文字色: 保存する

エル・カンターレの最大の黒歴史「エル・ランティ」とは

平成21年12月29日 霊界トップの人事異動

 「幸福の科学」によると、霊界はこうなっています。

『明王伝レイ』 第14巻 181頁

 さて、このピラミッドの頂点の9次元には、地球人類トップ10がいます。
 それは、キリスト、孔子、ゼウス、ニュートンなどですが、その中でも一番えらいのが、釈迦=エル・カンターレ=大川隆法先生です。

 ところが、実はこの9次元のメンバーには人事異動がありました。

 幸福の科学の基本書「太陽の法」を読むと、9次元に住むスーパーベストフレンズが紹介されていますが、その本が1994年に改訂されて、メンバーの1人が入れ替わったのです。

『太陽の法』 168頁 『新・太陽の法』 234~235頁
1987年の設定 1994年の設定

 色を付けたのが加筆修正のあった部分ですが、問題は赤いところで、「エル・ランティ」が「エンリル」に交替しました。

 以下、どうして地球人類の頂点で人事異動が行われたのか、なるべく簡単に経緯を紹介してみます。


◇もくじ◇

エル・ランティとは何者か?
昔の大川隆法 「エル・ランティはえらい」
大川隆法がエル・ランティを持ち上げた理由
エル・ランティの霊言
昔の大川隆法の教えは間違いだらけだった(公式設定)
今の大川隆法 「エル・ランティはえらくない」
サイドストーリー:大川隆法&高橋佳子 愛の伝説


平成21年12月29日 エル・ランティとは何者か?

 1991年に発表された霊界ランキング12月25日の更新参照)を見てみましょう。
 エル・カンターレ(=ヘルメス=釈迦=リエント・アール・クラウド=ラ・ムー=トス=オフェアリス=大川隆法)とか、アガシャー(=イエス=クリシュナ=クラリオ)に混ざって、

『サタンよ退け!』 65頁

 エルランティ、高橋信次という名前があります。

 高橋信次さんというのは、「GLA」という宗教団体の教祖です。
 彼は、「幸福の科学」が作られる10年前、1976年に亡くなりました。

 そして、「GLA」の教義では、高橋信次さん=エル・ランティーだとされています。

高橋信次先生の高次元の名をエル・ランティーと呼び、この名を知る者は、高次元の世界でもほんのわずかの人びとであります。
(『GLA』 1976年7月号 17頁)



 また、高橋信次さんは、「カンターレ」とか「9次元宇宙界」とか最初に言い出した人物でした

 たとえば、「7次元菩薩界の人口は約2万人で、ペテロやアンデレやミロクがいる」というのは、大川先生・高橋信次さん、どちらの教えでも同じです(25日の更新参照)。

 その他、「幸福の科学」と「GLA」に共通する教義は多く、

『人間・釈迦 第1部』 親鸞の過去世は、イエス・キリストの弟子パウロである
高橋信次著 『心の発見 神理篇』 144頁 1971年)
親鸞の過去世は、実は、パウロだったのです
大川隆法著 『黄金の法』 161頁 1987年)

『人間・釈迦 第1部』 病気の八〇%近くは憑依霊の仕業が多い。
高橋信次著 『心の発見 神理篇』 227頁 1971年)
病気の八割までは、なんらかの憑依霊状態を起こしており、
大川隆法著 『太陽の法』 227頁 1987年)

