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生き残るのはどの銀行!?全国地銀106行「収益力」ランキング

熾烈なレースが始まっている

低金利と人口減少のダブルパンチによって、地方銀行が最大のピンチを迎えている。存続できる地方銀行は現在の半分以下という厳しい予想もあり、経営体力の強化を目指した経営統合が相次いでいる。

だが、地銀が抱える問題は、規模を大きくすれば解決するというほど単純な話ではない。生き残るのはどの地方銀行なのか、100行の経営状況を徹底的に分析した。

 

人口減少の打撃はこれから

今年9月、ある衝撃的なレポートがIMF(国際通貨基金)のブログサイトに掲載された。日本の金融システム調査のために来日したIMFのエコノミストが、地方銀行の状況について調査を行い、「一部の地方銀行は今後、20年間で預貸率が40%低下する可能性がある」と指摘したのだ。

預貸率とは、集めた預金のうち何%が融資に回っているのかを示す指標のことである。現在、地方銀行の預貸率はおおよそ70%程度となっており、すでに預金の3割を余らせた状態にある。

だが、預貸率がここから40%低下するということになると、70%の40%なので最終的には30%まで預貸率が落ち込む計算になる。

これは、一部の地域では融資先が消滅し、仮に預金を集めることができたとしても、その3割しか貸付けできなくなることを意味している。これでは銀行の経営そのものが成り立たない。

日本が人口減少という大きな問題を抱えていることは、ほとんどの人にとって共通認識となっているが、実は日本の人口はそれほど減っていない。

2015年と2016年の比較ではわずか0.13%であり、もう少し過去に遡っても結果は同じである。厳密に言うと、これまでは「人口減少社会」ではなく「人口横ばい社会」だったと考えた方がよい。

だが今後10年は、いよいよ人口の絶対値が本格的に減り始める。本当の意味で人口減少の影響が出てくるのはこれからなのだ。

増え続けてきた人口が横ばいになっただけで、多くの業界に逆風が吹いたことを考えると、本格的に人口が減った時のインパクトは計り知れない。

この問題が地方にとって特に深刻なのは、人口減少が人口動態の変化を促すからである。具体的には、人口が減るにつれて都市部への人の移動が進み、地域経済を運営できないエリアが続出することになる。

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すでに存続の危機に陥った地銀も

地方銀行はこうした人口動態の影響をもっとも受けやすい。

日本の銀行は、全国展開を行うメガバンクと地域限定でサービスを提供する地方銀行に明確に区分されてきた。

大企業の多くが首都圏など大都市圏に集中していることから、実質的にメガバンクは大企業と取引を行い、地方銀行は各地域にある中堅中小企業と取引を行う形にならざるを得ない。

つまり地方銀行は、地域にある中小企業に融資する役割が当初から与えられていたことになる。

ところが、人口減少の影響から、エリアごとに棲み分けが出来ていた地域金融機関のバランスが崩れはじめた。商圏を維持できる銀行とできない銀行の差が大きくなり、経営の存続が危ぶまれる銀行が出てくるようになった。

このところ地方銀行が相次いで経営統合を発表しているのは、こうした事態への対応策ということになるが、地方銀行はむやみに規模を追求すればよいというものではない。異なる商圏で活動していた地方銀行を単純に合併させてもシナジー効果は小さいからである。

結局のところ、地方銀行は地域の実情に合わせた経営を模索するしか生き伸びる方法はなく、それができる銀行とできない銀行に明確に分かれてくるだろう。