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親が亡くなる前に決めておきたいお墓と相続のこと

ご両親がお亡くなりになられたら「どこのお墓に納めることになるのか」ご存知でしょうか。
また、ご自身や奥さま、お子さんはどこのお墓に入ることになるのでしょうか。

「お墓」と聞くと亡くなられた後に考えるべきものだと思いがちですが、ご両親のお気持ちは亡くなられたあとには知ることができません。
ご両親がどこのお墓に入りたいと思っているのか、新たにお墓を作ろうとされているのか、などお気持ちを確認しておくことはとても大切なことです。
近年は、図1の例のようにさまざまな理由から、お墓について悩むご家系が増えています。

図1:お墓の相続について考えておきたいことの例

亡くなられた後は、葬儀や慣れない相続手続きが続き、とても慌ただしくなります。そんな中では、冷静にご両親のお気持ちを加味してお墓のことを考えることは困難となります。また、お墓の維持費等をめぐった兄弟間のトラブルが起きたり、後悔するケースも考えられます。

ご両親が亡くなられた際、どのようにしてお墓に納めるのか、お墓をどのように引き継いでいくのかについてまとめました。
ご家族が集まるタイミングまでに準備して、ぜひご家族でお墓について話し合いをされることをおすすめします。

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1.ご両親のお墓を考える場合のパターンのまとめ

ご両親のお墓を考える場合に、最初に確認したい2つのポイントは
 ① ご両家のお墓に先祖代々継がれているものがあるのかどうか
 ② ご両親はお墓を相続する予定があるのか
についてです。

先祖代々のお墓をお持ちのご家系であるならば、お盆やお彼岸などにご家族でお参りに行かれるなどお墓があることはご存じだと思いますが、そのお墓を相続することになるのかどうかご存じない方が多いと思います。
お墓がすでにある場合や、新たに作る場合には、お墓の相続について次のようなことを考える必要があります。
 ・先祖代々のお墓を後世まで引き継ぐのか
 ・お墓がない場合は新しく購入して管理していくのか
 ・ご両親はご自身たちの供養方法に関して希望や願いなどは無いのか・・・。

ご両親が亡くなられたあと、お墓の相続をどう考えていくのかついての全体像は次のようになります。

図2:お墓の相続についての確認フロー

お墓の相続は、その家系の長となる家長が継ぐケースが多いと思いますが、お墓を継ぐ方が遠方に暮らしているためにお墓の管理が難しい場合や、子どもが女性だけや女性の一人っ子の場合など、昔とは事情が異なることが増えています。お墓を相続するということは、先祖代々大切に守られてきたお墓を後世に引き継いでいくという大切な役割を担うことになりますので、ご家族のみなさんが納得される方法で引き継ぎたいものです。

2.先祖代々のお墓がある場合の「お墓の相続」の4つの進め方

お盆やお彼岸に決まってご家族でお墓参りをする先祖代々のお墓がある場合、大切に引き継がれてきたお墓をしっかりと引き継いでいくことはとても大切なことです。しかし、費用がかかることや遠方に住んでいることなど様々な理由でこの先の管理が難しい場合には、やむを得ずお墓を引き継げないことも考えられます。

先祖代々のお墓がある場合には、まずはご両親の家系がどのような状況なのかを把握して、先祖代々のお墓を相続するのかどうか、ご自身の状況にあてはめて確認しましょう。
※図1の「2章」の部分について説明していきます。

本章ではそれぞれのケースでどのような相続のかたちがあるのが、ご説明していきます。

2-1.先祖代々のお墓が「1家系」か「2家系」かを確認する

お墓参りについて良く考えてみると、ご両親がお父さまのご家系のお墓とお母さまのご家系のお墓の両方のご家系にお参りに行かれていることはないでしょうか。その場合、将来はご両家のお墓を誰が相続するのか、ご両親が亡くなられた後にはどのお墓に入るつもりなのか、など確認しておく必要があります。

