ホリエモン×ひろゆきが絶望視する、大多数の国民が気づいていない“ヤバい状況”--「世界から見たら何周遅れだよ」
世界から遅れている感が否めない日本のEVシフト。
『週刊プレイボーイ』の対談コラム「帰ってきた! なんかヘンだよね」で、“ホリエモン”こと堀江貴文氏と元「2ちゃんねる」管理人のひろゆき氏が前編に続き、懸念する「日本の未来にとってヤバい状況」とは?
* * *
ひろ それに、自動運転の技術もそう簡単にはつくれないですよね。ガソリンエンジンは長年培ってきたノウハウがものをいうように、自動運転のノウハウも蓄積部分がかなり重要。つまり、早く手がけた会社のほうが絶対的に有利なんです。事故を多く起こした会社のほうが、事故の要因と対策をいっぱい持ってるわけですから。
ホリ そうなんだよ。ディープラーニングは蓄積してきたデータが多いほど正確になっていくからね。んで、似たような話だとコンビニの万引き防止のディープラーニングのために、万引きしてもOKというコンビニをつくったって話がある。これは、見つからずに万引きできたらタダで商品をもらえるっていうやつ。でも、画像認識もどんどん賢くなっていくから、半年後には誰も万引きできなくなったっていう。
ひろ はいはい。中国の無人コンビニでそんな実験やってました。
ホリ 中国では「芝麻(ジーマ)信用」っていう、ビッグデータ解析で数値化した個人の信用スコアがあるんだけど、それとも連動するらしい。もし万引きが見つかったらこのスコアが劇的に下がるから、万引き抑止につながる。まさに技術で万引きを解決しようとしている。
ひろ そういうのは中国が進んでいますよね。
ホリ ただ、自動運転は事故を故意にたくさん起こせないのが難点ではあるよね。
ひろ ITはすでに特許で技術を守る時代じゃなくて、言語化できないノウハウをいかに蓄積していくかが重要になっています。日本はそれに気づいているのかって話ですよ。
ホリ そういうのを許す風潮が日本にはないよね。法的にも国民の感情的にも。
ひろ 中国のコンビニの例なら「万引きを許すなんていかがなものか?」みたいな、すげーめんどくさい形で炎上しそうですよね。あるコンビニが違法駐車対策として、駐車場のクルマに「タイヤロック中」「はずしてほしかったら4万ください」って張り紙をしたらしいんですけど、それに批判が殺到して、コンビニが謝罪に追い込まれるような国ですから。
ホリ そうやって「けしからん」とか言っている間に世界から取り残されていくのにね。
ひろ 時代や技術の変化に追いつくためには、「人材」と「お金」と「法」の3つが必須なんですけど、日本は全然そろっていない状況なんです。しかも、「日本の未来にとってヤバい状況」ってことに大多数の国民が気づいていなかったりする。
ホリ みんなで貧しくなっていくって感じかね。
ひろ まあ、気づいたときには手遅れってパターンな気がします。日本ってなまじ過去の遺産が多いので「別に新しいことをしなくていいじゃん!」って層が強いですから。
ホリ まだ「中国より日本の技術のほうが圧倒的に進んでいる」と思っている人も多いだろうし。
ひろ シンガポールみたいに、元々なんにもない国は「新しいことをやらないと国がヤバい」ってわかってるので、必死で対応しようとしますよね。日本が世界に取り残されていくのは、こういった背景があるのかなと。だって、今さらカジノをつくるとか騒いでいますけど、世界から見たら何周遅れだよって話なわけですから。
(構成/杉原光徳 加藤純平 イラスト/西アズナブル)
●堀江貴文(ほりえ・たかふみ)
1972年10月29日生まれ、福岡県出身。旧ライブドア社長。SNS株式会社オーナー兼従業員。『やっぱりヘンだよね』(集英社)が好評発売中
●西村博之(にしむら・ひろゆき)
1976年11月16日生まれ、神奈川県出身。元『2ちゃんねる』管理人。近著は『無敵の思考―誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21』(大和書房)