5年連続の“官製春闘”で糊塗するアベノミクスの経済失政
ロコツな政治介入はこれで実に5年連続となる。26日の経済財政諮問会議で、安倍首相が経済界に「3%の賃上げ」を迫った。時の政権トップが民間企業の給与水準にまでくちばしを挟み、「賃金を上げろ」と圧力を加える姿は異常だ。ましてや、本来なら労使が話し合って決める賃上げ水準について、具体的な数値まであげるなんて許されない。
日本経済は、物価がほとんど上がらず、したがって実質賃金は横ばい状態だ。連合でさえ、来年の春闘での要求は「月給の2%程度のベア」にとどめている。労組すら求めていない水準の賃上げを、国家権力をカサに着て安倍首相が財界トップに持ちかけるとは、もっての外だ。
政治介入を慎むことこそ権力者に求められる姿勢であることが、どうして安倍首相には理解できないのか。5年も「官製春闘」を続けること自体、総理としての資格がないことを物語る。