去って行った。

 

私は先ほどのポカリの袋から5元を出し、壁の中の店員さんに渡した。

何やら沢山質問されたが、とりあえずうんうんと頷きまくっておいた。

 

偶然出会った地元ご飯、「吃过烤冷面」

 

腹ペコの体に沁み込む、最高に香ばしい香り

この旅はじめての中国ご飯に、もうワクワクも暴発しそうである。

 

クレープのように薄く伸ばした玉子に、パスタの様な生地を乗せる。

さらに乱切りにされた玉葱らしき野菜を、豪快に振りかける。

 

白と黄色の混じった薄焼きタマゴに、辛そうなトンカツ風ソースがかかる。

もはや50元でも大人買いしそうなビジュアルに、私は勝利を確信した。

 

偶然出会った地元ご飯、「吃过烤冷面」

 

そして手渡される、屋台のかき氷風の器。

まるでパスタなその逸品は、モリモリの唐辛子が内在されていた。

 

後で聞いた話では、先ほどの質問はどうやら辛いのを入れるか?の意味だったらしい。

そして激しくうなずいた私には、最大級の唐辛子がサービスされていたようだ。

 

しかしこれは、モチモチで美味しい。

柔らかな卵の中にきしめん風のパスタが入り、ピリ辛味噌的な濃い目の味付けである。

 

完全に生の玉葱のアクセントも、なかなかグッとくる。

これは職場の近くにあれば、月3程度の絶妙な頻度で購入するだろう。

 

量もおやつ感覚的であり、現地の子供たちに人気を博しているに違いない。

しかし今は激安と感じるこの5元も、食事としては平均的なのだろうか。

 

そしてここから急展開する、食事の値段感覚

私はこの中国の旅で、その激しい価格変動に悩まされることになる。

 

お値段(1元17円で換算)
  • 吃过烤冷面 5元(約85円)

 

いやぁ、なんとも素敵な朝ご飯を楽しむことが出来た。

これぞジモティ感を楽しむために、最高の朝食である。

 

壁おばちゃん、喋れぬ私を助けてくれてありがとう。

私はパスタ麺をパクパク食べながら、宿泊先へと戻って行った。

 

ホテルからタクシーで北京西站へ

ホテルからタクシーで北京西站へ

 

宿に戻ると、ノックアウトされながらも着替えを済ました相方もちこがいた。

お気に入りのおもちゃ風スマホケースを片手に、撮りためた写真を眺めていた。

 

決して可愛いくないおっさん風の横たわり方は、きっと胃腸破壊ゆえなのだろう。

そう信じることにした私は、先ほど購入したビールを開封した。

 

ホテルからタクシーで北京西站へ

 

この懐かしさすら感じる、取り外し式のプルタブ

小学生の時には、良くこのプルタブを飛ばして遊んだものである。

 

しかし、ちょっとまてよ。

これが昭和時代から売れていない商品ではないのか?

 

懐かしさを感じるとかではなく、ガチで懐かしい商品の可能性はないか?

あの小さな商店なら、失礼ながら無くはないお話である。

 

 

慌てて裏面を眺めると、思いっきり上部から顔面に向けてビールがこぼれだす。

さらに慌てて製造年月日を確認すると、そこにはこう書いてあった。 

 

製造2017年10月1日。

 

さすがは速度の国、大変素早い販売行程である。

数十年前の商品が売られていると疑った私を、どうか許して欲しい。

 

ついでにさっき飲み口を超ふきふきした私も、併せて許して欲しい。

先ほどのビールシャワーは、疑心に溢れる私への天罰なのだろう。

 

 

その後私たちは宿泊先をチェックアウトし、受付女性に鍵を返却した。

そしてタクシーを呼んでもらい、本日の出発地点に向かう事にした。

 

その間は、先日白人たちで大盛り上がりだった、中庭で待機する。

そしてそこには、昨日の大喚声の原因らしきものが置かれていた。

 

ホテルからタクシーで北京西站へ

 

それがこのがちゃがちゃするタイプのサッカーゲーム

正式名は分からないが、ガチャサッカーとでも呼ぶのだろうか。

 

このガチャサッカーこそ、深夜中響き渡った金属音の正体である。

確かにこんな面白いものがあれば、私だって没頭するに違いない。

 

私はこれやろう!と、もちこに持ち掛けようとしたが、ふと留まった。

もし私の胃腸が破壊されていたら、死ぬほどやりたくないからだ。

 

 

そしてビールを飲みながら中庭で待つこと、約15分

受付の女性の相方らしき、屈強な中国人男性が呼びに来てくれた。

 

もちこの分の大きな荷物も抱え、先ほどの市内を移動する。

この先にタクシー呼んでるから!と誘導してくれた男性は、185cmくらいの長身だった。

 

そして約100m離れたところでタクシーを発見し、荷物を積み込む。

そこでも『そのおもちゃ何だい?』と、もちこのスマホケースは大変な人気である。

 

