文字色: 保存する

「明王伝レイ」まとめページの補足です◇

平成22年3月6日 「明王伝レイ 第1部」と「幸福の科学」

 1980年代に「週刊少年マガジン」で連載していた「明王伝レイ 第1部」では、ストーリーの中に、ちょこちょこと「幸福の科学」が紛れ込んでいました。

 代表的なところをいくつか紹介いたしますと……。


 八次元如来界のパワー


『明王伝レイ』 第1巻 13頁

 12月25日の更新で紹介しましたが、八次元如来界は「幸福の科学」の言葉です。

 ただ、この第1話では、エセ行者の軽口のような台詞の中で使われていて、信者としては配慮に欠けるネタの使い方に思えます。


 面接やる宗教団体なんて聞いたことねえぜ


『明王伝レイ』 第3巻 137頁

 あやしい宗教団体に乗り込んだところ、「入会希望の方ですか?」「試験をおこないメンバーとしての資格を有すると判断した方のみに入会を認めております」と言われた場面。

 1988年当時の「幸福の科学」には入会試験があり、

本当に正しい教え、よい教えは、強制や勧誘をしなくても、人びとが集まってくるものだとの観点から、入会試験制度をとり、入会は難しくて不自由、脱会は自由。
(中略)
日本中探しても、これだけ入会条件の厳しい神理の団体はなかろうと思います。
この方針は、幸福の科学がいわゆる「宗教」ではないことを意味し、他の日本の宗教諸派を暗黙のうちに批判しているのです。
やがて幸福の科学の存在が世のなかに知られてゆくにつれて、「客引き」行為をしている他団体が恥ずかしくなり、反省するようになることを私は祈っているのです。
大川隆法著 『新・幸福の科学入門』 117~118頁)

 ただし、「明王伝レイ」では、入会試験をしている教団が実は邪悪という設定で、信者としては配慮に欠けるネタの使い方に思えます。


 霊波線


『明王伝レイ』 第4巻 51頁

 「明王伝レイ」では「霊波線」となっていますが、元ネタは幸福の科学の「霊子線」です。

人間の死の瞬間とは、その魂が肉体を離れ、魂と肉体との霊子線が切れるときなのです。
大川隆法著 『黄金の法』 38頁)

霊子線は、昔の言葉では「魂の緒」といい、英語では「シルバー・コード」(銀線)といいます。
(中略)
睡眠中に魂が肉体を出たり、事故が起きて意識を喪失したりしても、この霊子線で魂と肉体がつながっているかぎり、実際は死を迎えていないので、魂は肉体に戻ることができます
大川隆法著 『霊界散歩』 74頁、183~184頁)

 なお、「魂の緒」「シルバー・コード」は古くからある概念ですが、これを「霊子線」と呼んだのは高橋信次さんが最初です。
 (大川隆法と高橋信次の関係は12月29日の更新を参照)

『人間・釈迦 第1部』 その糸を、私の指導霊は、「あえて名前をつければ、霊子線ともいえよう」と説明をする。(中略)死は霊子線が切れたとき
高橋信次著 『心の原点』 91頁)

意識は肉体から離れている状態で、霊子線というものによって肉体をつながっている。
高橋信次著 『心の発見 科学篇』 67頁)

 ちなみに、「明王伝レイ」第1部では、この教義を参考に「霊波線」という言葉に置き換えていたわけですが、第2部になると「霊子線」という言葉を使うように改められました。

『明王伝レイ』 第8巻 206頁

 その他、「悪霊」と書いて「あくれい」と読むなど、第2部ではすべての用語を「幸福の科学」方式に統一。大川先生の教えは一字一句変えずに伝える!という信者的マインドが感じられるようになりました。


 転生輪廻じゃ!!


『明王伝レイ』 第2巻 78頁

 この辺の世界観は、「幸福の科学」の基本設定です。

私たち人間は、はるかむかしから、永遠の生命をもって生きております。
そして、何度も何度も、地上に生まれかわっては、人生修行を積んでいるのです
大川隆法著 『太陽の法』 26頁)

人間がこの世とあの世を転生輪廻している存在であるということを、
大川隆法著 『仏陀再誕』 204頁)

 ちなみに、

あのー、それって「輪廻転生」のことではないのですか。
普通「輪廻転生」とはいいますが、「転生輪廻」とは……。

米本和広著 『大川隆法の霊言』 43頁)

 ……という素朴な疑問がありますが、これは高橋信次さんが使っていた「転生輪廻」という言葉を、大川隆法さんがそのまま受け継いだからです。

『人間・釈迦 第1部』 魂を磨く目的を持って、あの世、意識の世界を、その環境に適応した魂の乗り舟に乗って転生輪廻し続けているのである。
高橋信次著 『心の発見 科学篇』 202頁)

私達は(中略)あの世とこの世を輪廻しては永遠に自分の魂を磨いている。
高橋信次著 『心の発見 神理篇』 210頁)


 あの世にもって帰れるものは心だけだ──ッ!!


