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日本で補助金が下りず、アメリカに行ったロボ技術ベンチャー企業、Google傘下に入って今や世界トップに

   

日本で補助金が下りず、アメリカに行ったロボ技術ベンチャー企業、Google傘下に入って今や世界トップに

革新機構、苦戦のベンチャー投資   官民ファンドの実像

革新機構、苦戦のベンチャー投資
2017/8/6 6:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO19552690S7A800C1000000/

東芝の半導体メモリー買収に動く官民ファンドの産業革新機構。大型再編で注目される中、もう一つの柱のベンチャー投資はエグジット(投資回収)案件の8割超で損失を出していることが日本経済新聞の調べで分かった。「次世代の国富を担う産業創出」を掲げ、民間で負えないリスク資金を注ぐが、ベンチャー育成で苦しむ姿が浮かんできた。

ベンチャーに冷たい革新機構 日経ビジネス2016年1月11日号

2012年に東京大学の助教を辞めてロボット開発のベンチャー、シャフトを立ち上げた中西雄飛と浦田順一。
企業家の加藤崇は2人のロボットへの情熱に魅せられてCFO(最高財務責任者)を引き受けた。
2013年の春、加藤は東京・霞ヶ関の経産省を訪れた。開発を次のステップに進める資金調達を受けるためだ。
自信はあった。
だが応対に出た課長はこう言った。
「介護・福祉のロボットなら補助の枠があるんだが、君たちのようなタイプには枠がないんだよ」
介護ロボットのように足元の市場はないが、10年先に必ず必要になる技術だ。そう言って加藤が食い下がると、
課長はボソッとつぶやいた。
「そんなにやりたいんなら、アメリカでやればいい・・・」
帰り道、加藤は怒りが収まらなかった。「俺たちは日本がアメリカに負けないように、退路を断ってベンチャーを
やっている。それをアメリカでやれだと。官僚のくせに何を言ってるんだ」。
次の週、いちるの望みを託して東京・丸の内の革新機構を訪ねた。応対に出た専務執行役員は不機嫌だった。
「言っておくが、我々は民間のファンドだ。リターンを出さなくちゃならない。ヒト型ロボットに出す金はない」
最初から取り付く島がなく、専務の説教は1時間に及んだ。
「本省(経産省)は、ちゃんとロボット産業のフィジビリティースタディーをやっている。ヒト型には市場性がないと
いうリポートもある」
シャフトが開発を継続するために頼んだ出資額は3億円である。だが2兆円の投資枠を持つ革新機構は歯牙にも
かけなかった。

世界が2足歩行ヒト型ロボットの必要性を痛感したのは2011年3月である。水素爆発を起こした東京電力福島
第1原発の冷却作業は一刻を争った。だが高い放射線に阻まれて人間は近づけない。誰もが同じことを考えた。
「ロボットはどうした」。多くの大企業がロボットを開発していたが、実地に耐える技術はなかった。
「俺たちのロボットが完成していれば・・・」ヘリコプターで上空から散水をする絶望的なテレビ映像を見ながら
中西と浦田は歯がみした。
2人が開発していたロボット「S1」は、歩行中に前後左右から蹴飛ばしても転ばない。がれきの山をスイスイと
登っていく。その高い重心制御技術は、後に世界のロボット技術者から「ウラタ・レッグ」と呼ばれる。実地に耐える
ロボットの開発を目指す2人は加藤に資金調達を頼みシャフトを立ち上げた。
米国と韓国は、この頃から2足歩行ロボットへの投資を一気に拡大する。だが日本では、開発予算が削られた。
VC(ベンチャーキャピタル)など金融機関の反応も鈍かった。
「日本では無理かもしれない」
思いつめた加藤は、中西と浦田に開発を続けさせるため、1人でシリコンバレーに飛ぶ。程なく複数の投資家から
「話を聞きたい」というオファーが舞い込んだ。米グーグル(現アルファベット)もその中の一社だった。
2013年6月、3人は東京・お台場のオフィスでグーグルとの2度目の電話会議に臨んでいた。電話の向こうで話して
いるのが誰だかよく分からなかったが、どうやら相手はシャフトの技術が気に入っている様子で「一度、実物を見たい」
という。もちろんウエルカムである。来日は7月18日に決まった。
視察チームのリストに見覚えのある名前があった。アンディ・ルービン。
世界で最も普及しているスマートフォンのOSである「アンドロイド」を開発し、その会社をグーグルに売って同社の技術
部門担当副社長に収まった大物である。そのルービンは中西と浦田が実機を動かすと、顔を真っ赤にして興奮した。
「この関節はなせこう動く?この機構の仕組みは?」。約3時間、思う存分、質問したルービンは「少し話をしよう」と
3人を会議室に誘った。

