トップ > 三重 > 11月3日の記事一覧 > 記事
三重国内最古の鉄道貨車取得 いなべの貨物鉄道博物館
明治時代に旧関西鉄道(現JR関西線など)で使われた鉄製貨車が、いなべ市の貨物鉄道博物館(三岐鉄道三岐線丹生川駅隣)に収蔵された。四日市製で、国内に現存する最古の鉄道貨車とみられる。茨城県で解体されるという情報を聞いた博物館が働き掛け「帰郷」を実現させた。 取得した貨車は一九〇〇(明治三十三)年に関西鉄道四日市工場で製造された「四五八号貨車」。二一年に竜崎鉄道(現関東鉄道竜ケ崎線)に譲渡され、六〇年代に引退した。近年は竜ケ崎駅(茨城県龍ケ崎市)で油類の倉庫に使われていたが、今年八月、車庫の改築に伴って解体が決まった。 博物館の南野哲志理事(46)は「以前から三重県ゆかりの鉄道遺産として注視していた。八月に四日市市博物館の企画展に貨車の写真が出ていて解体を知り、急いで交渉した」。関東鉄道側が無償譲渡を快諾し、九月二十一日に博物館に着いた。 車輪やブレーキ装置は失われているが、保存状態は良好。全長四・五メートル、高さ二・一メートル、重量は不明。積載荷重七トンと現代の貨車よりもかなり小柄だ。南野理事は「製鉄技術が未熟だったため、鋼材は全て外国製。このサイズが当時の技術の限界だったのではないか」と見る。 博物館は二〇〇三年、鉄道の貨物輸送百三十周年を記念してオープン。明治-昭和の貨車や機関車十六台を収蔵する。南野理事は「県内ゆかりの車両としては二台目で、全国的にも大変貴重な明治の産業遺産。来年の開館十五周年に向け、修復や実測調査を進めていきたい」と話す。 博物館は毎月第一日曜のみ開館(一月は第二日曜)。四五八号貨車は外部に展示してあり、閉館時でも見学できる。 (遠藤康訓)
|
|