【確認すること】
・お父さまのご家系のお墓がある
・お母さまのご家系のお墓がある
・ご両家ヶのお墓がある

2-2.お墓の相続をするか・しないか判断する

ご自身がお墓を継ぐということは、後世に渡り維持管理も必要となります。お墓を相続することになれば例え遠隔地であっても、維持管理とお参りは最低限必要となります。お墓がご自宅の近くであり、維持管理費も安く済む場合には良いかも知れませんが、お墓を後世に渡りずっと相続していくべきかどうか、どこかの世代で判断が必要となることもあります。
ご両親がお亡くなりになり先祖代々のお墓で供養をおこなう場合にも、ご自身の世代・お子さんの世代ではどうしていくのかご両親に相談をして判断しておくことが大切です。

①お墓をそのまま相続する

お墓を相続するといっても単純な判断は禁物です。お墓を相続するという意味をしっかり考えて判断しましょう。
ご両親がお亡くなりになられた場合、多くの場合は先祖代々引き継がれてきたお墓があれば、ご両親をそのお墓に埋葬します。
その後、お墓を相続する方はお一人となるので誰が相続するかを決めます。お墓を相続する方は、ご両親による生前の指名や遺言によって決めますが、一般的にはそのご家系のご長男が引き継ぐケースが多くなります。お墓を相続する方は、ご家系で引き継がれてきたお墓を守る大切な役割がありますが、検討すべきことも多くあります。具体的な内容は次の通りです。

【お墓を相続する場合に検討すること】
・ご両親の意思を尊重した供養はどんな形か
・維持管理費用をご自身だけが負担するか
・遠方にあるお墓でもずっと維持管理ができそうか
・ご自身の代も同じお墓に入るのか

また、近年は多様化した家族も増えており、ご両親の両家のお墓を相続する可能性がある場合があります。後世に渡って両家のお墓を守っていくのか、自分たちはどうするかなど、ご両親と相談しておくべきことがたくさんあります。

図3:お墓を引き継ぐかどうか決める

ご両親が亡くなる前にこれらの内容をじっくりと検討することが、納得のいくお墓の相続に繋がります。
お墓を継ぐ方の決め方や、相続・お金のことについては、4章以降で詳しくご説明していきます。

②お墓の相続をしない
 
ご両親がすでにお墓の相続について考えていらっしゃる場合、後世に負担を掛けたくないという想いからお墓を相続させないと判断されているケースが増えてきました。(「都立霊園公募受付状況と公開抽選」より合葬埋蔵施設への応募が増加傾向)一方で、お墓を相続しても維持管理ができず放置することで「無縁仏」となり最悪の場合にはお墓を撤去されてしまいます。
大切なお墓ではありますが、やはり維持管理していくことは近年難しくなっています。そんな場合には、お墓の相続をしない代わりに「永代供養」をおこなうなどの選択肢が大切な選択肢の一つとなりつつあります。2-3で近年増えているお墓の相続のあり方を確認しましょう。

2-3.お墓を相続するか悩んだ時の4つの供養方法

「お墓を相続する」「お墓を相続しない」という2つの選択肢では極端すぎることから、近年では工夫してお墓の相続をするケースも徐々に増えています。具体的にはお墓のお引っ越しをしたり、両家のお墓を合わせた両家墓を作ることなどです。
近年にみられるお墓の相続の方法を4つご紹介します。

2-3-1.お墓を相続が困難な場合は「永代供養」

先祖代々のお墓がある場合でも、ご両親がお墓に入られた後にそのまま引き継いでいくのかどうか、悩まれている方もいらっしゃることでしょう。ご自身がお墓に入った後に引き継ぐ人がいない、子どもたちに管理や費用の負担をかけたくない、などの理由でお墓を持たない人も増えてきています。

このようなケースで多く選ばれているのが、「永代供養」です。
永代供養は、お寺や霊園がご家族に代わってお墓を管理してくれる供養形態のことをいいます。ご両親の遺骨を納めた後、ご自身が後世にお墓を引き継がないと決めたときに選ぶことが多いです。

