スペインのカタルーニャ州の独立宣言を主導したとして、検察当局が州の幹部を国家反逆などの罪で起訴する手続きを始める中、州首相だったプチデモン氏はすでにスペインを出国してベルギーにいることが明らかになり、政治亡命を申請するのではないかという観測が広がっています。
カタルーニャ州の議会が先週、一方的な独立宣言を可決したことを受けて、スペイン政府は州首相だったプチデモン氏ら州の幹部を解任し、検察当局は国家への反逆行為や人々を扇動した罪などで起訴する方針を明らかにしています。
こうした中、地元メディアは30日、スペイン内務省などの話として、プチデモン氏らがすでにスペインを出国しベルギーの首都ブリュッセルにいると伝えました。
このうち、有力紙のエルパイスはプチデモン氏と5人の幹部が陸路で国境を越えてフランス南部のマルセーユに入り、飛行機でブリュッセルに向かったと伝えています。
また、ベルギーの公共放送はプチデモン氏がかつてスペイン北部で武装闘争を繰り広げた過激派組織のメンバーの政治亡命の申請に関わったベルギー人の弁護士と接触したと伝えていて、プチデモン氏が政治亡命を申請するのではないかという観測が広がっています。
プチデモン氏は日本時間の31日夜にも記者会見してみずからの立場を明らかにするものと見られており、カタルーニャ州の独立問題はベルギーも巻き込んで異例の展開を遂げています。
政府と独立支持派の緊張続く
スペインの地元メディアは、カタルーニャ州の自治権を停止した中央政府の治安部隊が州内の警察署合わせて6か所に31日、捜索に入ったと一斉に伝えました。
10月1日に行われた住民投票について、判事の命令に従わず投票行動を黙認した疑いで捜査しているということで、当時の判事と警察官の通信記録などを調べる方針だということです。
さらに31日には、カタルーニャ州政府と州首相を解任されたプチデモン氏のホームページが削除され、中央政府が州の直接統治に向けた動きを加速させています。
これに対して、カタルーニャ州の独立を支持する最大の市民グループは31日、声明を発表し「自治権停止や州政府や州議会への圧力を拒否する。今後も抗議行動を続けて独立を目指す」として、プチデモン氏がベルギーに出国したと伝えられたあとも抵抗を続ける構えを見せており、緊張状態は今後も続きそうです。