ホテルからタクシーで北京西站へ

 

さらに今度は、昨日と違って優しい雰囲気のおっちゃんである。

中国語上手だねぇ!と褒められた相方も、ニヤニヤご機嫌である。

 

天気も良く、快適な温度と雰囲気に包まれた、タクシーの車内。

これは目的地まで約30分の旅も、きっと穏やかに違いない。

 

もう少し寝てなよと相方に告げ、私は市内の光景を眺めていた。

先ほどと変わらぬ綺麗な街並みが、流れるように繰り返されている。

 

 

しかし。

 

ここでもまた、私は中国の底力を感じた。

いや正しくは昨日も感じた、彼らの処理速度の凄まじさである。

 

ホテルからタクシーで北京西站へ

 

早いのだ。

それはもう、むちゃくちゃに早いのだ。

 

これは日本ならば、確実にオービスに引っかかる速度である。

もし窓から手の平を出したら、私は何カップを体験できるだろう。

 

先ほど30分くらいと仰っていたのは、この速度で30分の計算なのか。

もしくは30分を10分で到着しますね!と言う、運転手さんの企業努力なのか。

 

 

ただ不思議な事に、なぜかあまり恐怖は感じない。

なぜなら周囲の車もまた、同じ速度で走っているからである。

 

一つの車だけでなく、道路の全車両が早ければ怖くない

私はこの国のおかげで、また一つ賢くなってしまった。

 

ホテルからタクシーで北京西站へ

 

そしてあっという間に目的地に到着する、音速運転手さん。

にこやかな笑顔とは裏腹に、怒らせると怖いタイプかもしれない。

 

しかし早く到着する分には、全く有難い。

シェイシェイの言葉と料金を支払い、運転手さんと別れを告げる。

 

お値段(1元17円で換算)
  • タクシー 約18元(約306円)

 

 

大きな赤いモニュメントに迎えられ、到着した本日のスタート地点。

そこは初めての新幹線が出発する、北京最大級の駅だった。

 

北京西站。

その大きさに圧倒される、綺麗で歴史感溢れたメインステーションだ。

 

ホテルからタクシーで北京西站へ

 

ここからまず、次の目的地の世界遺産を目指す。

いきなり最大級の楽しみである、平遥古城への約3時間半の旅だ。

 

15時29分発、19時42分着。

少し物足りないと感じるほどの、初めての短時間新幹線旅行である。

 

 

 中国新幹線の発券手続きと注意点

ホテルからタクシーで北京西站へ

 

そしてまずはチケット窓口で、ネット予約した乗車券を発券する。

ここでは沢山の人々がいるため、ササッと手続きすることが重要だ。

 

その手続きは非常に簡単、パスポートを提示し料金を支払うだけ。

事前に支払っているならば、チケットを発券するだけだ。

 

ただし大半の受付の方が英語を話せないため、最低限の単語は必要となる。

ここでは取票(ちゅーぴゃお:発券お願いします)と繰り返せば、意味は通じるだろう。

 

ホテルからタクシーで北京西站へ

 

しかしここでは少し、注意も必要だ。

それは速度の国である、中国独特の特性である。

 

なぜならもし10分以上の時間がかかれば、列後方から容赦のないはよせぇ!が投げられるためである。

それほど駅には人が多く、交換に対応した受付窓口もさほど多くない。

 

特に出発ギリギリになると、その列も更に長くなる。

早く発券しなければ乗り遅れる修羅の人々に、大きなお声で急がせられるのだ。

 

 

さらにもちこが体験した国慶節(中国最大の連休)では、さらにバトルも頻発する。

爆音に近い大声が、30分以上手続きをする先頭女性に向けられたとのことだ。

 

特に外国人は窓口での発券が必須なため、窓口に並ばなければならない。

近くに備え付けられた自動発券機では、発券できないのだ。

 

しかし日本人の見た目は中国人にも見えるため、列の人々は外国人だと気づかない。

自動発券機で発券できるなら、列から外れてくれ!と超高確率で言われるだろう。

 

さらにネットで購入したチケット発行専用の窓口と新規購入の窓口もあり、その違いは赤い電光掲示板に表示されている。

発券速度を求めるならば、インターネット購入専用窓口に並ぶのもGOODである。

 

 

まとめると、新幹線の発券手続きはタップリの余裕が必要だ。

出来れば駅に到着した日に、次の日の発券も済ませておくと良いだろう。

 

これが軽く恐怖を感じた、私からのアドバイス。

語彙力の足らない世界での多数の大声は、結構なドキドキ感である。

 

ホテルからタクシーで北京西站へn

 

そして無事チケットを購入し、パスポートをカバンの奥にしまい込む。

日本の新幹線チケットによく似た、可愛らしい一枚券だ。

 

ただ今回はもちこの体調不良を考慮して、直前でアップグレードした。

二等席から一等席に変更し、確実に休める席での至福のマハラジャタイムだ。

 