費用は数十万円から数百万円となっており、納骨堂の種類やお骨を個別に管理する期間の長さによって大きく変わります。

<メリット>
33回忌や50回忌などお寺や霊園によってことなりますが、一定期間(最初からされる場合もあります)は個別に遺骨を管理してもらい、その後他の方と同じ場所に遺骨が安置されることになります。お墓参りをする人がいないなど、亡くなられたご両親がさみしい思いをすることがなく安心して任せられます。

<デメリット>
一度納めた遺骨は二度と取り出すことができないという点です。お墓を新しく購入して遺骨を移し、お墓参りをしたいと思ってもできなくなりますので、よく検討されてから選択する必要があります。

4:永代供養のイメージ ※永代供養にも種類がある

2-3-2.お墓が遠方にある場合は「お引っ越し」

先祖代々のお墓にご両親を埋葬し、その後お墓の相続をしたいけれども、遠方にあることから管理や維持が難しく困ってしまうことがあります。このような場合は、お墓の「お引っ越し」をしてご自宅の近郊の墓地へ移動させることができます。正式には「改葬」といいます。(厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」第2条3項
改葬には、もともと埋葬している墓地や受け入れ先の両方の許可のもと、様々な手続きが必要となるため、検討される際は専門家に依頼することをおすすめします。

お墓の引っ越し(改葬)の件数は、厚生労働省の調べによると2016年には約88,000件まで増えており、年々徐々に増加傾向にはあります。

図5:遠方にあるお墓を近郊の墓地に引越するイメージ

2-3-3.両家のお墓がある場合は1家系「相続」・1家系「永代供養」

両家のお墓が有る場合には、両方のお墓を相続することは難しいため対策の一つとしてどちらかのお墓を「永代供養」し、一つのお墓のみ引き継ぐという方法がとられるケースもあります。

ご自身や奥さまがいずれ入ることになるお墓は引き継ぎ、もう一方のお墓を「永代供養」する方法です。奥さまのご家系のお墓を永代供養する方が一般的でしょう。一方のお墓を永代供養することで、そのお墓の管理・維持の必要がなくなりますので、お墓参りが一度で済むことや管理費など維持管理がしやすくなります。

図6:1家系を相続・1家系を永代供養

2-3-4.両家のお墓がある場合はお墓を隣合わせにする「両家墓」

両家のお墓が有る場合には、両方のお墓を相続するため対策の一つとして両家のお墓を合わせた「両家墓」を立てるという方法がとられるケースもあります。
別々の場所にあった両家のお墓をひとつにまとめた「両家墓」を建てる方法です。1つの墓石にご両家の名前が書かれたものと、それぞれの墓石を並べる2つのケースがあります。お墓参りを一度で済ますことができ、また管理もしやすくなります。一方、両家のご家族の了承を得ること、墓地によっては両家墓許可されないケースなどもあるため、検討される際は留意しましょう。

図7:両家墓のイメージ

2-4.ご両親の意思を確認しておくことが大切

ここまでご説明したとおり、近年はお墓に対する考え方も多様化してきました。
一方で、先祖代々引き継がれてきた大切なお墓の今後については、お墓を相続する・しない、どこのお墓に入るなど、ご両親の意思を大切にすることが最も重要ですので、生前にしっかり確認しておきましょう。

3.先祖代々のお墓がない場合の3つ供養の方法

維持・管理に大きな費用がかかることや、お墓を引き継ぐ人がいない、長男ではないので別のお墓を準備するつもりなどの理由から、お墓をもっていないご家系もあります。そのような場合でご両親が亡くなられたとき、お墓を新しく購入する、または購入せずに違う方法で供養をするという2つの選択肢が考えられます。
※図1の「3章」の部分について説明していきます。

