白石容疑者に30回会った女性

白石容疑者に30回会った女性
神奈川県座間市のアパートの部屋で、切断された9人の遺体が見つかった事件で、逮捕された白石隆浩容疑者は、ことしのはじめ頃まで東京・新宿や池袋で風俗店で働く女性を集める、いわゆる「スカウト」の仕事をしていたということです。去年の夏ごろ、スカウトとして働いていた白石容疑者と知り合い30回会ったことがあるという都内の20代の女性に記者が話を聞きました。(個人が特定されるおそれがある部分など一部、除いています)(社会部記者 市川不二子)
(記者)白石容疑者が逮捕されて率直にどう感じましたか?
(女性)そうですね、(報道で)最初に顔写真を見たときに彼だということに気付いて、最初は何が何だか分からないパニックみたいな感じでした。周りに電話をかけて、あの人が捕まったんだという話をしてどう対処したらいいのか、感情の整理が追いつかなかったですね。

(記者)自宅から9人の遺体が出てきたことについては?
(女性)やっぱり、「なぜ?」とか、「この人が?」っていう言葉しか出なくて。どんなに考えても、あの人が殺人を犯すってのは、思いもよらなくてそういうふうに結びつかないですね。どうしても。

(記者)白石容疑者はどういう人柄でしたか?
(女性)とても優しくっていい方で、社会人としても、よくできた方だったし、悩みなども聞いてくださったので、とてもいい人であったと思います。

“優しくていい方”

(記者)白石容疑者が逮捕されて率直にどう感じましたか?
(女性)そうですね、(報道で)最初に顔写真を見たときに彼だということに気付いて、最初は何が何だか分からないパニックみたいな感じでした。周りに電話をかけて、あの人が捕まったんだという話をしてどう対処したらいいのか、感情の整理が追いつかなかったですね。

(記者)自宅から9人の遺体が出てきたことについては?
(女性)やっぱり、「なぜ?」とか、「この人が?」っていう言葉しか出なくて。どんなに考えても、あの人が殺人を犯すってのは、思いもよらなくてそういうふうに結びつかないですね。どうしても。

(記者)白石容疑者はどういう人柄でしたか?
(女性)とても優しくっていい方で、社会人としても、よくできた方だったし、悩みなども聞いてくださったので、とてもいい人であったと思います。

“トラブルを解決してくれる人”

(記者)白石容疑者と出会ったきっかけは?
(女性)私がちょっと風俗の仕事をしているんですけども、その際にツイッターで、「出稼ぎ、行きたい」とつぶやいたところ、向こうから接触があり、それで連絡を取るようになって。仕事上の関係でした、最初は。

(記者)出会ったのはいつですか?
(女性)去年の8月の下旬ごろに連絡を取り始めて、9月には仕事を紹介していただきました。誠実に対応してくれたのと電話などでいろいろ話を聞いてくださったので、この人なら大丈夫だろうっていうことで、最初は顔も合わせずに仕事に向かいました。

(記者)仕事をする中でトラブルがあったときにどう対処してくれたのですか?
(女性)給料が支払われないという結果になってしまったときに、約5、60万の大金を、自分の財布から出してくださって私にお支払いしてくれたこともあったんで、トラブルはあったとしても解決してくれる人でした。

(記者)スカウトでそこまでしてくれる人はあまりいないのですか?
(女性)滅多にいないですね。やっぱり紹介して、自分に紹介料が入ったらもう後は知らぬ存ぜぬという方がほとんどだったので、自分の財布から出すっていう人は本当にいないと思います。

“悩みを打ち明ける相手だった”

(記者)その後はどういう関係だったのですか?
(女性)約30回会ったんですけど。仕事の話をするだけの日もあれば、一緒にご飯やカラオケなどに行ったことも、私の家に招いたこともあります。仕事上どうしても愚痴が出てくるので、そういうお店の悩みだったり、自分の仕事上の悩みだったりを打ち明ける相手という感じで会っていました。

