JR西日本(大阪市北区)はこのほど、国鉄の分割・民営化による会社発足30年を振り返る「JR西日本30年史」を発刊した。2005年4月、乗客106人が犠牲になった尼崎JR脱線をはじめとする事故や、その後の安全対策にも多くのページを割いており、担当者は「編さんにあたり、同じような事故を二度と起こさないとの思いを受け継ぐことに特に留意した」としている。
「20年史」は尼崎脱線事故などで発刊しておらず、20年ぶりの社史となる。A4判全403ページ。「沿革史」「事業史」など構成される7編のうち1編を「福知山鉄道事故」とし、事故や裁判の概要、社としての反省、被害者への対応などを19ページにわたって記載した。信楽高原鉄道事故や山陽新幹線トンネルでのコンクリート片落下なども「重大事故」編としてまとめた。
安全については「テーマ史」編の中で約40ページを使い、脱線事故後に制定した安全憲章や取り組みなどを紹介。2009年に発覚した、同社が事故調査委員会から報告書の一部を不適切な方法で入手した事案にも触れ「(世の中の)信頼を裏切り、不信の念を抱かせ」たと記述した。
JR西は社史を3500部印刷し、行政機関や取引先企業、主な図書館などに配布する。(小西隆久)