3-1.お墓を購入しない場合の供養方法

先祖代々のお墓がないからといって、必ずしもお墓を建てなければならないということはありません。ご両親がお墓に入られた後にお墓を相続できるご家族がいない、管理費が払いきれないなど様々な理由でお墓を持たないケースも考えられます。お墓を持たない選択をされた場合でも、きちんとご両親の供養をおこなうことができる主な4つの方法は次のとおりです。

3-1-1.お墓を持たない人の多くが選ぶ「永代供養」

「永代供養」は、2-3-1でご説明した永代供養と同じです。
ご両親が夫婦で同じ場所に永代供養されることを選択される方法です。

3-1-2.遺骨を身近に置いておくことができる「手元供養」

「手元供養」は、亡くなられた方を身近に感じていたいという思いを形にした供養の方法です。ご両親のお骨をペンダントやブローチなどのアクセサリーや小物に加工したり、小さな骨壺などにお骨を入れてご自宅など身近なところに置いておくことができます。

費用はお骨をどのような形にして残すかにより大きく変わりますが、おおよそ数万円から100万円くらいとなります。

図8:手元供養のイメージ

3-1-3.墓石の代わりに樹木をたてる「樹木葬」

「樹木葬」は、墓石の代わりに樹木を建てて供養をおこなう方法です。お墓は持ちませんが、樹木をお墓の代わりとしてお参りにいくことができます。ただし、埋葬できる場所が決められているため、ご両親の希望する場所に埋葬できるものではありません。お墓は持ちたくないけれど、お参りはしたいと考えられている方におすすめの供養のかたちです。

費用は10万円から80万円が相場となっており、費用を抑えられるというメリットがあります。

図9:樹木葬のイメージ

3-1-4.大自然の中へ「散骨」

「散骨」という言葉はあまり身近ではないかもしれませんが、ご両親が自然の中でゆっくりと眠りたいといった希望を叶えることができ、お墓を持たないことから費用も低く抑えることができます。散骨はご自身ですべておこなうことも出来ますが、粉骨の仕方・散骨する場所などルールが定められています。散骨は、船や飛行機をチャーターする、委託するなど様々な方法があり、価格も幅広くなります。注意点としては、遺骨を撒くというとてもデリケートな内容となるため、散骨を検討される際は専門業者に相談をするなどしてトラブルにならないように気をつけましょう。

10:散骨のイメージ

3-2.お墓を新しく購入する場合の考え方

お墓を新しく購入して供養する場合に事前に確認しておきたい内容をご説明します。

3-2-1.ご両親が生前に購入しておくと相続税対策になる 

ご両親が亡くなられる前にお墓を購入しておくと、ご両親が亡くなられた際に引き継ぐことになる相続財産額を減らすことができるため、相続税の課税財産が少なくなるというメリットがあります。他にも、時間をかけてじっくりと選ぶことができる、ご両親好みのデザインを選ぶことができるなどのメリットがあります。
一方、墓地の種類によっては遺骨がないとお墓が建てられない、維持・管理費が生前からかかることなど注意点もありますので、ご両親の生前にお墓を建てることを検討する際は、ご家族でよく相談したり、墓地に確認するなど事前準備をしておきましょう。

<例:生前に購入すると相続税対策になる>

相続財産が4000万円、購入するお墓が300万円の場合、
相続財産を次のように考えます。

【生前に購入】
4,000万円―300万円となり、相続財産は3700万円となる。
相続税の課税対象は、3,700万円として考える。
購入したお墓の相続には、相続税がかかりません。(5-1参照)

【亡くなったあとに購入】
相続財産は4,000万円となり、4,000万円が課税対象となる。

3-2-2.墓地はおおきく分けて3種類ある

墓地には、管理者をベースに大きく分けて3つの種類があり、管理者の違いにより、それぞれメリット・デメリットがあります。費用・場所・デザイン・宗派など、ご家族によって優先したいものがあることと思います。ご家族にあった種類のお墓を選ぶことができるよう、ご両親がご健在なうちに相談されることをおすすめします。