(記者)今回の事件のような凶暴性というか残酷な点とか、感じたことはありましたか?
(女性)特には、私は感じられなかったですね。ただ、人の個人情報、写真や家や収入に関する面を他人に話してしまったりだとか少し常識に欠ける部分はあったんですけども。私がホラー映画が好きなので、一緒に見ないかとお誘いをしたところ断られてしまって、あまり得意ではないっていうふうに言ってました。
この女性は、ことし1月を最後に白石容疑者と連絡が取れなくなったそうです。その頃、白石容疑者は売春行為をさせている風俗店と知りながら店に女性を紹介したとして、職業安定法違反の疑いで茨城県警に逮捕されました。その後、白石容疑者は有罪判決を受け執行猶予となりましたが「スカウト時代に知り合った人とは連絡を取りたくなかったのではないか」とこの女性は推察しています。

“女の子の扱いには慣れていたと思う”

(記者)今回の事件についてはいつ気付きましたか?
(女性)先月31日の夕方ごろかな。テレビで写真が載っていて、そのまさかっていうふうに。調べたら、彼だったっていう感じです。

(記者)まだ詳細はわからない面もありますが自殺をしたい女性を誘い出したと。自殺をしたい女性に対しての関心は感じましたか?
(女性)そうですね。私は比較的、仕事がどうしても、疲れやすいというか、ストレスがたまりやすい仕事だったので、よく彼に死にたいっていうふうに漏らしていたんですけど、その時に、「俺が一緒にいる」とか、「1人が怖いんだったら、一緒にいるから」ってことは、何回も繰り返し言ってたので。

(記者)自殺をしたい、とつぶやいた人に対して彼が接触した場合、誘導が巧みにできると思いますか?
(女性)そうですね。やっぱりスカウトマンということで、女の子の扱いには慣れていたと思います。

(記者)皆さんの悩みを聞いているからうまくできた可能性がありますか?
(女性)そうですね。普通の人よりは、もう何倍も扱い慣れているかなと。

(記者)自殺したいという人たちを何とかしてあげようとは言ってなかったですか?
(女性)そういうのは一切なくて、私が死にたいというふうにつぶやく時も、彼はそばにいるよとは言うんですけど、頑張って生きろとか、そういう言葉は特にはなかったので、彼自身も、仕事の面で病んで、死にたいと漏らす感じだったので。

(記者)彼が死にたいと漏らすのはどういう時でしたか?
(女性)仕事の愚痴とかをお互い言っているときに、もうこらえ切れないという感じで泣きながら、死にたいというふうに、言っていたりだとか。ただ今回の事件からすると、殺したいとか言ってたのかもしれないですけど彼はそういうことは言わずに自分が死にたい消えてしまいたいっていうことをよく漏らしていたので。

“きちんと償ってほしい”

(記者)白石容疑者を知る立場からすると、事件にどう向き合ってほしいと思いますか?
(女性)認めているんだったら、きちんと償ってほしいと思いますし、ふだんを知っているからこそ、二度とこちらに出てくることがなかったとしても、開き直ったりとかせずにきちんと償い続けてほしいなとは思います。

(記者)自殺をしたいという人がネット上にたくさんいて、それを手助けしようと書き込む人もいます。こういったケースでは犯罪に巻き込まれる可能性もあります。どうしたらよいでしょうか?
(女性)やっぱり、死にたいと思う人はいなくならないし、そういう人につけ込む人もいなくならないし、ただ、優しい言葉をかけてくれる人は、その人は正義なのかもしれないですけど、死にたいっていくら思ったとしても、そういう人たちの、口車に乗せられないで自分の道を生きてほしいとは思いますね。

(記者)自身も気をつけていましたか?
(女性)そうですね。人と接する時は十分に気をつけていたつもりだったんですけど。やはり、今回みたいに、どうしても見抜けなかったりとか普通ではありえない行動をしていても、親しかったり、いろいろなつきあいが長いと見落としてしまいがちだと思うので、特にそれがネット上だけだとか、初対面ってなってくるとほんと難しいかもと思います。
記者が話を聞いたおよそ1時間、彼女は、信頼していた人が逮捕されたことに動揺しながらも、記憶をたどりながら丁寧に語ってくれました。若い2人が「死にたい」と語り合っていた異様な世界。インタビューのあと、「この業界は死と隣り合わせ」とつぶやいた若い彼女に、考えさせられる取材でした。

