今回の説明会でのハイライトは「バッテリー駆動時間」だ。Qualcommの公式資料では「従来比で最大50%のバッテリー駆動時間」という数字を出しており、同時に複数の関係者が「非常に素晴らしい(バッテリー駆動時間)」と何度も強調している。Microsoftのバーナード氏は製品検証のために日々Snapdragon 835のプラットフォームを利用しており、この恩恵を実感しているとも述べた。
このバッテリー駆動時間について「MacBookやChromebookなどのライバルと比較して、どの程度なのか?」という質問があった際、同氏は「(バッテリー駆動時間は)非常に高い目標値を設定していたわれわれの当初の想像を超えている。日々の利用でバッテリーチャージャーは持ち歩いておらず、その充電周期も2~3日ごとで済んでいる。もちろん、これはリファレンスデザインの話であり、市販製品の実装は各社の対応による。とはいえ、これがバッテリー駆動時間の実際であり、“ゲームチェンジャー”と呼べるものだろう」とコメントし、自信を見せた。
小まめな充電など必要なく、バッテリー残量を気にすることなく、日々持ち歩いてPCを利用でき、毎晩あるいは忘れたときにはその翌日の充電でも問題ない、というのがSnapdragon 835搭載Windows 10 PCの特徴となる。非常に興味深い話だ。
もう1つ、このSnapdragon 835搭載Windows 10 PCで知っておきたいのが、ターゲットとしている市場が「プレミアム」という点だ。
Snapdragon 835はQualcommが提供するSoCとしてはハイエンドに位置しており、これを搭載したスマートフォンは最低でも8~10万円クラスの価格帯にある。これはPCにおいても同様で、恐らくはスマートフォンのそれを上回る価格帯となることが容易に想像でき、最低でも13~15万円クラスの製品になるのではないかと考える。
かつては、AMR SoC搭載でPC向けWindows 8とほぼ同様の操作性を提供するWindows RTデバイスが比較的安価に販売されたこともあり、ARM SoCに「安価なPC」を期待する人は少なくないだろうが、今回はx86プロセッサを搭載する同クラスのマシンとほぼ同等の値付けになると考えていい。価格よりはむしろ「Always Connected PC」と「驚異的なバッテリー駆動時間」の部分を各社は強調してくることになるだろう。
もっとも、このプレミアム指向はローンチ初期の話だ。立ち上げてから市場の動向を見てミドルレンジ以下のクラスに製品を展開する計画があることを、Microsoftのバーナード氏とQualcommのマグワイヤ氏がともに認めている。その際には、プレミアムPCとは異なるフォームファクタやデザインの製品が投入されてバリエーションが増加する可能性が高く、その意味でも楽しみだ。
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