表1:墓地の種類   ※費用に関しては7章を参照

種類 管理・運営 メリット デメリット
公営墓地 都道府県・市区町村などの地方自治体 ・経営が安定している
・永代使用料や管理費が安い
・石材店が自由に選べる
・宗教的な制約が少ない
・当選しないと購入できない
・申込に条件がある(現住所・生前購入) 
・お墓の形や大きさに指定がある場合が多い
民営墓地 宗教法人・公益法人等から委託された民間企業 ・宗教的な制約が少ない
・お墓の広さ・場所・デザイン等が自由
・駐車場・法要施設などが充実
・生前の購入が可能

・経営難になると継続できない
・指定の石材店で購入が必要
・永代使用料や管理費が高い

寺院墓地 寺院 ・継承者がいなくなると永代供養してもらえる
・お墓が管理・運営をしてくれる
・法要などの相談にのってもらえる

・檀家となりその寺院の宗派に改宗が必要
・指定の石材店で購入が必要
・管理費が高く、お布施等も必要になる

3-2-3.墓石の購入にかかる費用は地域差がある

墓石(墓地代は別途)を購入する際、どのくらいの費用が必要か、地域差があるかなどご存知でしょうか。次のグラフからも分かるように地域によって異なりますが、墓石の相場は140万円~200万円くらいとなっています。また国産や外国産など石の種類もとても多いため、相場が分からずに高いお墓を購入してしまった、などと後悔することがないように、事前に情報収集をしておくとよいでしょう。

図11:地域別の墓石購入費用の平均価格  ※出典:「全国優良石材店の会:2016年お墓購入者アンケート調査」

購入を検討される際はご両親の預金額なども考慮して予算を決め、墓石の大きさや形などをよく相談し、時間をかけてじっくりと比較検討しながら納得のいくお墓選びをされることをオススメします。亡くなられたあとのバタバタな中で急いで決めて後悔することの無いよう、ご両親がご健在なうちにこうした話し合いの時間を持つことがとても大切になります。

3-2-4.後世に引き継いでいくかどうかの判断が必要

お墓を購入するかどうかの判断は、ご自身のお子さまの世代にお墓を引き継がせるかどうかがポイントとなります。お墓をお子さま世代に引き継がせるのであれば新しく購入し、引き継がせないお考えであれば購入しない方法で供養することも選択肢となります。お墓は購入するものと決めず、近年の多様化したあり方を確認して決めましょう。

3-3.お墓を購入するか迷った場合は「レンタル墓」

お墓のレンタルは、あまり聞きなれないことではないでしょうか。
お墓の購入を迷われている方が選択する供養のひとつです。レンタルの期間が終了すると、延長・撤去・永代供養のいずれかを決める必要があります。永代供養は一度契約をするとお骨を取り出すことはできませんが、レンタル墓(参照元:終活.net)はお悩みが解消されお墓の購入を決断された場合など、ご家族の事情により遺骨を取り出すことができるというメリットがあります。お墓の購入をせずに永代供養をおこなうことに迷われた際は、決断を急がずにレンタル墓を活用してみるのもひとつの方法といえます。

4.お墓を引き継ぐ方(1人だけ)の3つの決め方

お墓を引き継ぐ人は原則1人(民法897条)と決められており、引き継ぐ人を「祭祀(さいし)継承者」といいます。祭祀継承者は親族関係でなければいけないという決まりはありませんが、ご家族のどなたかが継承者となるケースが一般的です。祭祀継承者が決まるにあたっては、3つの段階がありますので確認しましょう。

4-1.遺言書または生前の指名で決める

一般的なのは、遺言書により継承者が指定されているケースです。遺言で指定がない場合は、生前にご両親から口頭で指名されている方が継承者となります。

図12:遺言で継承者が指定されている

4-2.遺言で決まっていなければ話し合いや慣習で決める

遺言や生前での指名がない場合は、ご家族で相談したり、その地域の慣習に従って決めるのが一般的な方法ですが、ご長男が継承者となるケースがもっとも多いです。

図13:親族で話し合いお墓を相続する方を決める

4-3.話し合いでも決まらないなら家庭裁判所で決める

地域の慣習もなくご家族での話し合いでも決まらない場合は、家庭裁判所に祭祀継承者を指定してもらう手続を取らなければなりません。しかし、ご両親のお墓のことですから、ご家族みなさんで話し合いをする中で決められるようにしたいものです。