取材班では、白石容疑者と接触したことがあるさまざまな方に話をお聞きしたいと考えています。ご協力いただける方は、「NHKニュースポスト」までご連絡ください。
https://www3.nhk.or.jp/news/contents/newspost/
(下の「関連リンク」からアクセスできます)
白石容疑者に30回会った女性

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神奈川県座間市のアパートの部屋で、切断された9人の遺体が見つかった事件で、逮捕された白石隆浩容疑者は、ことしのはじめ頃まで東京・新宿や池袋で風俗店で働く女性を集める、いわゆる「スカウト」の仕事をしていたということです。去年の夏ごろ、スカウトとして働いていた白石容疑者と知り合い30回会ったことがあるという都内の20代の女性に記者が話を聞きました。(個人が特定されるおそれがある部分など一部、除いています)(社会部記者 市川不二子)

“優しくていい方”

“優しくていい方”
(記者)白石容疑者が逮捕されて率直にどう感じましたか?
(女性)そうですね、(報道で)最初に顔写真を見たときに彼だということに気付いて、最初は何が何だか分からないパニックみたいな感じでした。周りに電話をかけて、あの人が捕まったんだという話をしてどう対処したらいいのか、感情の整理が追いつかなかったですね。

(記者)自宅から9人の遺体が出てきたことについては?
(女性)やっぱり、「なぜ?」とか、「この人が?」っていう言葉しか出なくて。どんなに考えても、あの人が殺人を犯すってのは、思いもよらなくてそういうふうに結びつかないですね。どうしても。

(記者)白石容疑者はどういう人柄でしたか?
(女性)とても優しくっていい方で、社会人としても、よくできた方だったし、悩みなども聞いてくださったので、とてもいい人であったと思います。

“トラブルを解決してくれる人”

“トラブルを解決してくれる人”
(記者)白石容疑者と出会ったきっかけは?
(女性)私がちょっと風俗の仕事をしているんですけども、その際にツイッターで、「出稼ぎ、行きたい」とつぶやいたところ、向こうから接触があり、それで連絡を取るようになって。仕事上の関係でした、最初は。

(記者)出会ったのはいつですか?
(女性)去年の8月の下旬ごろに連絡を取り始めて、9月には仕事を紹介していただきました。誠実に対応してくれたのと電話などでいろいろ話を聞いてくださったので、この人なら大丈夫だろうっていうことで、最初は顔も合わせずに仕事に向かいました。

(記者)仕事をする中でトラブルがあったときにどう対処してくれたのですか?
(女性)給料が支払われないという結果になってしまったときに、約5、60万の大金を、自分の財布から出してくださって私にお支払いしてくれたこともあったんで、トラブルはあったとしても解決してくれる人でした。

(記者)スカウトでそこまでしてくれる人はあまりいないのですか?
(女性)滅多にいないですね。やっぱり紹介して、自分に紹介料が入ったらもう後は知らぬ存ぜぬという方がほとんどだったので、自分の財布から出すっていう人は本当にいないと思います。

“悩みを打ち明ける相手だった”

“悩みを打ち明ける相手だった”
(記者)その後はどういう関係だったのですか?
(女性)約30回会ったんですけど。仕事の話をするだけの日もあれば、一緒にご飯やカラオケなどに行ったことも、私の家に招いたこともあります。仕事上どうしても愚痴が出てくるので、そういうお店の悩みだったり、自分の仕事上の悩みだったりを打ち明ける相手という感じで会っていました。

(記者)今回の事件のような凶暴性というか残酷な点とか、感じたことはありましたか?
(女性)特には、私は感じられなかったですね。ただ、人の個人情報、写真や家や収入に関する面を他人に話してしまったりだとか少し常識に欠ける部分はあったんですけども。私がホラー映画が好きなので、一緒に見ないかとお誘いをしたところ断られてしまって、あまり得意ではないっていうふうに言ってました。
この女性は、ことし1月を最後に白石容疑者と連絡が取れなくなったそうです。その頃、白石容疑者は売春行為をさせている風俗店と知りながら店に女性を紹介したとして、職業安定法違反の疑いで茨城県警に逮捕されました。その後、白石容疑者は有罪判決を受け執行猶予となりましたが「スカウト時代に知り合った人とは連絡を取りたくなかったのではないか」とこの女性は推察しています。