『明王伝レイ』 第6巻 57頁

 連載のクライマックスの見せ場で、大川隆法の受け売りだと知らなければカッコイイ台詞なのですが……。

地位も、名誉も、財産も、死んであの世にもって還ることはできないのです。
(中略)
人間は、心です。魂です。ですから、死んであの世にもって還れるものは、あなた方自身の心以外にはないのです。心がすべてなのです。
(中略)
ですから、そういう心をもって還れるように、心を磨き、心を高めることにこそ、熱鉄のごとく赤く燃えあがるべきなのではないでしょうか。
大川隆法著 『太陽の法』 220~221頁)

 この辺の基本教義は高橋信次さんと同じなので、元ネタは大川隆法、元ネタの元ネタは高橋信次、という感じになります。

『人間・釈迦 第1部』 あの世へ持って帰れるものは、人生航路で経験した一切の善と悪、記憶された想念と行為である。
だから私達は、一日一日を最善の努力で悔いなくすごすべきなのだ。
高橋信次著 『心の発見 科学篇』 46頁)

私達がこの世を去るときには、経済も地位も名誉も持っていくことができないこと、人生経験の善悪に対する一切が記憶された意識、すなわち魂を持っていくのみであることを悟るならば、
高橋信次著 『心の発見 科学篇』 113頁)


 日本を世界の中心地とし理想郷を築くという天上界の計画


『明王伝レイ』 第4巻 34頁

 「幸福の科学」の教えるところでは、これはフィクションではなく、現実の天上界の計画らしいです。

── 釈迦の意識体の部分(※大川隆法のこと)は、今自己の魂修行のためだけでこの現象世界に下りて来ているのでしょうか。
孔子 自己修行のためではありません。やはり天上界の計画をこの地上で実現するためです。
『孔子の霊言』 57頁)

孔子 日本を中心にして霊的な王国、神の王国を地上に創るという目的で生まれてきているわけです。(中略)この日本という国を中心としたユートピアが理想の国として残るわけです。
『孔子の霊言』 41頁)

私たち(※幸福の科学)はこの日本を中心として、全世界の救世の事業を興さんとするものです。
さて、それでは、この救世の事業とはいったい何でありましょうか。(中略)一つが、個々人の心のなかにユートピアを築こうとする運動です。(中略)二番目の柱として、全体のユートピアがあります。これが地上天国の建設であります。
『新・幸福の科学入門』 26~27頁)


 参考文献


 第1部の終盤、「明王伝レイ」第5巻の巻末には、次の「参考文献」が載りました。

『明王伝レイ』 第5巻 245頁

 「週刊少年マガジン」連載漫画の単行本に突然こんなものが出てくるので、困惑した読者も多かったと思います。

 そして、この「参考文献」も、よく見ると参考にした文献名を挙げているのではなく、基本的に大川隆法の著書を全部順番に並べているだけでした。

※補足
・最初の8冊の著者名は大川パパですが、実質は大川本と変わりないです。
・大川隆法の著書でも、「新ビジネス革命」と「現代成功哲学」は省かれています(理由は何となく分かりますね)
・「幸福の科学入門」「『幸福になれない』症候群」「幸福の科学とは何か」「新・幸福の科学入門」「幸福の科学原論」も省かれています(理由は何となく分かりますね)
・「モーゼ霊訓集」「心の探究」「神霊界入門」「運命の開拓」も省かれています(「新・~」が存在する本の旧バージョンは載せる意味がないのでしょう)
・「高橋信次霊訓集」も省かれていますが、理由は謎です(タイトルが「高橋信次霊言集」と似すぎだから??)


 としを先生が大川隆法の「読者」から「信者」になったタイミングについて(印象論)

 さて、菊池としを先生と「幸福の科学」の関係は、ご本人のコメントによると……。

「ボクもマンガを描く上で資料として本を読んだんですが、これではまだ情報量が不足している。で、いっそ入った方がいいと思って」と、やや不純な動機(?)を語るのは、「マガジンスペシャル」に『明王伝レイ』を連載中の人気マンガ家・菊池としを氏(30)。
しかし、すぐに続けて「主宰先生(大川氏のこと)に人間の進むべき道を示されたのだから、ボクもついていくしかない」と、こちらも大マジメなのである。
(『フライデー』 1991年7月26日号 58頁)

 としを先生の第1作「蓮華伝説アスラ」では、まだ「マンガを描く上で資料として本を読んだ」という印象でした(2月14日の更新を参照)。

 それが、「ボクもついていくしかない」となった時期は、漫画の内容から感じ取れる限りでは、第2作「明王伝レイ」の第1部の連載中盤~終盤くらいだと思います。

 とりあえず、それなりの信者でなければ自分の単行本に大川隆法著作リストを載せたりしないので、遅くても「明王伝レイ」の第2部を始めた頃には、としを先生は染まっていたと思われます。

このエントリーを含むはてなブックマーク RSS2.0


■菊池としを全連載解説
『蓮華伝説アスラ』 …大川隆法の本を資料に描かれた少年漫画
アスラの結末の意味を考える
『明王伝レイ』 …マガジン誌上で「幸福の科学」を布教!
レイ第1部と幸福の科学
『YOH~光の抄~』 …打ち切り

『天空の門』 …ビジネスジャンプ誌上でも「幸福の科学」を布教
菊池としを先生の近況


■当サイトの「幸福の科学」関連記事一覧
よくわかるエル・カンターレ
よくわかるエル・カンターレの嫁の前世
エル・カンターレの黒歴史
エル・カンターレの最大の黒歴史「エル・ランティ」について
幸福の科学とGLAの教義の共通点
幸福の科学の霊界ランキング
ノストラダムスの霊言
「アンゴルモアの大王=大川隆法」説
金正日守護霊の霊言&昭和天皇の霊言
オバマ守護霊の霊言
守護霊の使用言語に関する補足
幸福実現党 総裁インタビュー
幸福実現党 幹部発言 「天上界の計画によると自民党の与謝野馨は選挙後に死ぬ」
幸福の科学マンガ さとうふみや編 エル・カンターレ ファイト!
幸福の科学マンガ 菊池としを編 エル・カンターレの悪口は地獄行き!