 ……といったレベルの類似は挙げるとキリがありません(詳しくは補足:「幸福の科学」と「GLA」の教義の共通点を参照)。

 とはいえ、もちろん両者の教えには相違点も多く、

 高橋説:「真のメシヤはエル・ランティー(=高橋信次)」
 大川説:「最高大霊はエル・カンターレ(=大川隆法)」

 などの違いもあります。


平成21年12月29日 昔の大川隆法 「エル・ランティはえらい」

 「幸福の科学」の教えでは、仏教・キリスト教・大本教・生長の家など、世界には色々な宗教があるけれど、根源は同じだとされます。

 ただし、イスラム教のマホメットは8次元、天理教の中山みきは7次元上位、浄土真宗の親鸞は7次元下位……と、宗教家のランク付けがあります。

 そして、ピラミッドの頂点、9次元の最上位としては、GLAの高橋信次、幸福の科学の大川隆法、キリスト教のイエスの名前が挙がります。

指導霊団の色分けを見ると、おもしろいことに、日本の国会とよく似ているのです。自民党とか社会党、公明党、共産党とありますが、彼らとひじょうに似たところがあるんです。
最大多数を誇っている霊団があってね、これが、たとえばまあ、エル・ランティというような人、あるいは、仏陀、あとイエス、モーゼ、このへんあたりが、だいたい最大派閥を創っている教えなのですが、
大川隆法著 『新・幸福の科学入門』 56頁)

 特に、9次元を仕切っているのは大川隆法とイエスと高橋信次だそうで……。

釈迦、イエス・キリスト、エル・ランティの三人が、だいたい交替制で、議長をつとめていたようです。
エル・ランティは、最近、地上に肉をもちました。すなわち、日本でGLAという宗教団体を主宰されていた高橋信次という方です。
(中略)
釈迦、イエス・キリストが地上に出たころは、この方が、九次元の議長役をしておりました。
大川隆法著 『太陽の法』 169頁)

 イエスは分かります。世界最大の宗教です。
 大川先生も分かります。おまえがナンバーワンです。

 しかし、ほかの世界宗教を差し置いて、信者数1万人程度の「GLA」の高橋信次が出てくるのは、どうしてなのでしょうか。


平成21年12月29日 大川隆法がエル・ランティを持ち上げた理由

 「幸福の科学」ができたばかりの頃、原久子さんという幹部がいました。
 記念すべき会員番号1番の持ち主です。

 1987年に大川隆法先生が書いたところでは……。

原久子さんは、善川顧問や私などの当事者を除く最初の協力者です。
ピアニストでもあり、ヨガや東洋医学にも造詣が深く、『原久子のヨガ・クリニック』など著書を二冊持っておられる「原瞑想研修所」の責任者でもある方です。
この原さんが現在事務局の責任者も兼ねてくださっています。
大川隆法著 『新・幸福の科学入門』 102頁)

 お金も人脈もない商社マンだった大川先生が宗教団体を開始するにあたって、原久子さんの助力は大きかったようです。

幸福の科学の事務局は、原久子さんが私財数百万円を投入して、ご自宅の二階を増築工事をし、六畳一間の離れをつくってくださって、店開きができたわけです。
大川隆法著 『新・幸福の科学入門』 140頁)

 原久子さんと大川先生の関係については、「幸福の科学」の初期の幹部・関谷晧元さんの著書に詳しいです。
 (引用文中では原久子さんは「中原」という仮名で書かれています)

中原は、高橋(信次)の存命中からのGLA信者だった。
(中略)
大川の霊言集を読み、中原はそこに亡き高橋信次の思想と通い合うものを感じたらしい。
関谷晧元著 『虚業教団』 120頁)

 発端は、まだ会社員だった大川先生が、1985年から「日蓮の霊言」「空海の霊言」「キリストの霊言」「天照大神の霊言」「ソクラテスの霊言」を刊行したことでした。
 それに感銘を受けた原久子さんが、大川先生に近づいたそうです。

 1986年の4月、大川先生・原久子さん・関谷さんの3人は、新宿の割烹料理店に集まって……。

やがて、神理探究の学習団体をつくろうという方向へ話題は進んでいった。
「大川先生には五〇〇人もの高級霊が降りてくるんですよ」
と中原は言った。
「世の中の宗教団体は、そのうちの一人を神として拝んでいるんです。どれもこれも、ご利益をもらえると説く宗教ばっかり。私たちは新しい時代へ向けて、本当の神のみこころを学習する集団をつくりたいんです。是非、つくっていきましょうよ!」
関谷晧元著 『虚業教団』 20~21頁)

