11月29日よりスタートする『WEB EXPERT DRAFT』は、Webプロダクト開発、マーケティング、組織構築、事業開発等において問題発見と解決・改善、新しい価値創出を行っているWebエキスパートを対象に開催する、競争入札型転職サービス。
今回は、リブセンスの基幹事業『転職会議』のプロダクトマネージャー、内田直孝さんに話を伺ってきました。
内田直孝(うちだなおたか)
1984年生まれ。大手建機メーカーで技術エンジニアや経営企画として勤務した後、2013年にリブセンス入社。SEO、データサイエンス、Web広告に関わった後、『転職会議』のプロダクトマネージャーを務める。
クチコミを集め続けるだけではビジョンを達成できない
ー内田さんはどんなお仕事を担当されているのでしょうか。
内田: 転職クチコミサービス『転職会議』のプロダクトマネージャーとして開発・マーケティングの統括をしています。開発側はリードエンジニアと共に推進しています。
ーそもそも『転職会議』とはどんなサービスなのでしょうか?
内田: ひとことで言うと、転職活動時に応募先企業や気になっている企業のクチコミを見ることができるサービスです。
「世の中から無駄な転職を無くす」というビジョンのもとサービスを運営しているのですが、転職サービスを利用した従来の転職活動では、企業からの一方的なメッセージばかりが打ち出され、実際のところどんな会社なのか分からないことが転職のミスマッチにつながっているという課題がありました。
「クチコミ」があれば、そんな転職における不透明な部分を明らかにするができるんじゃないか?という考えから生まれたサービスが『転職会議』です。今では転職クチコミサイトNo.1※となるまでに成長しました。
ーそんな『転職会議』に、課題はありますか?
内田: 「転職クチコミ」というサービス自体の認知度がまだ高くないんです。市場調査のためユーザーインタビューを積極的に行っているのですが、転職活動をしている人の3人にひとりは転職クチコミサービスを知らないという結果が出ています。
そもそも転職活動のプロセスにおいて、ユーザーがクチコミを見るというアクションを起こすのはかなり遅いんですよ。転職を検討し始めて、まず最初にアクセスするのは求人情報。そこである程度絞ってから、ようやくクチコミを見るという流れなんですね。
それでもクチコミを見ているならまだいいのですが、たどり着く前にリクナビNEXTやマイナビ転職といった大手求人サイトで転職を決めてしまう人も多いのが現状です。企業のクチコミを見ないまま採用されたユーザーの中には「転職に後悔している」「先にわかっていたら応募しなかったのに」との声もあります。
ではなぜそのサイトで転職先を探したのか聞くと、大抵は「知ってるサイトだから」と返ってきます。新卒で就職活動をしていたときに登録したとか、テレビCM・交通広告で見かけたなど、その理由はさまざまですが。
もっと接触ポイントを前に倒すというか、転職プロセスの入り口の方でクチコミを見てもらえなければ、「世の中から無駄な転職を無くす」ことはできないんじゃないかと考えています。これまではクチコミを増やし続けることに専念してきましたが、それだけではダメということですね。
ーということは、『転職会議』は在り方を変えていくということでしょうか。
内田: 『転職会議』をより潜在的なユーザーにも使ってもらえるように、求人情報の閲覧や人材紹介サービスも利用できる総合型転職サイトに業態変更しようとしています。そして、その求人情報には基本的にクチコミを掲載します。クチコミを見るアクションが遅いのであれば、転職活動の最初で行う「求人検索」を提供してクチコミに触れられるようにしようという設計です。
ーなるほど、それはサービスの方針を大きく変えていくことになりそうですね!
