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菊池としを先生の「蓮華伝説アスラ」


平成22年2月14日 死んだはずの男

 80年代に「週刊少年マガジン」で連載していた漫画家が、菊池としを先生です。

『週刊少年マガジン』 1989年28号384頁
『週刊少年マガジン』 1989年28号より

 漫画家のコピーといえば、「みる夢は、すべてオールカラーの鳥山明」「執筆中はいつも卍解!!久保帯人」などが有名ですが、この「死んだはずの菊池としを」には衝撃を受けました。

 ……すみません。本当はこういう見開きだったのですが、

『週刊少年マガジン』 1989年28号384~385頁

 雑誌で見ると1ページずつ目に入りますし、「死んだはずの」と「菊池としを」の距離が近くて自然な並びなので、まるで菊池としを先生が死者蘇生したように見えました。

 ちゆだけではなく、つれづれの館さんも、「本来なら覚えるべくもなかったこの漫画の作者名が、『死んだはずの』のフレーズとともに頭に焼き付いてしまった」と当時を振り返っておられます。



 さて、そんな菊池としを先生は、大川隆法さんが率いる「幸福の科学」の会員としても有名です。

 「フライデー」の記事によると、

「ボクもマンガを描く上で資料として本を読んだんですが、これではまだ情報量が不足している。で、いっそ入った方がいいと思って」と、やや不純な動機(?)を語るのは、「マガジンスペシャル」に『明王伝レイ』を連載中の人気マンガ家・菊池としを氏(30)。
しかし、すぐに続けて「主宰先生(大川氏のこと)に人間の進むべき道を示されたのだから、ボクもついていくしかない」と、こちらも大マジメなのである。
(『フライデー』 1991年7月26日号 58頁)

 今日は、この菊池としを先生が「幸福の科学」に染まる以前にスタートした初連載「蓮華伝説アスラ」を再確認してみたいと思います。



◇もくじ◇

誕生編
激闘編
暗黒編
バイオレンスジャック編
最終回
完結編
初美ちゃん、地獄に行く
結末ネタバレ注意


平成22年2月14日 アスラ誕生編

 「蓮華伝説アスラ」の第1話では、地獄の鬼たちが現世に現れて、人間を襲い出します。

『蓮華伝説アスラ』 第1巻 26頁

 主人公の飛鳥仁、初美ちゃん、シゲも、鬼に襲われて逃げようとしますが……。

『蓮華伝説アスラ』 第1巻 29頁

 シゲは顔面を道路ですりおろされて死亡。
 生き残った初美ちゃんもショックで発狂して、「シートト…」と言いながら床にオシッコする人になってしまいました。

『蓮華伝説アスラ』 第1巻 86頁

 その後も、人間がゴキブリに食べられたりグロ漫画画像注意)、幼女が生きたまま丸呑みにされたりグロ漫画画像注意)と、「蓮華伝説アスラ」は、刺激的な描写がウリの漫画でした。


平成22年2月14日 アスラ激闘編

 「蓮華伝説アスラ」の基本ストーリーは、飛鳥仁が「出神(しゅつじん)!」とアスラに変身して戦うというもの。

 たとえば、第3話の敵は「デビルマン」のジンメンと似ていて、食べた人間の顔が体に浮かびます。
 犠牲者が知り合いの幼女なのも「デビルマン」と同じで、「デビルマン」のサッちゃんに対して、「蓮華伝説アスラ」ではまいちゃんでした。

『デビルマン』 文庫版 第2巻 258~259頁
「デビルマン」のジンメンとサッちゃん

『蓮華伝説アスラ』 第1巻 171~172頁
「蓮華伝説アスラ」の睡蝕鬼とまいちゃん

 ただし、サッちゃんはデビルマンの攻撃で死にましたが、アスラはもっとヘタレなので……。

『蓮華伝説アスラ』 第1巻 174頁

 まいちゃんは自分で舌をかみきって死ぬのでした。

 そんな感じにとしをナイズされているとは言え、「蓮華伝説アスラ」には何かの影響をモロに感じさせる部分が多かったです。


平成22年2月14日 アスラ暗黒編

 さて、「蓮華伝説アスラ」のラスボスはジーヴァ様です。

『蓮華伝説アスラ』 第2巻 205頁

 この説教は1986年6月の掲載なので、ジーヴァ様は前年11月発売の安岡正篤「運命を創る」に影響されていると思われます。
 (※「運命を創る」……GHQがスクリーン・スポーツ・セックスの「3S政策」で日本人を堕落させたという陰謀論の根拠となる証言が載った素敵な本)