 そして、1986年の7月、大川先生は脱サラ。「幸福の科学」がスタートします。

「今日から会員募集に入りました。(中略)関谷さんの会員番号は一八番ですよ」
「エッ、一八番? もう、そんなに大勢入ったんですか」
正直に言うと、たった一日で一〇人も二〇人も同志が集まるとは思いもしなかった。
しかし考えてみれば不思議ではないのだ。
中原の周辺には、その人柄や考え方を慕う人たちが大勢いたのである。ヨガのスタッフや生徒がその後も続々と参加し、会はたちまち一〇〇人にも膨れあがった
(中略)
全体としては、大川隆法の会というより、中原が中心の会という感じがあった
ただ中原は、「大川先生、大川先生」と最大限の敬意を込めて持ち上げていた。
「中原さんがあれだけ尊敬するのだから、さぞかし立派な先生だろう」
初期の会員の多くは、おそらくそんな気持ちだったのではないかと思う。
関谷晧元著 『虚業教団』 22~23頁)

 この夏、大川先生は「高橋信次霊言集」を刊行。
 それから、「高橋信次の新復活」「高橋信次霊訓集 1」「〃2」「〃3」「高橋信次の天国と地獄」「高橋信次の新幸福論」「高橋信次のUFOと宇宙」「高橋信次の新ユートピア論」「高橋信次の大予言」「高橋信次の心の革命」「高橋信次の愛の賛歌」「高橋信次のやる気の革命」「高橋信次復活の原点 永遠編」「〃天使編」「〃希望編」「〃太陽編」「〃新生編」……と、高橋信次の霊言を20冊くらい出します

 これについて、関谷さんはこう述べています。

中原幸枝とのこの出会いが、大川隆法に『高橋信次霊言集』を書かせたと私は推測している。
(中略)
高橋信次という名前じたい、それまで霊言していた日蓮や空海、キリスト、ソクラテス、孔子、坂本龍馬、卑弥呼などの中に置くと、明らかに異質なものを感じる。
歴史の教科書には必ず登場するような有名人の霊言集がつづいていたところへ、ほんの一握りの人しか知らない、しかも死後一〇年にしかならない人物が突然出現したのである。
関谷晧元著 『虚業教団』 122頁)



 余談ですが、この関谷さんという人物について、大川先生の著書の中にも言及があります。

 たとえば、「幸福の科学」の事務所が手狭になって、大川先生が関谷さんに相談したとき、関谷さんは、新しい事務所のために、自分が20年間社長をした会社の営業権を売り払おうとしたそうです。

関谷さんの意思は固く、「幸福の科学の最初の土台石になれたら、自分は今死んでもかまわない。三十年前、新潟から裸一貫で出てきて築いた財産だ。もともとゼロであったものがゼロに還るだけなのだから、自分には何の執着もない。」 こうおっしゃったのです。
大川隆法著 『新・幸福の科学入門』 149頁)

 そのほか、関谷さんは、事務所移転の敷金500万円を用立てたりしており、大川先生も感謝していました。

この半年間にわたる関谷さんのお骨折りには、心から敬意を払う次第です。
(中略)
法が説かれる時、その縁の下の力持ちとして経済的側面で協力してくださる方のことを大黒天と言います。
法の面で助力してくださる方もたいせつですが、陰の力となって働いてくださる、こうした大黒天の活躍はとても重要だと思います。
大川隆法著 『新・幸福の科学入門』 149頁)

 そんな金ヅル大黒天だって、そもそもは原久子さんの紹介で「幸福の科学」に来たわけです。


平成21年12月29日 エル・ランティの霊言

 ところで、高橋信次さんは仏陀の生まれ変わりだったと信じられており、たとえば、GLAの幹部だった園頭広周さんが言うには、

高橋信次先生はインドに釈尊として出られた方であった。
(『正法』 No.195 7頁)

