この9ヵ月間の訪日外国人を国籍・地域別に見ると、中国人556万人、韓国人522万人、台湾人346万人で、このトップ3だけで全体の67%を占めている。特に、韓国人の前年同期比の増加率は35.7%と突出しており、このペースが続けば過去最高の年間700万人前後になる。韓国の人口を考えれば、今年1年間だけで、何と韓国民のおおよそ7人に1人が訪日することになるというから驚きである。
韓国人は海外旅行好きで知られている。韓国メディアが「年間2000万人出国時代」と報じたのは2年以上前だから、今年は2200万人近くが外国旅行をすることになるのではないか。勿論、韓国にも国内旅行を楽しむ人は多く、済州島、ソウル、釜山が人気だそうだが、如何せん見るべき観光地が少なく、すぐに「見尽してしまう」という。そこで、次に向かう先が近隣のアジア諸国ということになり、日本、中国、台湾、タイ、ベトナムなどが好まれているようだが、中国への旅行は外交問題も絡んで減少傾向にあり、今や、日本がダントツ1位の人気旅行先になっている。
では、韓国人お気に入りの日本の旅行先はどこかというと、韓国の大手旅行会社の調べでは、大阪、沖縄、東京の順だそうである。特に大阪は韓国の国内旅行先も加えた人気ランキングで済州島に次いで2位に入り、3位のソウルより上位にランクされているという。そう言えば、日本に在留する韓国人の集住先が大阪・兵庫地域であり、都道府県別でも大阪が東京を上回って第1位である。大阪の街の雰囲気が韓国人に合っているのかも知れない。
ところで、韓国自身は今年に入って外国人旅行客の大幅減少に頭を抱えているようだ。その第一の原因が迎撃ミサイルTHAADの配備が外交問題になって中国人観光客が前年比で半減しそうなことである。昨年は1724万人の外国人観光客を数えたが、今年は1300万人前後まで落ち込むのではないかと見られている。
この悲観論の背景にあるのは中国との問題だけではない。最近は韓流ブームで外国の女性観光客を集めてきた流れに変調が表れているという。その最大の原因が一連のレイプ事件で、オーストラリアのメディアによる「女性観光客にとって危険な国」ランキングでは韓国がインドを抜いて第1位になったと報じられている。
事実、日本人の韓国旅行ブームも2012年の352万人(中国を抜いて第1位)をピークにその後毎年2ケタのペースで減少しており、今年は130万人前後と見られている。韓国では、日本人の旅行中の消費が相対的に少ないことから「日本人はケチ」などと言われているようだが、問題はそこにはない。
慰安婦や徴用工の問題、あるいは竹島の領有権をめぐって反日的な言動を執拗に繰り返す韓国官民の対日姿勢に多くの日本人がウンザリしているのではないか。当の韓国人は「歴史問題と旅行は別」と割り切っているようだが、批判される側の日本人はそういう訳にはいかない。
最後に、韓国旅行をめぐる面白いデータを紹介したい。それは外国人観光客のリピート率に関するもので、日本の場合は61.1%なのに対して韓国の場合は38.6%に留まるらしい。韓国メディアの「連合ニュース」が昨年のデータとして報じたものだが、これは「見るべきものが少ない」という韓国の観光事情のほかに、「旅行中にイヤな思いをした」という感想が多いこととも無関係ではない。物価も期待したほど安くはないのであろう。私個人は仕事の関係で何度も韓国を訪問し、友人もいるが、私的に観光旅行しようという気にはならない。
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坂場三男(さかばみつお)略歴
1949(昭和24)年、茨城県生れ。1973年横浜市立大学文理学部文科卒業。同年外務省入省。フランス、ベルギー、インド、エジプト、米国(シカゴ)等に勤務。外務本省において総括審議官、中南米局長、外務報道官を務める。2008年、ベトナム国駐箚特命全権大使、2010年、イラク復興支援等調整担当特命全権大使(外務本省)、2012年、ベルギー国駐箚特命全権大使・NATO日本政府代表を歴任。2014年9月、外務省退官。2015-17年、横浜市立大学特別契約教授。現在、JFSS顧問、MS国際コンサルティング事務所代表として民間企業・研究機関等の国際活動を支援。また、複数の東証一部上場企業の社外取締役・顧問を務める。2017年1月、法務省公安審査委員会委員に就任。著書に『大使が見た世界一親日な国 ベトナムの素顔』(宝島社)等がある。
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