富士通は11月2日、富士通のPC事業を行う子会社、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)の株式の51%を中国Lenovoに譲渡するとして、Lenovoと緊急共同記者会見を行い、合弁会社化による各社のメリットや展望を説明した。
会見では、富士通の田中達也社長とFCCLの齋藤邦彰社長、Lenovoのヤンチン・ヤン会長とシニアバイスプレジデントのワイミン・ウォンさんが登壇した。
富士通の田中社長は、富士通ブランドはこれからも変わらないことを強調しながら、Lenovoによる部材調達力やスケールメリットが事業成長を進めると説明。ビジネスモデルの変革に取り組む中で、「グローバルリーダーであるLenovoとの協業がベストだと判断し、協議してきた」という。
2016年10月に事業統合のうわさが報道されてから、正式合意まで1年かかったのは調整が長引いたのかという質問について、「どのようなシナジーがあるか、お客さまにどんなメリットがあるか、本当に本音で徹底的に議論した」(田中社長)、「中国にはこんな意味のことわざがある。『良い結婚を望むならば少し待った方が良い』。時間をかけた徹底的な議論に非常に満足しているので、これは良い結婚になると思う」(ヤン会長)とそれぞれ述べた。
Lenovoのワイミン・ウォンさんは、世界第3位である日本のPC市場が「今後数年、さらに需要が拡大する」とし、さらに「日本のPCユーザーは先進性を好み、一人当たりのPC売上額が最も大きい」と日本のPC市場に投資する理由を説明。
「富士通はPCの強力なプレミアムブランドであり、Lenovoとの協業がさらに富士通の市場での存在感を押し上げていくことになるだろう」と協業のメリットを述べた。
この戦略的提携では、PCやタブレット、シンクライアントやVRヘッドセットなどのコンピューティングデバイスの研究開発、設計、製造を富士通とLenovoで共に行う。しかし、合弁会社化したFCCLはあくまで独立した組織として、これまでのFCCLから組織やメンバーの変更はないという。
Lenovoが持つNECのPC事業とどのように差別化するのか、統合があるのかという問いについては、統合や工場閉鎖などの予定はないとした上で「より多くの選択肢をお客さまに提供できる」とそれぞれが事業を継続するメリットを説明した。
Windows Mixed Reality(複合現実:MR)対応ヘッドセットを両社がそれぞれ販売していることについても、互いに製造・販売を続けながら、相互作用できる部分は互いの製品に応用していきたいとしている。
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