 しかし、大川隆法先生としては、もちろん自分が仏陀です。

 そこで、1987年。
 大川先生が呼び出した高橋信次の霊は、こう言いました。

私自身はゴーダマ・ブッダ釈迦牟尼仏ではありませんでしたけれども、私は初期において、ゴーダマ・ブッダ釈迦牟尼仏であるかのように自分で思っていた時があります
(中略)
自分自身、釈迦だと思っていた時期がありました。しかし、そうではなかったのですね
(中略)
私自身が、自分を釈迦だと思っていた時がありました。(中略)今、非常にしまったと思っておるところです
『高橋信次の新復活』 32~33頁、138~139頁)

 つまり、「自分は仏陀ではなかった」と高橋信次本人の霊が言っている、と大川隆法先生が言っているのです。



 さて、高橋信次さんの死後、自分こそが高橋信次の後継者であると主張する宗教が乱立しており、「幸福の科学」も、広い意味でそのひとつでした。


 図のように、本家本元の「GLA」は実娘の高橋佳子さんが引き継いでいるのですが、どうしたことか、高橋信次ご本人の霊は「幸福の科学」に肩入れしているわけです。

 これについて、ご本人の霊が言うには……。

GLAであるとか、あるいはGLAの流れをくむいろいろな団体がいっぱいあります。
私の弟子たちがやっています。
こんな組織そのものを守ることは、どうでもいいのです。そんなことは意味ないんです。
彼らには、この地上を救う力がないんです
『高橋信次の新復活』 142頁)



 また、19歳の若さで「GLA」を引き継いだ高橋佳子さんは、自分がミカエルだと主張していますが、

『GLA』 1977年4月号 18~19頁
「もっと早く私がミカエルであることを自覚していれば」などと語る佳子さん

 これについても、父親である高橋信次の霊は否定。

地上でミカエルだっていう人が何人かおるようだけれども、これは違っておるので、私はこの際はっきり修正しときます。
(中略)
私の娘である高橋佳子を通じてミカエルというのが語ったことがあります。
その時に私は、ミカエルというのが、高橋佳子だということを言ってしまいましたけれども、そうではないのでこの際、訂正しておきます
『高橋信次の新復活』 136頁)


平成21年12月29日 昔の大川隆法の教えは間違いだらけだった(公式設定)

 そんなこんなで、「幸福の科学」では、エル・ランティ=高橋信次は重要なキャラでした。

 基本理論書「太陽の法」「永遠の法」「黄金の法」のどれを見ても……。

いまから三億六千五百万年前のことです。
地球からはるか離れたマゼラン星雲のなかのベータ星という高度に進化した星から魂がわかれ、アール・エル・ランティという指導者に導かれて、約六千万人の人間が、大船団で宇宙船にのって地球にやって来ました。
(中略)
やがては、エル・ランティも肉体を去って天上界に還り、五番目の九次元神霊となりました。
のちの世に、彼は、創造主アラーの神として呼ばれます。アラーの語源は、アール・エル・ランティという名前からきております。
大川隆法著 『太陽の法』 44~45頁)

つまり造物主と俗に言われているのが、このエル・ランティなのです。
(中略)
このエル・ランティという巨大な神霊、九次元の霊であることにおいては、もちろん、他の諸霊と同格は同格なのですが、人類の草創期において、大いなる働きをしたということ、地球系霊団をつくるための基礎を築いたということ、また、その進化のために、大いなる働きをしたということにおいて、九次元のなかにおいても、一段格の高い霊としての尊敬を集めております。
つまり、それだけの霊格をもっているということです。
大川隆法著 『永遠の法』 217~218頁)