「君らのロボットは素晴らしい。グーグルが出資するのは難しいことではない。この程度の投資ならこの場で、
私が決められる。だが、足りない技術もあるからグーグルの傘下に入って、
他の優秀なエンジニアたちと組む
手もある。君たち次第だ。金額を決めてくれ。
私はこれから30分、外でコーヒーを飲んでくる」
3人は開いた口が塞がらなかった。
「おい今、投資するって言ったよな」
「言った。で、どうする」
「売ってもいいんじゃないか」
加藤は慌ててパソコンをたたき、将来性を含め、フェアと思える金額をはじき出した。コーヒーブレークから
戻ったルービンはその数字を見て言った。

「OK、検討可能な金額だ。あとは彼女と話を進めてくれ」
ルービンについてきた女性の役員がにっこりほほ笑んだ。それから目が回るほどの忙しさで4ヶ月が過ぎ、
ついに会社の売却が決まった。
その年の終わり、米国防省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催するヒト型ロボットの競技会で、
米航空
宇宙局(NASA)やMITのチームを抑え、シャフトはぶっちぎりの1位に輝いた。
今、中西と浦田はグーグル・ロボティクスの一員として、日本で働いている。直属のボスはグーグル創業者の
ラリー・ペイジである。
会社を売却して億万長者になった浦田がある日、ポツリと漏らした。
「俺、税金を払いたくない」
巨額の所得税を払わなければならないが、浦田はカネが惜しいわけではなかった。加藤が代弁する。

「一番助けてほしい時に、日本は僕らを見捨てた。認めてくれたのはアメリカでした。なのになぜ、日本に税金を
納めなくてはならないのか。
ましてや、その税金が僕らを全面否定して産業革新機構を通じて、経営に失敗した
大企業の救済に投じられる・・・。やるせないですよ」

グーグル・東大連合の波紋 税金投じた技術、海外流出 日経新聞2014年2月14日

「なんで海外なの」。1月、経済産業省幹部が1件の企業買収に声を荒らげた。米グーグルによる
東大発ベンチャー、SCHAFT(シャフト)の買収だ。同社は昨年12月に米国防総省が開いたロボット
技術の競技会で首位になり、日本発の高い技術を見せつけた。

幹部が憤るのは、SCHAFTの人型ロボットの核となる特許に国の予算が投じられているから。
特許の一つは、もとは経産省傘下の産業技術総合研究所での研究が生んだものだ。経産省は金額を
明らかにしないが、同社の技術に税金が入っていることは認める。

関係者によると、SCHAFTは日本企業にも支援を打診したが、断られたという。経産省所管の官民
ファンド、産業革新機構も打診を拒んだという。

「せっかく日本で生まれた技術をなぜ国内で育てられないんだ」。経産省幹部には、グーグルによる
買収が「研究は一流、事業化は二流」という日本のベンチャー育成の縮図に見える。
経産省は6月に改定する成長戦略の目玉に、日本の大企業によるベンチャー企業のM&A(合併・
買収)拡大を据える方針だ。グーグルの買収は、具体策を練ろうという矢先に起きた。身内もからむ
不都合な買収劇に、経産省関係者は動揺を隠せないでいる。

経産省の対応のひどさ…そりゃ日本はオワコンになりますって(;´Д`)

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