「貧困を脱した沖縄女性」が語る壮絶なる貧困

幼少時代はツナ缶と庭のヨモギが夕飯だった

新垣友香さん(仮名、27歳)は「沖縄の貧しさの実態を知ってほしい」と編集部に連絡をくれた(編集部撮影)
この連載では、女性、特に単身女性と母子家庭の貧困問題を考えるため、「総論」ではなく「個人の物語」に焦点を当てて紹介している。個々の生活をつぶさに見ることによって、真実がわかると考えているからだ。
今回紹介する女性は、沖縄の琉球大学を卒業し、上京して非正規社員として働く27歳の女性だ。年収300万円に満たないが、沖縄に比べると「破格に高い」と話す。

「沖縄はみんな貧しさに慣れ切っている」

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「沖縄はなにもかもが貧しい。沖縄を出て東京で暮らすようになって確信しました。本当に深刻な状態だと思います」

“沖縄県の貧しさを知ってほしい”と編集部に連絡をくれた新垣友香さん(仮名、27歳)は現在、都内の第三セクターで非正規社員として働く。手取りは月に19万円程度で年収300万円に満たない。しかし、沖縄で働いた場合に得られる賃金と比べれば破格に高いという。

新垣さんは、沖縄県中部出身。地元高校から琉球大学を卒業して地元の大手企業に就職。1年前、長時間労働で身体を壊して退社。上京して現職に就いた。高校時代の友人と家賃7万円のアパートをルームシェアし、余裕はないものの普通の生活を送っている。

「沖縄は貧しいのに、みんな貧しさに慣れ切っている。おかしいと中学生の頃から思っていました。少なくともみんながご飯を食べられて、勉強したい子は勉強できる環境があるべき。けど、ない。問題だらけ。なのに、みんな沖縄という物差しでしか物事を考えられないし、他県との交流はないので沖縄だけで完結しちゃう。『なんくるないさー(なんとかなるさ)』って、本来はやり尽くしてから出る言葉ですよね。ぬるま湯を抜けないと、沖縄はまずいと思います」

沖縄県の平均月収は23万6300円(平成28年賃金構造基本統計調査)。数年で若干上昇しているものの、東京都の37万3100円とは大きな乖離がある。年収だけでなく非正規雇用率、離職率、有効求人倍率も都道府県中最低で、県内には貧困が蔓延している。

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  • NO NAMEbf0ee79d8f28
    西原理恵子氏が記憶している、氏の地元高知での高校生時代までの描写と重なる部分が多い気がする。帰らない方がいいと私も思います。帰るのだったら、琉球大の講師とか就職先を確保してから。そこを辞めさせられたら、また沖縄を出たほうがいい。
    また、内地が「仕事や人間関係が厳しい」というけれど、そうではない企業も多い。頑張って。
    up9
    down1
    2017/11/3 06:12
  • 沖縄県民ですが0c76917342aa
    うーん。なんだかなぁって感じ。
    そうだ!そうだ!とは言えない。
    三世帯一緒に住んでる家族は、そんなに多くないし、離婚率は高いと思うけど、そこまでじゃない。

    up7
    down0
    2017/11/3 06:58
  • NO NAME699da792749f
    沖縄県に限らず貧困家庭はいっぱいある。

    今出来る事を全力でやると改善するんだけど、被害妄想が先行して諦める人が多いんだ。
    世の中、不平等は、当たり前
    それを踏まえて、どう頑張るか!

    政治や環境に文句ばかり言って、やることやらなすぎな人が多いのが現状です。
    up11
    down6
    2017/11/3 06:59
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