雨の中、津波タワーを巡って歩きました。
「津波タワー」をご存じだろうか。東日本大震災以降、静岡を中心に作られた、その名の通り津波から逃れるための構造物である。
すくなくともぼくが住んでいる川崎の近所にはないものだ。とても興味がある。どんなものなのか。 先日ようやく訪れることができたので、その様子をご覧ください。津波タワー、いっしょけんめいでかわいかったです。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。
前の記事:「フーバーダムはまわりがすごい」 人気記事:「マンションポエム徹底分析!」 > 個人サイト 住宅都市整理公団 津波タワーの不思議な感じについて一生懸命考えた道中「実は津波タワーは避難施設として万全ではない」という意見もあったりするが、ここではそういうことはとりあえず置いておく。
災害への対策がもたらす日常の風景としてとても興味深い、ということがいいたいだけなので、その点よろしくお願いいたします。 で、今回巡ったのは、静岡県は吉田町の津波タワーたち。他の市にもあるが、この町のものは独特だと知って訪れた次第だ。 それでは写真をどうぞ。 最初に出会った津波タワー。初対面の感想は「思ったよりタワーじゃない」というものだった。
当然のことながらいつでも登れるようになっているので、上がってみる。
上はこんな。なんかすごく不思議な感じがする。何かっぽい(何を彷彿とさせるのか後に分かった。後述)。
高さ10m弱、1300人が収容できるそうだ。こういう銘板、いいよね。
タワーの下の風景も興味深かった。小一時間滞在した。
どうでしょうか。すごく不思議な感じ。他にこういう構造物ってない気がする。丈夫な柱が建ち並び、上にデッキが載っているだけ、って。
なんだろう、これ。誰が見ても分かりやすい構造だけど、なんか不思議だ。 この不思議さは、おそらく「構造しかない」というところから来ている。もちろん、上にたくさんの人を乗せて津波から守る、という機能があるのだが、なんというかその機能って単純すぎて、むき出しの構造の存在感のほうが卓越して際立っている。 うん、うまく説明できないぞ。 その点、次に近くで見た歩道橋タイプの津波タワーは不思議さが薄かった。 数百メートル行ったところで次に出会ったのが、これ。遠目には完全に歩道橋。実際「え、あれか!? 歩道橋じゃないの?」って思った。
津波タワーだと知らされなければ単なる歩道橋として見過ごされてしまいそう。
上にのぼるとようやく「歩道橋にしちゃなんだか広いな」となる。
道路の上に津波タワーがあるとはびっくり。
しかし一方で、さきほどのような違和感は少ない。これは「歩道橋」という、知っている構造物に似ているからだ。「柱で支えられ持ち上げられたた梁」というものと、「渡るため」という機能はマッチしているため不思議感がない。 さっきのは「渡るため」じゃないのに橋っぽいから不思議なのだな。 というように、巡っているあいだ中、ずっと頭の中でぐるぐると「津波タワーの不思議な感じって何なのだろう」と考えていた。 ともあれ、このような道路の上に津波タワーを作ったのはここ吉田町がはじめてだそうだ。冒頭で独特と書いたのはこれのこと。 上から見た道路の風景。ここが津波に覆われる風景は、いまはうまく想像できない。自分の家が飲み込まれるのを見る人がいる可能性もあるのか。このタワーが役に立つ機会がないままだといいな、と思った。
こちらはみっつめの津波タワー。最初のと同じように敷地に建っていて、歩道橋タイプではない。
うん、やっぱりふしぎだ。慣れない。
下の様子をパノラマで。
上の様子をパノラマで。
それにしても雨がやまない。
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