お値段(1元17円で換算)
  • 新幹線チケット(一人分) 254.5元(約4。327円)

 

さらにここで、パスポートを収納するお決まりの場所を決めておく。

ぶっちゃけパスポートとやる気さえ紛失しなければ、根性で帰国できるだろう。

 

 

チケットを発行し、まずはほっと一安心。

するとふと、まだまだ空腹であることに気が付く。

 

先ほどからポカリをがぶ飲みしているもちこも、少し調子が良さそうだ。

ここはバナナやリンゴなど、消化の良い食べ物を買ってこよう。

 

私は荷物をもちこの周りに魔法陣のように並べ、お買い物に繰り出した。

ここで寝てるよと呟く彼女は、心なしか顔色も良くなっている。

 

ホテルからタクシーで北京西站へ
ホテルからタクシーで北京西站へ
ホテルからタクシーで北京西站へ
ホテルからタクシーで北京西站へ

 

駅の周辺を歩くと、そこら中に軒を連ねる魅惑の食料品店

カップラーメンを始めとするワクワク商品が、私を手招きしている。

 

見たこともないソーセージに、味の想像できない燻製おつまみ。

ハムスターが食べたらヤバそうな色のハムに、謎の味漬け卵。

 

もう絶対美味しいだろうと確信する、攻撃的な色合い達。

これには私のがま口も、先ほどからパカパカ開閉する勢いだ。

 

 

全部買いたい。

 

荷物と財力が許すならば、全て一個づつ買い占めたい。

そして新幹線のなかで、勝手に美味しいおつまみランキングを開催したい。

 

しかしここは消化の良い果物を買うのが、ミッションである。

彼女の胃腸が完治するまでは、食事も合わせるのが男気ではないだろうか。

 

そう考えた私は、真っ赤なリンゴを2個購入した。

モリモリ買い食いするのは、明日以降のお楽しみにしよう。

 

お値段(1元17円で換算)
  • 真っ赤なリンゴ2個 3元(約51円)

 

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人の溢れる待合室と、超快適な新幹線一等席

人の溢れる待合室と、超快適な新幹線一等席

 

そして新幹線入り口では厳重な荷物検査を行い、大変丁寧に荷物を検査される。

X線、金属探知機、警備員の触診など、その警備は万全である。

 

まるで自分はテロリストではないか?と疑うほど、執拗なボディチェック。

日本国内より明らかに厳しい警備体制に、更なる異国感を痛感した瞬間だ。

 

そして無事にヘアスプレーを没収され、駅構内に入場する。

それはこの中国の旅が、全てペタンコヘアーになることが確定した瞬間である。

 

 

そして凄まじい人並に飲まれ、民族大移動のように皆が待合室に移動する。

その待合室では、殆どの人々が地面に座っている。

 

ただご年配の方々はしっかり席を確保でき、皆が一様に気遣いをお持ちだった。

きっと地べたに座る若者たちも、人生の先輩方に席を譲ったのだろう。

 

そして私たちも、同様に地べたにぺたんと座る。

いや実際は、入浴時の江戸っ子の様によっこいせぇと唸りながら座る。

 

さらに待ち時間も沢山あったため、少しご飯も食べておいた。

先ほど買ったリンゴの旨さに感動しながら、芸術的な芯を作り上げた。

 

人の溢れる待合室と、超快適な新幹線一等席

 

そして解錠と共にホームに辿り付き、無事新幹線に乗車する。

これがこの旅で何度もお世話になる、和諧号との初対面だ。

 

人の溢れる待合室と、超快適な新幹線一等席

 

最高に綺麗な車内に、ツイン座席のゆったりシート。

リクライニングもフワフワで、ストレスも皆無である。

 

クーラーも整備され、勿論前には食事用の棚も常備されている。

日本の新幹線と酷似した、最高の心地良さだ。

 

これが一等席の心地良さか。

いきなりこんな快適さに包まれ、二等席で満足できない体になったらどうしよう。

 

天井付近にはテレビもあり、言語が分かれば暇になることもない。

これが僅か4000円程度とは、日本を出発したばかりの金銭感覚なら格安だ。

 

ゆったりと背もたれを倒し、後ろの方に挨拶をする。

座席倒していい?と日本語で尋ねても、コワモテのおじさんは笑顔だった。

 

 

足を延ばし、重い荷物を上に乗せる。

するとまだ15時にもかかわらず、少し眠くなってきた。

 

もちこも完全睡眠態勢に入っているため、ここは体力を温存しておこう。

そう思って目を閉じると、速攻寝れそうな心地良さに包まれた。

 

周囲の大きな電話する声と、イヤホンを付けない爆音タブレット

至るところから聞こえる、ヒマワリの種のポリポリ音

 

あぁ、私は中国に来ているのだなぁ。

そう感じながら眠る新幹線は、大変心地良かった。

 

中国旅行記③に続く~