フランス人の興奮ぶりに昔を思い出し…
「悲報!」
「ノン・メルシー!」
「この話、なかったことにしてもらえないだろうか」など様々な反応が寄せられました。今年7月、フランスでフランス人俳優による「シティーハンター」実写化(2019年公開予定)が決まったときのことです。
↑ 映画化の話を切り出すと、いきなりバットマンから平手打ちを食らってしまったり・・・。
ツイッターに溢れた熱き反響に、私は笑いっぱなし。それは今でもまだ続いています。もちろん、祝福や歓喜のツイートもたくさんありましたよ。
日本アニメ・漫画などサブカルチャーの生き字引的存在ファレ(Olivier Fallaix)氏のTwitter。7月13日
カルト的アニメ
『シティーハンター(CITY HUNTER)』みなさん、ご存じでしょうか。週刊少年ジャンプ(集英社)で1985年に連載が始まった北条司の漫画で、ハードボイルドも加味されたアクションコメディです。
冴羽獠(さえばりょう)は女好きの凄腕スイーパーで、探偵やボディガードなどを引き受けます。相棒は槇村香(まきむらかおり)、亡くなった親友の妹さんです。
この話をテレビアニメ化(1987年~)したもの(仏タイトルは”Nicky Larson”ニッキー・ラルソン)が90年代のフランスでカルト的人気を誇っていたのです。当時の人気ぶりをうまく伝えられないのがもどかしい…。
日本からは想像もできないことの例として以前、永井豪の『UFOロボ グレンダイザー』(フランス名:GOLDORAK ゴルドラック)というロボットアニメがフランスで視聴率100%だった現象を取り上げました。
フランスで視聴率100%だった日本アニメ・永井豪 追記:仏アヌシー国際アニメーション映画祭で『マジンガーZ』上映&嶋星光壱 - ベルギーの密かな愉しみ
私は『マジンガーZ』なら名前を知っていましたが、 『グレンダイザー』なんて聞いたこともなかったです。
日本(東映)に買い付けに行ったフランス人が、『マジンガーZ』ではなく『グレンダイザー』のほうを選んだ理由は、こちらの方がダイナミックでフランス人に受けるだろうと直感したからだと言われています。そして1978~1979年に放映されてみごと大当たり。その後世界中に拡散しました。
『シティーハンター』はドラゴンボールの人気とはまた違って、大人も子供も、男女ともにファンが多かった。子どもが見るの?とびっくりするでしょう。アダルト向けの内容(殺しや裏社会、男女の愛など)のアニメ作品を、子ども番組枠(*)で放映するためにフランス側は「編集」を施しました。私もフランスで、そのあちこちカットしたバージョンを見ていましたが、たしかにこれなら親子で見ても問題ないかなと思ったことがあります。
ともあれ冴羽獠は子どもたちにとって憧れの的でした。小学生の女子などはおませさんだから、ニッキー・ラルソンのカッコよさに痺れ、おちゃらけたユーモアに大喝采、そして本当に好きなのは香だけなのよ、などと知った顔して言っていました。また初めのうちはニッキー・ラルソンがフランス人という設定だと信じていたのも笑えます。たしかにあんなスタイルの男性は日本にはいないけれど。
日本に行ったらまず新宿駅と新宿区区役所通りに行きたいな、と言っていた小さな子どもたちは、その後日本訪問は叶ったかな?