高橋信次の生命体は、実在界では、アール・エル・ランティと言われている九次元の巨大な生命体です。
この生命体自体は、今から三億数千年前に、科学の星から、巨大船団によって人びとを地球に連れて来たとき以来、地上には肉体を持ったことがありませんでした
そのため、今日、地上に生命を持つまでは、地上ではもちろんのこと、天上界でも、ほとんど知る人のない神秘的な存在だったのです。
(中略)
エル・ランティは、地上に出ることがなかったので、主として、天上界から地上に出た救世主たちを指導することを任務としておりました。
イエスのときは、「天の父」として、モーゼのときは、ヤハウェ、あるいは、エホバとして、マホメットに対しては、アラーの神として指導していたのです。
大川隆法著 『黄金の法』 210~211頁)

 エル・ランティは仏陀ではありませんが、アラー=ヤハウェ=天の父なのです。



 ところが、1994年
 なぜか大川先生は、この話を自分で否定し出します。

高橋信次が、霊言等を通して、「自分は三億六千五百万年ぶりに地上に肉体を持った」と言っていますが、これは事実ではないということです。
(中略)
私も、それについては知っていたのですが、最初は、とにかく霊にいろいろと自由に意見を言わせて、読者に判断していただくという姿勢をとっていましたので、そのまま出していたのです。
大川隆法著 『宗教選択の時代』 150頁)

 先ほど引用した通り、高橋信次が3億6500万年ぶりに地上に肉体を持ったという話は、大川先生ご本人が執筆した基本理論書にも明記されていたのですが、まるで全部霊が勝手に言うてたんですみたいな口ぶりです。

\わしのせいか/

 また、実は「エル・ランティ」という名前からして間違いだそうで……。

高橋信次が自称していた“エル・ランティ”という名称
大川隆法著 『宗教選択の時代』 154頁)

 先ほど引用した通り、「高橋信次の生命体は、実在界では、アール・エル・ランティと言われている」と『黄金の法』に書いたのは、大川先生ご本人です。
 また、大川先生が呼び出したイエスの霊だって、「エル・ランティという神霊」(『イエスキリスト霊示集』 51頁)と呼んでいたりするのですが、そんな「エル・ランティ」が、実は自称だったそうです。

 そして、そもそも、高橋信次さんは9次元ではないそうです。

高橋信次は裏側の住人であって、天上界に還ってしばらくは六次元領域にいました。
幸福の科学で霊言集を出して、だいぶリカバリー・ショットを打たせてあげたので、やっと七次元に入りました
それも、日本の仙人・天狗界、要するに裏側の七次元に現在はいるのです。
(中略)
多少は役に立ってもらったこともあったので黙っていたのですが、高橋信次自身は個性霊としては九次元にいないことを私は知っていました
大川隆法著 『宗教選択の時代』 166~167頁)

 こうして自称エル・ランティは9次元からリストラされて、かわりにエンリルさんが入ったわけです。

 なお、エル・ランティがいたころの設定では、

エル・ランティ、釈迦、イエス、孔子、モーゼ、この五人が、九次元世界のなかの上段階霊、これをつくっているのです。
(中略)
この五人が、上位グループをつくっていて、常々話をしながら、地球のあり方、人類のあり方というものを決めているわけです。
大川隆法著 『永遠の法』 229~230頁)

 ……という話でしたが、かわりのエンリルさんは上位グループではないそうで、

高橋信次の霊言がどのようになっていようとも、地球に到着した順序が九次元の序列なのです。この序列で考え方を統一したいと思います。
大川隆法著 『宗教選択の時代』 175頁)

