田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)
自民党の圧勝に終わった総選挙だが、この1週間余り、テレビの報道は立憲民主党と希望の党に関するものでほぼ埋めつくされている印象がある。もちろん民放局は営利企業なので、視聴率のとれる話題を扱うのはやむをえない面がある。ただし、立憲民主党も希望の党も、まだ残存している民進党ももちろん、すべて「民進党なるもの」であることに注意が必要だ。つまり希望の党も、代表の小池百合子東京都知事以外はほぼ旧民進党系の議員で占められているし、他の政党は言うまでもない。
つまりテレビの報道は、「民進党なるもの」の宣伝をこの1週間積極的にしているとみていいだろう。テレビの報道はさておき、民主党政権の負のイメージを抹消するために党名を変更し、そして今はアメーバのように生き残りをかけて分裂を繰り返すその政治的な生命力には感心するよりも、あきれているというのが率直なところだ。
さて、その政治的生命力たくましい「民進党なるもの」が国会で追及するとマスコミで意気込んでいるのが、例によって「モリカケ問題」である。つまり森友学園・加計学園についての安倍晋三首相への「疑惑」解明である。
さすがに半年近くやって「疑惑」以上のことがまだ何も出てこない話をまたやるのか、とあぜんとせざるをえない。いま、「与党2割、野党8割」という国会の質問時間の配分があまりに野党側に偏りすぎていることを、自民党の若手議員が問題提起して話題になっている。賛否あると思うが、単純に半々にして、少数派の声も反映させるのがいいのではないか、と思った。ところが、野党が「またモリカケ問題をやる」というあまりに無反省な発言をみて考えなおした。やはり議席配分通りでいいのではないか。
議会は政治的やりとりの場ではあるが、マスコミというかワイドショーのネタを提供する場では少なくともない。なんの論理的・実証的なものがない「疑惑」をショーのように野党がやろうとするならば、これはなんらかの歯止めが必要だろう。さらに特殊な事情もある。それは現時点の野党の三大勢力は事実上、冒頭でも書いたようにみんな「民進党」だからだ。これでは民進党の単独ショーに国会がなりかねない。
国民の大半は、野党に票をいれたのではなく、与党に票をいれたのだ。しかも最近では、国会での質問が議員の評価にもつながる傾向がある。「モリカケショー」はもういいだろう。だが、それで納得しない人のために以下にモリカケ問題とは何か、その現状の論点を書いておく。これを読んでまだ納得しない人たちは政治イデオロギーに汚染させているのだろう。