 ともあれ、ご覧の通りジーヴァ様は地球よりもデカイのですが、これに対して、アスラも「自分自身を宇宙レベルにまで拡大」します。

『蓮華伝説アスラ』 第2巻 214~215頁

 そして、「破邪──っ!!」と叫びながら、アスラは地球を投げつけて攻撃

『蓮華伝説アスラ』 第2巻 228~229頁

 この戦いの結果、地上では文明が崩壊しました。


平成22年2月14日 バイオレンスジャック編

 さて、文明が崩壊した地球は、「北斗の拳」のような世界になりました(新展開)。

「北斗の拳」の世界 「蓮華伝説アスラ」の世界
『北斗の拳』 第1巻 102~103頁 『蓮華伝説アスラ』 第4巻 98~99頁
「親父がおっ死ぬぞ~~」 「母親がおっ死ぬぜーっ!!」

 この当時、ちょうど「北斗の拳」のテレビアニメが大人気放送中だったのですが、「アスラ」には、なぜか肩パットを付けた鬼まで登場します。

『蓮華伝説アスラ』 第3巻 70頁
肩パットの皆さんによる人間競馬

 そして、アスラもケンシロウみたいなキャラになりました。

『蓮華伝説アスラ』 第3巻 84~85頁

 こうしてデビルマンから世紀末救世主にジョブチェンジしたアスラですが、ケンシロウと違うのは、読者にクロレラを広めたことです。

『蓮華伝説アスラ』 第3巻 56頁

 ちなみに、クロレラというのは、

『蓮華伝説アスラ』 第3巻 32頁

 たとえ地球が肩パットに支配されても、クロレラさえあれば食料の心配はないのです!


平成22年2月14日 最終回

 こうして2年ほど続いた「アスラ」の連載も、ついに終了。

 最終回では、初美ちゃん(第1話で発狂した娘)が真っ二つになって死にます

『マガジンSPECIAL』 1987年No.8 310頁(単行本で仁の表情が描き直されたコマですが、あえて修正前バージョンで)

 絶望するアスラ。
 さらに、人びとが悪い心を持ち過ぎたことで地球が狂い、大噴火や大洪水が起こって、人類は破局へと向かいます。

 そして、次のページをめくると、

『マガジンSPECIAL』 1987年No.8 326頁

 「アスラ」の連載していた雑誌が破局を迎えていました
 (※「マガジンSPECIAL」は1987年8月号で全連載を打ち切って休刊。1年8か月後に復活して現在まで続いています)

 この「終」の文字には一瞬絶望させられましたが、しかし、すぐ隣のページを見ると、

『マガジンSPECIAL』 1987年No.8 327頁

 ……ということで、単行本で130ページほど書き足して、ちゃんと結末まで描かれることになりました。

 いっとくが単行本は480円です。


平成22年2月14日 アスラ完結編

 さて、5か月後に発売された単行本を買うと、あの最終回のあと、アスラは初美ちゃんの腐乱死体を抱いたまま放浪していました。

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 96頁

 しかし、鳥に襲われて、初美ちゃんの死体はグチャグチャに。

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 98~99頁

 ところが、そこでアスラは気が付きます。

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 100~101頁

 謎のポーズで魂の不滅を悟ったアスラは、さっそく布教活動を始めます。

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 152~155頁

 こうして、世紀末救世主を通り越してリアル救世主にジョブチェンジしたアスラ。

 ちなみに、「釈迦のごとく法と慈悲を説き」「イエスのごとく愛を説いて」「モーゼのごとく現象による奇跡をおこない」というのは、当時の大川隆法さんの本に書かれている正しい宗教の条件です。

真の正法には文証、理証、現証がともなう
(中略)
現証というのを担当したのが(中略)モーゼです。モーゼはさまざまな奇蹟を起こしました
(中略)
ブッダという人、この方は、文証を主として担当しました。文証というのは、要するに法です。
(中略)
イエス・キリストが出て、まあこの人は、主として理証というのを実証いたしました。
(中略)
ブッダの黄色の光線が法と、慈悲も入っていますけど、そういう光線であるならば、このイエス・キリストの光線は愛の光線であり
大川隆法著 『高橋信次の新復活』 123~128頁)