5.お墓の引き継ぐ方が知っておきたい相続とお金のこと

お墓を引き継ぐ方(継承者)には、ご両親をはじめとした大切な先祖のお墓を守る、という大変重要な役割があります。継承者になる前に知っておきたいことは次のとおりです。

5-1.お墓の相続には相続税がかからない

お墓に相続税はかかりません。お墓や仏壇は預金や土地などの「相続財産」とはことなり「祭祀財産」といい、他の財産とは扱いが分けられるためです。(国税庁:相続税がかからない財産の1項)

5-2.知っておきたいお墓の維持管理費

お墓の維持管理費は、承継者の責任となります。お墓の維持管理に必要なことを押さえておきましょう。

5-2-1.お墓を相続しても固定資産税・不動産取得税はかからない

お墓を相続すると、固定資産税や不動産取得税を心配されることと思います。しかしお墓には固定資産税や不動産取得税はかかりません。お墓を購入するということは、墓地の「使用権(永代使用権)」を得ることで、「土地の所有」ではないためです。
参考 : 枚方市の「お墓に関するQ&A」

5-2-2.お墓の管理費は引き継いだ方が負担する

祭祀継承者には法要をおこなったり、お墓の清掃などの管理をおこなうなどお墓を守るための様々な役割があります。その際に発生する費用はすべて祭祀継承者が負担することになりますが、遺産分割(亡くなられた方の財産の分割)において、祭祀継承者がその分多めに財産をもらえる、といった決まりはありません。しかし、ご家族の間でトラブルにならないよう、お墓の管理や管理費用についてもしっかり話し合い相続財産の分割の際にはお互いに配慮することが大切です。

5-3.相続放棄をしてもお墓は引き継げる

亡くなられた方に借金がある場合は、相続放棄をおこない借金を相続しないことができます。しかし、相続放棄をすると、財産も相続できなくなってしまいます。
相続放棄をすると、お墓も引き継げなくなってしまうと思われがちですが、5-1でご説明した通りお墓は相続財産ではありませんので、相続放棄をしても引き継ぐことができますので安心してください。

6. お墓の相続について早めに決めて回避したい2つのポイント

ご両親が亡くなられた際のお墓の相続について、ご健在なうちに決めておくと良い理由があります。
本章を確認し、ご家族で話し合いの機会を持たれることをおすすめします。

6-1.管理する人がいない!「無縁仏」が増加している

「無縁仏」や「無縁墓」という言葉を聞いたことがありますか?
無縁仏(墓)とは供養や相続するご家族や縁者がいない亡くなられた方(お墓)のことです。近年、核家族化や少子化により先祖代々のお墓を引き継ぐ者がいなくなったり、管理費を払いきれずに滞納し続けたことで無縁仏になってしまうという事態が増えています。(参照:東京都 無縁墳墓処理)東京都の都立霊園でも、2012年に無縁墓として350基を撤去したデータがあり、その時点でさらに2,000基以上が放置されている状態でした。
大切な祖父母やご両親が眠るお墓が無縁仏になってしまうことは避けなければなりません。「無縁仏」になるとお墓を撤去され、永代供養をされます。ご自身のご家系のお墓を誰が相続するかをご両親がご健在なうちに、ご家族みなさんで決めておくことはとても大切です。

 

6-2.ご親族間の意見の違いによるトラブルを回避する

夫婦は同じお墓に入るもの、奥さまは旦那さまの家系のお墓に入るもの、と思われている方も多いと思いますが、どこのお墓に入らなければならないといった決まりはありません。どこのお墓に入るかは、個人の自由なのです。