 結果、こうなったわけです。

『太陽の法』 168頁 『新・太陽の法』 234~235頁
1987年の設定 1994年の設定

 あと、ささいなことですけどモーゼが道連れに左遷されています。


平成21年12月29日 今の大川隆法 「エル・ランティはえらくない」

 もちろん、この1991年発表のランキングも、事実ではなかったわけです。

『サタンよ退け!』 65頁

 本当は、高橋信次は7次元ですし、エルランティは7次元野郎の自称ですし、モーゼ(=エミューラ大師)も上位グループではありません。

 こういった記述のある本は、すべて改訂されるか絶版になり、「幸福の科学」の教義からエル・ランティは消えたのでした。

1987年版 モーゼは、神からさまざまな啓示を受けておりましたが、有名な「モーゼの十戒」は、エル・ランティから通信されたものです
「太陽の法」 205頁)
1994年版 モーセは、神からさまざまな啓示を受けておりましたが、「モーセの十戒」が有名です
「新・太陽の法」 284~285頁)

1987年版 イエスを天上から指導していたのは、仏陀、エル・ランティ、モーゼ、ミカエルでした。
「太陽の法」 206頁)
1994年版 イエスを天上から指導していたのは、複数の霊人ですが、中心の愛の教えと信仰論、復活現象はヘルメスが担当しています。
「新・太陽の法」 284~285頁)


 あと、大川先生は若い頃、高橋信次さんの著書に大変な感銘を受けたという設定もありましたが……。

1987年版 高橋信次の著作『心の発見・神理篇』をはじめて読みはじめたのですが、五十七ページぐらいに達したとき、私は、自分の胸が大きく打ちはじめ、体が、こきざみに前後に揺れていることに気づきました。
なにかが起ころうとしていたのです
私は、同じ著者の作品をつぎつぎと読んでいったのですが、口をついて出てくるのは、「私は、この神理を知っている。むかし、これを学んだことがある」ということばでした。
「太陽の法」 3頁)
1994年版 高橋信次の一連の著作を、数日で読破してしまいました。
内容においては、既に知っていたことも多く、学問的には整合しない、矛盾の多い記述が気になりましたが、著者が心の問題を掘り下げようとしている点、宗教と科学を一致させようとしている点にある種の共感を持ちました。
「新・太陽の法」 347~348頁)

 つまり、1994年以前の「幸福の科学」の本の記述は、間違いだらけだったのです。



 では、どうして間違いを書いていたのか、大川隆法先生の説明によると……。

高橋信次霊に関する真実を、特に指摘はしないでいました。
私自身の性格として、他人の間違いや失敗をあげつらうのがあまり好きではないので、気がついていても言わないことが、現実には多いのです。
「感じとるものは感じとりなさい」というかたちでやってきたわけです。
『宗教選択の時代』 148頁)

 単に間違いを指摘しなかっただけでなく、大川先生ご本人が著書の至る所に間違いを書きまくっていたのですが、その辺は不思議にスルーされています。

一九八六年に、GLAに関係していたH(破門)が来て、これに事務所を借りたために、だいぶ妨害され、法も曲げられたというのが現実です。
『宗教選択の時代』 165~166頁)

 数百万の自腹を切って自宅を提供して、最初の会員100人くらいを集めた原久子さんに、実は妨害されていたのだそうです。

当会の初期に、高橋信次が設立したGLA系統の方がかなり来ていたことと関係があります。
(中略)
私は、「協力したいという人は特に拒まない」という姿勢をとっていましたので、請われるままに高橋信次霊の霊言も出しました
しかし、これを数多くだしすぎたために、結果的には、多少、会員の信仰を曲げることになったように思われます。
『宗教選択の時代』 147~148頁)

GLAは、仏陀教団の真似をした「偽装した仙人教団」であったことははっきりしています。
(中略)
仙人というのは、霊術や霊力を見せ、それで驚かせて人を従わせます。
(中略)
霊道現象といっても、「仏陀、おなつかしゅうございます」としか言わないだけの現象ですから、天狗でもできるのです。「おなつかしゅうございます。私は、あの時はそうでした、はい」──これを何十回もやってみせて、全国興行して歩いていたサクラ団体がGLAですから、そんなに深入りして信用する必要は全然ないのです。
『宗教選択の時代』 160~162頁)