註*子ども番組というのは「ドロテ・クラブ」のこと。下の2記事にその盛衰が書かれていますので、お時間ある方はどうぞ。
手元のドロテ・クラブの雑誌ドロテマガジンを開いて、ちょっと番組表を見てみましょう。
1994年4月19日(火)~25日(月)。TF1局の黄色部分がドロテ・クラブの番組。4月19日火曜日朝9時のところ(9:00~11:30と長いのは学校が休暇中だから)
CLUB DOROTHEE VACANCES NICKY LARSON(ニッキー・ラルソン)
ついでに絵だけ見てみると『不思議の海のナディア』『セーラームーン』『小公女セーラ』などがあります。20タイトルかそれ以上やっていたと思います。
冴羽獠がニッキー・ラルソンなら他の登場人物もフランス名なのです。香はローラ(Laura)、海坊主はマンモス(Mammouth)という具合。子どもたちが名前を憶えやすいように、ですね。
主題歌も日本のは使わず、フランス語で新たに作り、人気の歌手に歌わせます。(この儲けは凄いですよ)
やはり子どもたちが一緒に歌いやすいように工夫してあります。歌はこちらで聞けます。↓
Nicky Larson : le générique (Club Dorothée) - YouTube
大人になった フランス人はこれを懐メロとして合唱して盛り上がります。
しかしわれわれ日本人にとってやはりシティーハンターといえば、”Get Wild”ですよね‼
というわけで、懐かしさに浸りたい人のために貼り付けておきます。
主役の冴羽獠をやるのは…
フィリップ・ラショー(Philippe Lacheau,1980年生まれ。以下フィリップ)という人で監督・脚本もやるということです。それをフィリップは自身のインスタグラムやツイッターなどで発表しました。
下左:フィリップの兄ピエールのTwitter。一緒に仕事をしている。
上右:自身のtwitter。フィリップは1980年生まれだから、まさしく「ドロテ・クラブ」と共に成長した世代です。コレクションの漫画を見ればシティーハンター愛がどれほどかわかろうというものです。
インスタグラムには「子どものころの夢が叶ったよ」と書き、喜びを爆発させていました。
フィリップってどんな人?
Babysitting (film) - Wikipedia
こんな人です。
2014年の初主演映画『ベビーシッティング』のポスター。
ウィキペディアなどによると、はじめはTVタレントやコメディアンとしてキャリアをスタートさせたそうですが、私はフランスのことは疎くなってタレント関係は知らないのです。
ところが!
なんとはてなにいらっしゃったではありませんか。こちら物語る亀さま id:monogatarukam。フィリップ主演の『世界の果てまでヒャッハー』(2015年)という、フランスで8週連続でベスト10入りを果たした大ヒット映画のレビューを書いていらっしゃいます。↓
物語る亀さま、大変参考になりました。ありがとうございました。
つまりこれは『ベビーシッティング2 』なんですね。
参考までにシネマトゥデイの紹介を貼っておきます。
フィリップと愉快な仲間たち、とでもいうのでしょうか。お笑いのコントなどを一緒にやるメンバーがこちら。映画でも共演しています。(La Bande à Fifi )
日本テレビのバラエティー番組に「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(ダウンタウン、月亭方正、ココリコが出演)というのがあります。私は見たことがないんですが、このなかの“サイレント図書館”という企画が人気で、フランスにも「輸出」され、
Chut, Chut, Chut(silent library)という企画になりました。
Chut, Chut, Chut (silent library) : la galerie photos | News | Premiere.fr
ダウンタウンの「サイレント図書館」に、あるときK-1のチャンピオン、アーネスト・ホーストがゲスト出演したら、その回がyoutubeで500万回を再生するほどの大きな反響を呼んで、世界各国で真似をする番組が出てきたそうです。それ以来サイレント・ライブラリー・ムーブメントと名付けられているとのこと。
さてフィリップですが、金髪ですよね。
リョウちゃんになるには髪を染めるでしょうか。みなさん、どう思いますか。
まあ楽しみということにしておきます。
ネット上では相変わらず大騒ぎ。
『エンジェル・ハート』で冴羽獠役だった上川隆也のほうがいい、とこのフランス人は言っています。たしかに上川さん、はまっていました。筋金入りのアニメオタクだと自分でも言っていましたしね。
またおもしろいのは、ファンが自分の持ち物を見せたがることです。
おかげで私たちも楽しめます。
われらがはてなにも先日、横チンさまがこのような投稿をしておりました。
冴羽獠の使用する銃です。
「銃身の刻印部分には、アクリル絵の具のホワイトを流し込ん」だそうです(!)。
詳しくは横チンさまの記事でどうぞ。
横チンさま、ありがとうございました。
まだまだ書きたいことがいっぱい。でも今日はいったん終わります。
City Hunter : Nicky Larson - Rêve&Réalité par : Elisabeth
『シティーハンター』続く…ということで。