内田: そうですね。総合型転職サイトに転換していくことはビジョンの実現に近づくだけでなく、事業拡大をしていく上でも大きなチャンスとなります。ただ一方で、僕たちは後発ですし、資金力も劣る。そのため、大手転職サイトがやっていることをコピーしても勝つのは難しい。そこで我々が持っている大きなアセットであるクチコミを活用することで、新しい価値を生み出したいと考えています。
先ほどの調査によると、「転職会議を知っていますか?」という質問には、だいたい20%くらいの人が知っていると答えてくれました。ですが「転職サイトには何がありますか?」と聞いて、『転職会議』の名前を挙げる人はほとんどいません。これからは転職サイトであることを認知してもらえるよう、ブランディングに注力する必要があると思っています。
ユーザーニーズに忠実であることが正解ではない
ー転職クチコミサービスから総合型転職サイトへの移行は、かなり大きな業態変更になりますよね。どんな風に進めているのでしょうか。
内田: ニーズ調査をかなり入念に行いました。具体的には調査会社と協力して、ニーズ調査をするべきユーザーのペルソナ設計からスタートし、3種類のペルソナを作成しました。その上で、そのペルソナに近いユーザーを集めて、徹底的なニーズ調査を行ったという流れです。
とはいえ、ニーズをそのまま反映すればすべて上手くいくわけではないですよね。そこでニーズを元に仮説を立て、サービスのどこが良くてどこが悪いかを聞く方法を採りました。
具体的には「何がいいですか?」と聞くのではなく、「ぼくたちはこういうことを考えているんですが、どう思いますか?」と聞くようなイメージです。
ーほう、それはなぜですか?
内田: ヘンリー・フォードの話に例えるとわかりやすいかもしれません。移動手段が馬車の時代、ユーザーにニーズを聞くと「もっと早い馬が欲しい」と答えるだろうと言われていました。もしユーザーニーズに忠実でいれば、足の早い馬を生み出すことに躍起になっていたはずで、「早く移動したい」という本当のニーズを満たすクルマが生まれることはなかったという話です。
ユーザーは自分が本当に求めていることを自分でわかっていません。ぼくたちがインタビューにこの手法を使ったのも、既存のサービスを拡張するのではなく、まだ世に無い新しい価値を生み出したいからに他なりません。
ーブランディングしていくとなれば、これまでよりお金のかかる施策が増えるのではと思います。集客の考え方について教えてください。
内田: 集客にお金やリソースを使うにあたって工夫が必要だと感じているのは、効果を計測できる手法で行わないといけないということです。
アメリカの実業家ジョン・ワナメーカーが「広告費の半分が金の無駄使いに終わっている事はわかっている。わからないのはどっちの半分が無駄なのかだ」と言っていましたが、まさに、集客で大事なのは何が無駄かが分かる状態であることだと考えています。
そこで効果計測が比較的容易なデジタルマーケティングを活用することで、旧来的な認知向上施策よりも効率の良いキャンペーンを行えないか、今後いろいろと試行していきたいと考えています。
マネージャーとして『TeamGeek』から学んだこと。
ー『転職会議』をマネジメントする上で、内田さんがリーダーとして心がけていることはありますか?
内田: 「信頼して任せること」ですね。そう思うようになったのは、転職会議チームに移るときに読んだ『Team Geek』という本がきっかけでした。
この本にはGoogleのギークたちがどのようにチームマネジメントを行なっているかが書かれているのですが、当時ぼくが行なっていたマネジメントはその逆だったことが多くて…。
例えば当時のぼくには完璧主義的なところがあって、他人に任せて中途半端になるくらいなら自分で全部やってしまうという、言わば「自分でやったほうが早い病」を患っていました。でもそれだと10人程度のチームは回せますが、40〜50人ものチームとなると到底回せません。『転職会議』でぼくが担ったのは、まさに後者のチーム編成だったので、今までのやり方では回らなくなってしまったんです。
となると、人を信じて仕事を依頼しなければなりません。その価値を理解できたのは、『Team Geek』に載っていた『あらゆる人間関係の衝突は、謙虚・尊敬・信頼の欠如によるものだ』というフレーズです。ぼくは知らないことを知ることに喜びを覚えるタイプなので、知っている人を素直に尊敬する気持ちはありますし、知らないことを認める謙虚さもあります。ですが、相手を信頼する力があったかというと…不足していたと言わざるを得ません。過去を振り返り、大いに反省することになりました。これが、信頼して任せることを心がけている理由です。
自分への戒めも兼ねて、『Team Geek』で学んだことをQiitaにまとめています。チームマネジメントに頭を抱えている方は、ぜひご覧になってみてください(笑)
TeamGeek から学ぶマネジメント・アンチパターン13選
インターネットがなければ生み出せない価値をつくりたい
ー今回の業態変更やリブランディングなど、内田さんにとって初めてチャレンジすることばかりだと思います。不安はありませんでしたか?
内田: ぼくは今33歳で、リブセンスは5年目なんですが、業界未経験で入社しました。だから、これまで知らないことしかやってきていません(笑) 最初はSEOの担当をし、Googleの特許文書などを読み解くくらい突き詰めて学びました。そこから社内のデータを扱うアナリティクスチームへ異動。その後Web広告に携わり、戦略立案から運用まで自分で実践しています。足りない部分に関しては外部の方に相談したりもしました。
もともと知的好奇心が旺盛で、未知の世界に飛び込んでいくのが楽しくて仕方ない質なんですよ。だから今回の大きなプロジェクトも、不安はあれど刺激的なことばかりでワクワクしています。
ー『転職会議』は、リブセンスの基幹事業のひとつ。成否の影響が大きいこの事業の舵取りを内田さんに任せた理由はどこにあると思いますか?
内田: 知らない世界に果敢に飛び込んでいく気概や、「できない理由」を考えたりしないぼくの性格がフィットしたのかもしれません。また、現場の方からは「企画の取捨選択がうまい」と言われることもありますね。その企画が誰の問題を解決するのか明文化するのは大事ですし、そのあたりには自信もあります。
あと今回のような大型プロジェクトには幅広い知識が必要になります。マーケティングはもちろん、機械学習を扱うならデータアナリティクスの知識も必要ですし、新機能追加にはディレクションの観点も必須です。でもこの3つのスキルを併せ持っている人って、世の中にそういるわけではないんですよ。
ぼくの強みは、マーケティングとデータ分析にWebディレクション。それに加え、開発に関して幅広いスキルを持っていることです。この分野に関してなら、的確な答えは返せないまでもサポートしながら一緒に考えていくことができますし、壁打ちの相手になることもできます。だから、「そんな自分だからできる!」という自負はありますね。
ーそのスキルはどうやって身につけたのでしょうか?
内田: ぼくの思考の根底には「インターネットがなければ生み出せない価値をつくりたい」という想いがあります。では、インターネットがなければ生み出せない価値とは何か、を考えた時にインターネットの強みは圧倒的な量のデータを蓄積、処理できることだと考えました。
そこで自分が価値を発揮するには、それに紐付いた分析や機械学習の知識が必要だと思い、社内のデータを扱う部署へ自分から手を挙げて転籍しました。同様に開発の知識についても、プライベートで勉強をしたり、エンジニアの勉強会にも顔を出したりしましたね。
−なるほど!目標の達成に必要なスキルを獲得するため、主体的に動かれていたんですね。最後に『転職会議』の、また内田さんご自身の展望について教えてください。
内田: 『転職会議』の業態変更を成功させるのはもちろんですが、事業とは別で考えるなら、自分で新しいサービスをつくりたいですね。『転職会議』を育てるのはやりがいもあるし楽しいですが、自分でゼロからつくりあげたサービスというわけではないですから。個人的には旅行とか食の分野でチャレンジしてみたいと思ってます。
とはいえ、曲がりなりにも人材業界で4年ほどやってきましたし、既存のサービスでは解決できない問題を抱えた人がまだまだ多いことも知っています。そういった人たちの問題を解決できるサービスを手がけることも視野に入れ、これからも挑戦を続けていきたいですね。
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