日銀は8対1で現状維持、「15年金利0.2%未満で」と片岡氏主張

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Photographer: Bloomberg
  • 17年度の物価上昇率は1.1%上昇から0.8%上昇に下方修正
  • 事前調査は全員が金融政策の現状維持を予想

日本銀行は31日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針の維持を8対1の賛成多数で決定した。片岡剛士審議委員が前回に続き反対。「15年物国債金利が0.2%未満で推移するよう長期国債の買い入れを行うことが適当である」ことを理由として挙げた。

  誘導目標である長期金利(10年物国債金利)を「0%程度」、短期金利(日銀当座預金の一部に適用する政策金利)を「マイナス0.1%」といずれも据え置いた。長期国債買い入れ(保有残高の年間増加額)のめどである「約80兆円」も維持。指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ方針にも変更はなかった。

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  片岡委員は「当面の金融政策運営」について、オーバーシュート型コミットメントを強化する観点から、国内要因により物価目標の達成時期が後ずれする場合には「追加緩和手段を講じることが適当」であり、これを声明文に記述することが必要として反対した。

  ブルームバーグがエコノミスト43人を対象に23-24日に実施した調査では、全員が今回の会合での金融政策の現状維持を予想。金融緩和に積極的なリフレ派として知られる片岡氏の対応が注目されていた。黒田東彦総裁は就任直後の13年4月、2%の物価安定の目標を2年をめどに達成すると宣言し、4年半が経過したが物価は低迷している。

  同時に発表した3カ月に一度の経済・物価情勢の展望(展望リポート)では、17年度の消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比の見通し(政策委員の中央値)を7月時点の1.1%上昇から0.8%上昇に下方修正した。18年度も1.5%上昇から1.4%上昇に下方修正、19年度は消費増税の影響を除き1.8%上昇に据え置いた。「19年度ごろ」としている2%達成時期は維持した。
  
  野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは発表後の電話取材で、物価見通しの下方修正は「想定の範囲内」と指摘。日銀は昨年9月の総括的な検証により長期戦に移行しており、黒田総裁の任期が終わるまで「よほどのリスクがない限りは現状維持」が続くとみている。

  会合結果の発表前は1ドル=113円10銭前後で取引されていたドル円相場は発表後、113円20銭前後で推移している。黒田総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。決定会合の「主な意見」は11月9日、「議事要旨」は12月26日に公表する。

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トランプ氏元選対本部長ら3人起訴、特別検察官のロシア疑惑捜査

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  • マナフォート、ゲーツ被告に共謀や資金洗浄など12件の罪
  • 元トランプ陣営外交政策顧問はロシア人との接触巡りFBIに偽証

昨年の米大統領選へのロシア干渉疑惑を捜査しているモラー特別検察官率いるチームは、トランプ陣営の選対本部長を務めたポール・マナフォート氏ら3人を複数の罪で起訴した。この疑惑での起訴は初めてで、捜査は新たな局面に入った。

10月30日にワシントンの裁判所を出るマナフォート氏
10月30日にワシントンの裁判所を出るマナフォート氏
写真家:ザック・ギブソン/ブルームバーグ

  起訴されたのはマナフォート被告のほか、同氏のビジネスパートナーだったリック・ゲーツ被告、選挙戦でトランプ陣営の外交政策顧問を務めたジョージ・パパドプロス被告。資金洗浄、共謀など12件の罪に問われたマナフォート被告とゲーツ被告は出頭後、ワシントンの連邦裁判所で無罪を主張した。パパドプロス被告は連邦捜査局(FBI)の尋問に偽証したことを数週間前に認め、モラー特別検察官の捜査に協力を続けているという。

  3人の起訴に先立ちモラー特別検察官はトランプ大統領による司法妨害疑惑や大統領側近による他の犯罪の可能性について数カ月にわたり捜査を進めていた。捜査当局はマナフォート、ゲーツ両被告に対し、処罰減免と引き換えに捜査への協力や、大統領選の民主党候補だったヒラリー・クリントン氏に対するトランプ陣営の活動に関して知っている全ての情報を提供するよう圧力をかける可能性が高い。

  30日に開示された法廷文書によると、2016年3月から今年1月までトランプ陣営に加わっていたパパドプロス被告は選挙期間中、トランプ氏とロシアのプーチン大統領との会談の構想を持ち出したほか、電子メールなどクリントン氏の弱点を提供できると主張した複数のロシア人と接触した。この中にはロシア外務省を代表するとされる人物とのメール連絡も含まれ、この人物は「幅広い話し合い」についてパパドプロス被告に謝意を伝えていた。

  ホワイトハウスのサンダース報道官はこうした会談は全く行われていないと述べ、起訴は「大統領とは何の関係もない」とコメントした。

  パパドプロス被告はFBIの尋問に対し、これらはトランプ陣営に加わる前の出来事だと偽っていた。一方、マナフォート被告は「ぜいたくな生活」を維持するため1800万ドル(約20億円)余りを資金洗浄したなどとされる。

  起訴状はマナフォート被告とゲーツ被告が海外の口座について米当局に隠し、外国政府のための活動を開示せず、活動について17年まで当局に偽っていたと指摘した。

  検察当局は30日午後に法廷で、両被告には海外との関係から逃亡の危険があるとして裁判前に自宅軟禁とすると説明した。マナフォート被告は1000万ドル、ゲーツ被告は500万ドルの保釈金で釈放され、パスポートを引き渡した。

  マナフォート被告の弁護人、ケビン・ダウニング氏はその後記者団に対し、起訴はトランプ陣営と何の関係もないと述べ、ばかげたものだと語った。ゲーツ被告のスポークスマン、グレン・セリグ氏によると、同被告は自ら抗弁する考えだという。パパドプロス被告の弁護士はコメントを控えた。

  トランプ大統領はマナフォート被告の起訴事実は陣営に加わる前に起きたことだと主張、注意をクリントン氏に向けるべきだと促すツイートを発した。だが、起訴状では、同被告の不法行為は17年初めまで続いたとされている。

原題:Trump-Russia Collusion Probe Intensifies With Three Charged (3)(抜粋)

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