 また、アスラの布教の目的は、地上の悪想念を減らすことですが、

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 155~156頁

 大川隆法さんが呼び出した高級霊によると、これと同じことを「幸福の科学」も目指しています

富山 地上界において、正法を流布するということの一つの意味に、地獄界のエネルギーは地上界の悪想念が彼らの活動源となっているということですから、地上界の浄化ということに大きな意味があるわけですね。
アモン その通りです。
富山 そうすると、いいエネルギーで地上を満たすということですね。
アモン そうです。そういう善なるエネルギーで、この地上を満たしなさい。それがあなた方の役割です
(『キリストの霊言』 173頁)

善川 地獄霊が活躍するエネルギーというのは、何処から彼らは抽出しているのでしょうか。
天台 “想念エネルギー”であります。これを吸収しております。
(中略)
善川 悪想念を食してエネルギー源としているのでありましょうか。
天台 まあ、そういうことであります。
(中略)
天台 悪を念う心、恨み、つらみ、妬み、怒り(中略)。このようなものが彼らの活動源になっているのです。その意味においてそのようなものを無くしていかねばならないのであります。
(『空海の霊言』 153~154頁)

 そんなわけで、「たとえ殺されようとも愛と調和を祈るのだ!」「物理的な戦闘ほど無意味なことはない!」という教えを広めるアスラ。

 それを信じた人びとは、無抵抗で殺されていきます

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 194頁

 ここは感動する場面らしいです。


平成22年2月14日 初美ちゃん、地獄に行く

 一方、その頃、死んだ初美ちゃんの魂はあの世に来ていました

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 125頁
地獄のみなさん

 この地獄の描写は、「幸福の科学」とつながりの深い高橋信次さんの話を下敷きにしたものと思われます。
 (※高橋信次さんと「幸福の科学」の関係については12月29日の更新を参照)。

『人間・釈迦 第1部』 私は、禅定のまま、意識が肉体から抜け出して地獄界に行くことがたびたびある。
(中略)
住んでいる者達も、とてもまともに見ることはできない、鬼のような顔をし、口は裂けたといった残酷な形相をしている連中である。
『心の原点』 61頁)

 さて、初美ちゃんは、残酷な形相の連中に襲われますが、

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 127~128頁

『人間・釈迦 第1部』 ある者は、「お前の腕をよこせ」といい、またある者は、「尻の肉をよこせ」などとひどいことをいい、ものすごい形相で脅迫した。私は、さからわずに、「どうぞ、欲しいものは上げよう」と身を与えようとする。
『心の原点』 61~62頁)


彼らのあさましい態度や心の動きを観察していると、この場の恐ろしさも消えて、むしろ、彼らが哀れにさえなりました。
『心の指針』 30頁)

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 132、134頁

『人間・釈迦 第1部』 すると、彼らの顔は普通の人のそれに変わってしまう。
どんな魔王でも、慈悲と愛には反抗することはできないものなのだ。
『心の原点』 62頁)

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 135頁

『人間・釈迦 第1部』 正座に座り直し、うす汚い畳に両手をついてこう言いました。
「貴方のようなお方にお会いしたことはありません。しかも体から光を出している。(以下略)」
『心の指針』 32頁)

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 136頁

『人間・釈迦 第1部』 私は、その場所で、約二時間近くも神理の話をしてきた。
『心の原点』 62頁)


平成22年2月14日 結末ネタバレ注意

 そんなこんなで、あの世から帰ってきた初美ちゃんとアスラは、ジーヴァ様と対峙。

 「蓮華伝説アスラ」の物語も、残すところあと6ページとなり、

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 212頁

 グバアアアッと光って、

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 213頁

 なんか六芒星で、

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 214~215頁

 ラスト2ページは、

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 216頁

『蓮華伝説アスラ』 第5巻 217頁

 唐突にジーヴァ様と初美ちゃんとアスラが合体して、

 最近でも、「保健室の死神」で登場人物が突然阿修羅になって次回に続くギャグがありましたが、それを22年前にギャグじゃなく真剣に最終回でやったのが「蓮華伝説アスラ」でした。

→補足:『蓮華伝説アスラ』の意味不明な結末の意味を考えてみる

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■菊池としを全連載解説
『蓮華伝説アスラ』 …大川隆法の本を資料に描かれた少年漫画
アスラの結末の意味を考える
『明王伝レイ』 …マガジン誌上で「幸福の科学」を布教!
レイ第1部と幸福の科学
『YOH~光の抄~』 …打ち切り

『天空の門』 …ビジネスジャンプ誌上でも「幸福の科学」を布教
菊池としを先生の近況


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