これまで、この高橋信次霊に遠慮をしていたために、かなり法を曲げざるをえない状況に置かれていました。
しかし現在は、かつて当会のなかへ入って攪乱していたGLA系統の幹部たちも、すっきりといなくなっています
(中略)
借物はもう要らない時代、本物の時代が来た。
方便の時代は、もはや終わった。これからは、ほんとうに本音で語る時代が来た──。
『宗教選択の時代』 175~181頁)

 そんなこんなで、ずっとサクラ団体の教祖を持ちあげていた大川隆法先生ですが、ウソではなく方便だったのです。

 仏陀といえども、人間社会で布教していくには、こういった智恵が必要なのですね。


◇サイドストーリー◇

平成21年12月29日 大川隆法&高橋佳子 愛の伝説

 かつて、大川隆法先生はムー大陸について、こう語りました。

いまからおよそ一万七千年近く前のことです。
(中略)
ラ・ムーが、肉体をもって生まれたのです。
ラ・ムーとは、何代か前の釈迦の過去世です。
(中略)
ラ・ムーの時代に、ムー大陸は、巨大な大帝国となったのです。
『太陽の法』 191頁)

 つまり、1万7000年前、「ラ・ムー=釈迦=大川隆法」がムー大陸を統治しており、その素晴らしい政治力でムーは繁栄したそうです。

しかし、やがてラ・ムーが没し、その妻、ラ・メンタスが、統治するようになってくると、ムーの全盛にもかげりが出てきました。
ラ・メンタスは、すばらしい美貌と才智をかねそなえた女性でしたが、ラ・ムーの子孫として、男子を産むことができなかったので、政治的には、非常に不安材料をかかえていたわけです。
このラ・メンタスは、そののち、ギリシャに生まれ、ゼウスの妻ヘラとなります。また、そのあと日本に生まれて、卑弥呼となり、さらに、中国に生まれて、如意輪観音となります。
そして、さらには、現代の日本に、女性として転生してきて、宗教的指導をしております
『太陽の法』 193~194頁)

 ……と、大川先生は前世の自分の妻について言及。

 「ラ・ムー(大川隆法)の嫁 = ヘラ = 卑弥呼」は、なんと現代の日本に転生しているというのです。
 もしも、大川先生が現世で再び彼女と巡り逢って結ばれたりしたら、素敵にロマンチックですね。

 そして、その前世が「ヘラ」だった女性について、大川先生が呼び出した七次元霊が言及しており……。

善川 今、新宗教団体の主宰をされておられる女性の方はどういう経歴の方でしょう。あの方は…。
日向 ギリシャ神話の中の女性の一人です。
善川 何んというお名前でしょうか。
日向 ヘラという名前で称ばれておりました
善川 一説では七大天使のお一人ということですが。
日向 これは言葉を濁して置きたいと思います。ただ彼女の過去世はギリシャ時代に女神様といわれた一人です。(中略)ヘラという名前で称ばれておりました。
『卑弥呼の霊言』 82頁)

 ヘラは、「新宗教団体の主宰」で「一説では七大天使」の「女性」なのだそうです。
 この文脈では、もちろん高橋佳子さんのことです。

『GLA』 1977年4月号 18~19頁
カリスマ宗教家の2代目にして、若くて美人というキャラだった佳子さん

 以上の話をまとめると、「高橋佳子 = ヘラ = ラ・ムー(大川隆法)の嫁」です。
 つまり、1万7000年前のムー大陸では、大川隆法と高橋佳子が結婚していたという設定になります。

 そして、この頃の大川先生は高橋佳子さんと結婚するつもりだったというウワサもあります。

「大川氏は(中略)高橋佳子さんと結婚するみたいなことを周囲にしゃべり散らしていたようですけど、佳子さんは会ったこともない。バカバカしい話です(後略)」(GLAの幹部)
(『アサヒ芸能』 1991年8月8日 22頁)

