FOMC声明:景気判断引き上げか-市場の関心は次期FRB議長人事

The U.S. Federal Reserve building
Photographer: Joshua Roberts/Bloomberg
  • 金利据え置きを決め、12月利上げの方向性維持の見通し
  • 投資家が織り込む12月利上げの確率は80%超

トランプ米大統領による連邦準備制度理事会(FRB)次期議長の指名発表に投資家の注目が集まる中、連邦公開市場委員会(FOMC)が1日までの2日間の日程で開かれる。今回の会合では金利据え置きが見込まれている。

  FOMCでは、深刻なハリケーン被害にもかかわらず堅調と見受けられる米経済について検証し、低調なインフレ持続の下でも12月に利上げする方向性を維持する見通し。大統領は2日に次期議長人事を発表する予定で、パウエルFRB理事を指名する方向に傾いているとされる。

  今回のFOMCは四半期ごとの経済予測の発表はなく、会合終了後のイエレン議長による記者会見も予定されていない。米東部時間1日午後2時(日本時間2日午前3時)に声明を発表する。

  前回の声明との最大の相違点は、米景気判断の引き上げと予想され、12月利上げの論拠を一段と強めることになりそうだ。ただ、追加利上げについてはっきりとしたシグナルを発する公算は小さい。フェデラルファンド(FF)金利先物取引を踏まえると、投資家は12月利上げの確率を80%超織り込んでいる。

  アマースト・ピアポント・セキュリティーズのチーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は「会合後に記者会見が予定されていない場合の典型的なやり方は、声明にほとんど変更を加えず、一切波風を立てずに日程をこなすことだ」と説明した。

原題:Fed Chair Drama Steals Spotlight From FOMC: Decision Day Guide(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE

日本株はことし高値、良好な世界景気と決算-ソニーや東エレクが急騰

更新日時
1504217001_topix from the to
Bloomberg
  • 米消費者信頼感指数は17年ぶり高水準、シカゴ製造業指数も上昇
  • 東エレク株はITバブル以来の2万円突破、1980年上場来の最高値

1日の東京株式相場は反発し、主要株価指数はことしの高値を更新。良好な世界景気、国内企業業績への評価が高まり、東証1部33業種は全て高い。好決算が評価されたソニー、東京エレクトロンが急騰し、東エレクはITバブル期以来の2万円を突破、上場来高値を付けた。

  TOPIXの終値は前日比20.75ポイント(1.2%)高の1786.71と3営業日ぶりに上昇し、2007年7月以来の高値を更新。日経平均株価は408円47銭(1.9%)高の2万2420円08銭と大幅反発し1996年7月以来、21年ぶりの高値を更新した。日経平均の上げ幅は5月8日(450円)以来、およそ半年ぶりの大きさ。

  みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は、「世界景気は10年ぶりの同時回復、企業業績は7年ぶり高水準、マクロ、ミクロ両面での『世界同時回復』が続いている」とし、各国の適切な経済政策が好循環を生んでいるとの見方を示した。

東証内
東証内
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  10月31日に米国で発表されたシカゴ製造業景況指数は前月の65.2から66.2に上昇、市場予想の60を上回った。民間調査機関のコンファレンスボードによる米消費者信頼感指数は125.9と2000年12月以来、およそ17年ぶりの高水準。欧州連合(EU)統計局が発表した7ー9月のユーロ圏域内総生産(GDP)は前期比0.6%増と、予想を上回った。前年同期比では2.5%増と2011年以来の伸び。

  欧米の良好なマクロ統計を背景に投資家はリスク資産投資に前向きになっており、前日の米国株は小幅ながら反発、ストックス欧州600指数は4日続伸し、世界の株式相場の値動きを表すMSCIワールド指数は年初来高値圏で推移する。いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、「実感として景況感が良く、企業業績も良い。世界的に景況感が良くなっている」と指摘。近く指名される米連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長も、最有力候補と言われるパウエル氏なら「過度な引き締めもなく、問題ない」と秋野氏は言う。

  米国では1日まで連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれ、政策金利は据え置きの予想。市場参加者の注目は、2日に発表が見込まれる次期FRB議長の指名に集まっている。また、1日に発表される米税制改革案について、トランプ米大統領は段階的な法人税率引き下げの導入は検討していない、と発言した。

  海外統計や市場動向から買い安心感が広がり、きょうの日本株は朝方から幅広い業種に買いが先行。ドル・円相場が早朝の1ドル=113円60銭付近から同90銭台まで円安方向に振れると、株価指数もじりじりと上げ幅を広げ、午後に日経平均の上げ幅は400円を超えた。指数を一段と押し上げたのが決算内容が評価されたソニーと東エレクで、2銘柄の日経平均押し上げ幅は117円。上方修正されたソニーの今期営業利益は20年ぶりに最高益になる見通しで、今期利益計画を増額した東エレク株は2000年5月以来の2万円に乗せ、上場来高値を更新した。

  丸三証券の服部誠執行役員は、「国内機関投資家は既に売ってしまっており、少し下げると日本銀行がすかさず買ってくる」とし、強含む日本株の背景には需給環境の良さもあるとみる。みずほ証の倉持氏は、日経平均が2万2000円の節目を超えたことで、「コールオプションのデルタヘッジの買いや残高の積み上がった信用売りの買い戻しなどが入りやすい」と話していた。東証の発表によると、10月27日申し込み時点で信用売り残は4週連続で増え、1兆1019億円と9年ぶりの高水準だった9月3週(1兆1077億円)に次ぐ多さとなっている。

  東証1部33業種は全て高く、上昇率上位は石油・石炭製品、空運、電機、パルプ・紙、鉱業、電気・ガス、非鉄金属、ガラス・土石製品など。売買代金上位では利益計画の増額と野村証券の目標株価引き上げを受けた日東電工、業績増額が予想以上とみられたSCREENホールディングスが上げ、パナソニックやローム、旭硝子、コナミホールディングスも高い。半面、今期は一転営業減益になる見込みの村田製作所は大幅安。業績上方修正の数値が市場予想を下回った日本ガイシや三井化学も売られた。

  • 東証1部の売買高は20億5682万株、売買代金は3兆7557億円
  • 値上がり銘柄数は1248、値下がりは704
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE