2008年のリーマンショック以降、アメリカやヨーロッパの中央銀行は急激に悪化した景気を支えるため大規模な金融緩和に踏み出しました。
それから9年がすぎ、世界的に景気の回復が続くなか、欧米の中央銀行は日銀に先んじて金融緩和を縮小して金融政策を正常化させる、いわゆる「出口政策」を進めています。
このうち、アメリカの中央銀行にあたるFRB=連邦準備制度理事会は、おととし12月にリーマンショック以降続けてきた異例のゼロ金利政策を解除して利上げに踏み出し、その後も3回追加の利上げを行っています。
そして、今月からは市場に大量の資金を供給する量的緩和策で膨らんだ資産規模を段階的に縮小していく段階に入りました。また、今後の政策金利の見通しについて、経済は緩やかな拡大が続くとして年内にあと1回、来年は3回、利上げを行うという想定を示しています。
さらに、ヨーロッパ中央銀行は26日に開いた金融政策を決める理事会で、各国の国債などを買い入れて市場に出回るお金の量を増やす量的緩和の規模を、来年1月から現在の半分にあたる1か月当たり300億ユーロに減らすことを決めました。
このほかカナダの中央銀行は国内経済が堅調だとして、ことし7月およそ7年ぶりに政策金利を引き上げたのに続いて、先月にも金利の引き上げを決めています。
一方、日銀は、国内の景気は緩やかに拡大しているものの目標とする2%の物価目標の達成はほど遠いとして、大規模な金融緩和を続けていくとしています。
このため、欧米の中央銀行で異例の緩和政策から脱し金融政策を正常化させる動きが進んでいるのに対し、日銀は「出口政策」の道筋を示す状況になお至っておらず、政策の方向性の違いが一段と際立ってきています。
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