“女の子の扱いには慣れていたと思う”

“女の子の扱いには慣れていたと思う”
(記者)今回の事件についてはいつ気付きましたか?
(女性)先月31日の夕方ごろかな。テレビで写真が載っていて、そのまさかっていうふうに。調べたら、彼だったっていう感じです。

(記者)まだ詳細はわからない面もありますが自殺をしたい女性を誘い出したと。自殺をしたい女性に対しての関心は感じましたか?
(女性)そうですね。私は比較的、仕事がどうしても、疲れやすいというか、ストレスがたまりやすい仕事だったので、よく彼に死にたいっていうふうに漏らしていたんですけど、その時に、「俺が一緒にいる」とか、「1人が怖いんだったら、一緒にいるから」ってことは、何回も繰り返し言ってたので。

(記者)自殺をしたい、とつぶやいた人に対して彼が接触した場合、誘導が巧みにできると思いますか?
(女性)そうですね。やっぱりスカウトマンということで、女の子の扱いには慣れていたと思います。

(記者)皆さんの悩みを聞いているからうまくできた可能性がありますか?
(女性)そうですね。普通の人よりは、もう何倍も扱い慣れているかなと。

(記者)自殺したいという人たちを何とかしてあげようとは言ってなかったですか?
(女性)そういうのは一切なくて、私が死にたいというふうにつぶやく時も、彼はそばにいるよとは言うんですけど、頑張って生きろとか、そういう言葉は特にはなかったので、彼自身も、仕事の面で病んで、死にたいと漏らす感じだったので。

(記者)彼が死にたいと漏らすのはどういう時でしたか?
(女性)仕事の愚痴とかをお互い言っているときに、もうこらえ切れないという感じで泣きながら、死にたいというふうに、言っていたりだとか。ただ今回の事件からすると、殺したいとか言ってたのかもしれないですけど彼はそういうことは言わずに自分が死にたい消えてしまいたいっていうことをよく漏らしていたので。

“きちんと償ってほしい”

“きちんと償ってほしい”
(記者)白石容疑者を知る立場からすると、事件にどう向き合ってほしいと思いますか?
(女性)認めているんだったら、きちんと償ってほしいと思いますし、ふだんを知っているからこそ、二度とこちらに出てくることがなかったとしても、開き直ったりとかせずにきちんと償い続けてほしいなとは思います。

(記者)自殺をしたいという人がネット上にたくさんいて、それを手助けしようと書き込む人もいます。こういったケースでは犯罪に巻き込まれる可能性もあります。どうしたらよいでしょうか?
(女性)やっぱり、死にたいと思う人はいなくならないし、そういう人につけ込む人もいなくならないし、ただ、優しい言葉をかけてくれる人は、その人は正義なのかもしれないですけど、死にたいっていくら思ったとしても、そういう人たちの、口車に乗せられないで自分の道を生きてほしいとは思いますね。

(記者)自身も気をつけていましたか?
(女性)そうですね。人と接する時は十分に気をつけていたつもりだったんですけど。やはり、今回みたいに、どうしても見抜けなかったりとか普通ではありえない行動をしていても、親しかったり、いろいろなつきあいが長いと見落としてしまいがちだと思うので、特にそれがネット上だけだとか、初対面ってなってくるとほんと難しいかもと思います。
記者が話を聞いたおよそ1時間、彼女は、信頼していた人が逮捕されたことに動揺しながらも、記憶をたどりながら丁寧に語ってくれました。若い2人が「死にたい」と語り合っていた異様な世界。インタビューのあと、「この業界は死と隣り合わせ」とつぶやいた若い彼女に、考えさせられる取材でした。

取材班では、白石容疑者と接触したことがあるさまざまな方に話をお聞きしたいと考えています。ご協力いただける方は、「NHKニュースポスト」までご連絡ください。
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