もし奥さまが旦那さまの家系のお墓に入るとしたら、「先祖代々の知らない方と同じお墓に入りたくない」「自分とは何のゆかりもない土地のお墓に入りたくない」とお考えになることもあるかもしれません。また、奥さまが旦那さまのご家族と仲良くされているとは限らないため、「同じお墓には入りたくない」と思われているかもしれません。このような考えから、思わぬトラブルに発展することもあるのです。

トラブルになる前に、みなさんの気持ちに配慮しながらじっくりと考える時間をとるためにも、ご両親がご健在なうちに早めに、話し合ってみることが大切です。

7.お墓の相続に必要な費用のまとめ

お墓の相続について、相続の考え方や供養方法についてご説明しました。
お墓について考える際に一番不安になることが「お墓の相続」と「お墓の維持・管理にかかる費用」だと思います。今回ご紹介した内容についてまとめました。

お墓にかかる費用は、墓地の種類・広さ、墓石の種類・大きさ・デザイン、地域等により大きく差があります。もちろん、維持費の差にはサービス(掃除・ごみの処理・備品等の提供)の差もありますので、一概に価格だけで決めず内容をしっかり確認しましょう。これらの理由から表2では価格に幅がありますが、こちらの価格を参考として実際にご検討される際はHPで調べたり、専門店や専門家に相談をされることをオススメします。

2:お墓の相続や維持・管理にかかる費用一覧 ※2017年10月自社調べ

埋葬・購入費用 維持管理費
お墓を購入 永代使用料(土地)
+墓石購入費
20~400万円 公営墓地 目安:5,000円/年
民営墓地 目安:10,000円/年
お引っ越し 50~100万円
寺院墓地 目安:15,000円/年

お墓を相続しない場合に供養にかかる費用も幅があります。永代供養の場合は、個室に入れる期間があるかどうか、手元供養の場合は骨壷なのかペンダントを作成するかなど、どのような形で供養するかを決めることで価格はおおよそ絞られてきます。実際にご検討される際はHPで調べたり、専門店や専門家に相談をされることをオススメします。

表3:お墓を相続せず供養する方法の費用一覧 ※2017年10月自社調べ

埋葬・購入費用 維持管理費/年
永代供養 3~100万円 なし
手元供養 数千円~100万円
樹木葬 10~80万円
散骨 2.5~60万円

8.まとめ

ご両親がもし亡くなられたら、ご両親をどのようにご供養され、先祖代々引き継がれてきたお墓をどのように相続するか、イメージができたでしょうか。

今回のポイントを10個にまとめてみました。
①ご両親・ご自身の夫婦・兄弟などのお墓を意外に考えていない
②お墓の相続のことは誰も考えていない
③お墓を2家系相続する可能性があることに気づいていない
④多様化する時代に、お墓の相続が難しくなっている現状がある
⑤お墓の相続をしない時の供養の方法がある
⑥お墓の維持管理には費用がかかる
⑦お墓の維持管理費について家族内で揉めることも多い
⑧お墓を生前に立てると相続対策ができる
⑨お墓の相続には相続税がかからない
⑩お墓の管理ができず「無縁仏」が増加している

いざという時は、気持ちの整理がつかないまま色々な対応に追われ、冷静であれば配慮していたことも抜けてしまいがちです。
ご両親のお墓のこと、ご自身の夫婦のお墓のこと、亡くなられた後には確認できないとてもデリケートな話題ですので、ご健在なうちに後世までどうしていくかしっかり確認しましょう。

参考として、当サイト内で関係する内容
 → 「家族が亡くなって5日以内にやるべき葬儀・手続きのまとめ【完全版】」 
 → 「『葬儀後に必要な相続手続き』を終わらせる7つのSTEP【完全版】」
ご家族が集まるタイミングまでに準備して、ぜひご家族でお墓について話し合いをされることをおすすめします。
本記事をご参考にゆっくりとお話をされてみてはいかがでしょうか。

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