【11月1日 時事通信社】パレスチナにユダヤ人国家を建設することを支持した英国の「バルフォア宣言」から2日でちょうど100年。この節目をどう位置付けるかをめぐり、英国で静かな論争が起きている。メイ首相は先週の議会で「イスラエル建国でわが国が演じた役割を誇らしく思う」と述べ、宣言の正当性を主張。野党や識者からは、政府がこの機会をとらえ、パレスチナ国家を正式に承認すべきだとする声が上がっている。

 報道によると、イスラエルのネタニヤフ首相は宣言100年に合わせる形で訪英し、2日にメイ首相らと会談。夜には宣言を記念する夕食会に両首相がそろって出席する見通しだ。

 しかし、最大野党・労働党で「影の外相」を務めるソーンベリー議員は30日報じられた中東問題専門メディアとのインタビューで、宣言100年を祝うことに反対。「英政府はパレスチナ国家を適切な時期に認めると言ってきた。今がその時に思える」と述べ、国家承認を促した。31日、ロンドンで開かれた集会でも野党議員や元外交官らから同様の主張が相次いだ。

 英政府はイスラエル・パレスチナ紛争の解決策として、「第3次中東戦争(1967年)直前の境界線を基準にした『2国家共存』」を支持するが、他の欧州主要国や米国などと同様、パレスチナ国家を承認していない。(c)時事通信社