 あと、この頃の高橋信次の霊は「GLA」にわりと寛容で、それとなく「幸福の科学」の傘下に入るように提言していました。

GLAを継ぐ者たちへ
(中略)
あなたたち以外に、大きな光が現れてくるから、この光に対して敬意を表することだけは忘れちゃいけませんよ、あなたたちだけが法の継承者じゃありませんよ。
『高橋信次霊言集』 254~255頁)

 しかし、高橋佳子さんは、これをほとんどまったく相手にせず、2人の仲は進展しませんでした。



 そうして結局、大川先生は別の女性(アフロディーテの生まれ変わり)と結婚。

 その影響か、のちの教義改訂で、ムー大陸時代の嫁(=高橋佳子)の話は消滅しました。

1987年版 しかし、やがてラ・ムーが没し、その妻、ラ・メンタスが、統治するようになってくると、ムーの全盛にもかげりが出てきました。
「太陽の法」 193頁)
1994年版 しかし、やがてラ・ムーが没し、その偉大なる教えが形骸化してくると、ムーの全盛にもかげりが出てきました。
「新・太陽の法」 186頁)

 同時に、高橋佳子=細川ガラシアが公式設定になります。

高橋佳子という人の直前の過去世は、明智光秀の娘の細川ガラシヤです。キリスト教信仰を持って、最期は炎のなかで焼け死んだ人です。
(中略)
高橋佳子はこれ以前にも、日本にシャーマンの一人として出ていますが、卑弥呼ではありません。
『宗教選択の時代』 163~164頁)

 どこから細川ガラシヤが出てきたのかまったく分かりませんが、とにかく、「高橋佳子卑弥呼=ヘラ=前世の嫁」ということみたいです。

 そして、「幸福の科学」の幹部だった大黒天こと関谷さんの証言によると……。

大川は、GLAを率いる高橋佳子が間もなく死ぬと予言した
(中略)
彼(大川)は、佳子の死を本気で信じ、密かに心待ちしていた。
大川に命じられ、新聞の訃報欄に毎日目を通すのが、その頃の私の仕事だったのである。
(中略)
仲間うちでは「高橋佳子はノイローゼだ」「彼女はじきに死ぬぞ」「もうすぐ死ぬから見ていなさい」と、大川はしつこく繰り返していた。
(中略)
あの憎しみは高橋佳子に対する大川のあこがれの裏返し、コンプレックスではないかと推測している。だが、これはあくまでも推測にすぎない。
関谷晧元著 『虚業教団』 84頁、136~137頁)

 ちなみに、この予言から20年ほど経った現在でも、高橋佳子さんはご存命です。

このエントリーを含むはてなブックマーク RSS2.0


■当サイトの「幸福の科学」関連記事一覧
よくわかるエル・カンターレ
よくわかるエル・カンターレの嫁の前世
エル・カンターレの黒歴史
エル・カンターレの最大の黒歴史「エル・ランティ」について

幸福の科学とGLAの教義の共通点
幸福の科学の霊界ランキング
ノストラダムスの霊言
「アンゴルモアの大王=大川隆法」説
金正日守護霊の霊言&昭和天皇の霊言
オバマ守護霊の霊言
守護霊の使用言語に関する補足
幸福実現党 総裁インタビュー
幸福実現党 幹部発言 「天上界の計画によると自民党の与謝野馨は選挙後に死ぬ」
幸福の科学マンガ さとうふみや編 エル・カンターレ ファイト!
幸福の科学マンガ 菊池としを編 エル・カンターレの悪口は地獄行き!

■「幸福の科学」会員の漫画家・菊池としを先生まとめ
『蓮華伝説アスラ』 …大川隆法の本を資料に描かれた少年漫画
アスラの結末の意味を考える
『明王伝レイ』 …マガジン誌上で「幸福の科学」を布教!
レイ第1部と幸福の科学
『YOH~光の抄~』 …打ち切り

『天空の門』 …ビジネスジャンプ誌上でも「幸福の科学」を布教
菊池としを先生の近況