どもども、ホルスタインおじさんです。
実は直腸がんの手術をしました。
いやー発見してから手術までの道のりが長かった長かった。
今回は手術日に関する話をするのね。
直腸がんとは
直腸とは、肛門の手前にある腸の事で、ウ○チを肛門の前で溜め込む部位です。
この部位が無くなると半年くらいは頻便になるのね・・・
引用元:wikipediaより
この図だと8番の位置が直腸です。
(余計な豆知識)
牛のホルモンで言ったら直腸はテッポウ が該当。脂分が少なくて食感が美味しい。
腫瘍の深達度
引用元大腸がん(直腸がん・結腸がん)の解説と症状|オリンパス おなかの健康ドットコム
腫瘍の進達度は早期癌に該当。
ただ粘膜下層に浸潤している可能性が高かったため、外科手術にて切除する方針となりました。
もう少し早く気がつけば内視鏡にて簡単に切除可能だったのだが・・・
でもまー、それ程検出確率の高くない検便による検査が元で、早期ガンを発見したのはむしろ運が良かったのかもしれません。
切除範囲
今回の手術は左の図の色付けされた部分(直腸とその先の結腸)を切除し、大腸と繋ぐ内容です。
癌の部位より肛門側を数cm、大腸側約10cmと結構多めの切除ですな。
場合によっては腹部に人口肛門(ストーマ)を付ける可能性は有りましたが、おじさんのケースは癌の位置が肛門寄りでは無いため確率は低いと言われました。
※赤い○が人口肛門の予定位置
可能性が低くても、もしもの事を考えると・・・
頼む、人口肛門だけは何とか回避でお願いするのね!
後遺症
直腸の切除による後遺症は必ずあります。
- 必ずあるのは排便機能障害。
- 低確率(約1割)は排尿障害。
- 高確率(約5割)は性機能障害。
排便機能は、便を溜めこむ部位が無くなるため、排便の周期が短くなります。
術後は、1日10~20回で、半年ほどすると5回未満に落ち着くそうです。
排尿機能障害は尿漏れとかですが、確率が低いのがせめてもの救い。
悲しいのが性機能障害・・・。直腸の周りにはオチンチンの性機能に関わる神経が張り巡らされており直腸にへばり付いてます。
直腸の摘出のため、性機能の神経を直腸から電気メスで剥がす必要が有るが、ちょっと間違うと神経の一部を切断・・・
神経に何かしらの影響があると、性機能が正常に機能しなくなるらしいです・・・
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腹腔鏡外科手術について
今回の本題である手術内容について説明するのね。
手術時間は9時半~14時の四時間半。
腹腔鏡による直腸の切除手術です。
腹腔鏡手術解説
腹腔鏡手術とは「腹腔鏡」というテレビカメラでおなかの中なかを見ながら行う手術のことです。
従来の「おなかを切る手術」は開腹術と呼びますが、腹腔鏡手術は開腹術と比べて非常に小さな創で済むために患者さんの術後の痛みが少ないこととそれにより回復が早いことが一番の長所です。
腹腔鏡手術の難しさを例えると、瓶の中のブドウを、長いナイフで皮だけ剥くような感覚らしいのです。
それで、直腸に張り付いた性機能の神経を剥がしてから直腸を切断する。
性機能障害が5割の意味良く分かるのね。
手術日当日
手術事態は全身麻酔のため感覚的にはあっという間に終わってました。
きつかったのが術後の話ですので、そこら辺を少し掘り下げて書きます。
術後は、全身麻酔用の呼吸の管が肺から抜けたばかりなので自然呼吸が難しく、意識的に肺呼吸をしました。
自分の心拍数の音が聞こえるから、呼吸が足りないとピッチ音が早まり少し焦ります。
しかも腹腔鏡手術のため腹式呼吸が痛みで出来ないから、肺だけでの呼吸をするのですがそれもまた結構大変なのね。
もう少し真面目に肺の強化を事前にしとけば良かったと思いますが、後の祭りです。
体は手先と足先が動くが、それ以外を動かそうとしても、麻酔のせいなのか動かない。
鼻から胃に繋がる管が残っており、喉が痛く喋るのも苦痛な状況です。
急に吐き気がこみ上げ看護士さんに助けを求めたら、胃につながる管から胃液を吸い上げてもらいました。
なるほど!この為のチューブか。
この時全身を覆う装備はこんな感じ。
- 鼻~胃に繋がるチューブ
- 酸素マスク
- 胸に心電図の電極
- 腹に悪い血を出す管
- 右手にナースコール
- 右手人差し指に血中酸素計
- 左手に痛み止め薬投与ボタン
- 左腕に点滴の管
- 尿道にカテーテル
- 肛門に血とガス抜き用のバルブと管
ほぼ、身動き出来ない身ではあるが喋る時の喉の違和感が一番辛い感じでした。
因みに肛門のバルブは臀部に糸で直接縫われてたため、あとあとの不快感では一番のくせ者です。
病室に戻り、病室用のセッティングに変更が終わると妻と久しぶりに再開。
術後の報告を医師から受けていたみたいで、心配していたお腹への人工肛門は付けないで済んだみたいでとりあえず一安心でした。
術後二時間ほどたつと、麻酔も減ってきているためなのか呼吸も少し慣れてきました。
鎮痛剤が効いてるためか、身動きしなければそれほど苦痛ではない。
しかし、問題なのは手先と足先以外はあまり動かせないという事。
喉に管が通ってるから声を出すのも苦痛なので、要件は指と単語で頑張って伝える状況でした。
一番の不安が自分が睡眠時無呼吸症候群だという事。
このまま横向になれない状況で普通に寝かされると、舌が喉の奥に落ち込み窒息する・・・
普段は無呼吸予防用のため、専用のマウスピースで抑えているが、自分の手でマウスピースを外せない事を考えると危なくて使えず、マウスピース無しで寝る事になりました。
妻に必死にその事を伝え、看護士へ代弁してもらうと、
看護士「大丈夫ですよ。窒息しても計測してるので異変に気づいてすぐ助けられますから。」
私「?!」必死に頭を振る。
妻「窒息しないで済む方法はありませんか?」
看護士「では、電動ベットの頭を高くして横を向いて寝れば喉への舌の落ち込みを減らせると思います」
妻の代弁で何とか窒息を凌げました・・
言葉を発するのが辛く、かなり不便である。
指で数字は表せるが、お願い事はなかなか難しい。
まだ麻酔が抜け切れてないポンコツな頭だったが、良いことを思いついた。
手でキツネを作り、ハイ、イイエ、ソコ、とかを表現してみたら、妻は即座に認識し、対応してくれた。
家族3人お風呂で子供と遊ぶ時に、キツネさんを使ってコミュニケーションをとってきた事が、まさかこんな形で生かせるとは思いもしなかった。
お願いすべき事は殆ど声を発する事無く済ます事が出来た。
会話がし辛い私を慰めるためか、妻は最後に足裏マッサージをしてくれた。
足の左右で浮腫(むくみ)方が違う事に驚きつつ、特に浮腫んでいる方を重点的に揉んでくれた。
右足のブヨブヨ具合を楽しそうに揉んでいる妻を見てると癒される。
そろそろ子供を幼稚園にお迎えに行く時間のため妻は30分ほどマッサージをしてから帰宅しました。
その日は一睡も出来ませんでした。
しかし、妻の心遣いが嬉しく、家族の有り難さを再認識した1日だったかと思います。
手術は大変でしたが、苦労を分かち合える家族ほど、大事なものは無いという事を実感できたそんな1日でした。
【次回予告】
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