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自殺サイト連続殺人事件 犯人三上博による小説「初めての窒息プレイ、そして殺人」

 自殺サイト連続殺人事件の犯人、三上・"窒息王"・博による自身のウェブサイトでの小説「初めての窒息プレイ、そして殺人」が出てきたので、ここに(できるだけ読みやすく)まとめておく。
自殺サイト連続殺人事件 概要
 2005年8月、大阪府堺市の派遣社員・前上博(当時36歳)が、3人の男女を殺害していたことが発覚。被害者とはいずれも自殺サイトで知り合い、「ネット心中をしよう」ともちかけて落ち合った。前上は人が窒息する表情を見て興奮するという特殊な性癖の持ち主で、自殺をする気などはなく、自身が満足するためだけに被害者を襲っていた。
 逮捕前、彼はインターネット上で「窒息王」と名乗り、「The Asphyxisation」というウェブサイトを運営してそこに自ら執筆した小説を掲載していた。ウェブキャッシュに残っていたこの小説のデータが、今回ご紹介するものである。自身の手ですら抑えることのできなかった欲望の衝動が、ここに殴りつけられているということができるだろう。
 この事件については、他に下記のページが詳しい。
 ウィキペディア 自殺サイト殺人事件
 判決文(pdf) 被害者の最期の言葉を見ることができる。
 三上氏の気違い小説を読みたいという変なお方は、「続きを読む」よりお入りください。
 それにしても、昔のアングラサイトのキャッシュデータは貴重だ。保存用のサーバでも作ろう(借りよう)かな?




目次


初めての窒息プレイ、そして殺人
純也の章
直美の章
純也の章

最初の襲撃

襲撃失敗

更なる襲撃
捜査本部の章
尾崎かおりの章
純也の章
尾崎かおりの章
純也の章









初めての窒息プレイ、そして殺人


初めての窒息プレイ、そして殺人

 彼女の直美を窒息責めしたい純也。それを実行に移したとき、彼女に拒否される。そこで純也のとった計画とは・・・

純也の章

 には彼女が居る。直美という名前だ。付き合って2年になるが、彼女には隠している僕の嗜好がある。
 僕の嗜好はSMプレイ、特に窒息プレイがしたいのだ。しかし、彼女にふられるのが怖くて、今でも黙っている。勇気をもって告白しても、彼女の性格からして僕の嗜好を受け入れてくれそうに無い。
 先週、デートしたとき帰り際の車でキスをした。そのときに直美に気づかれないように、唇を重ね合わせたまま、ほっぺたで直美の鼻を塞いで少しだけ窒息させた。直美は少し苦しそうだったが、帰り際に「純也君・・・激しいから・・・」と言った。
 僕は少しだけ満足したが、しかしもっと直美を苦しめたいという欲望が湧いてきた。僕は計画を立てた。直美は一人暮らしをしているので月一回、直美の家に行き直美の陰部に触れて直美の性欲を満足させるのが僕たちの日常だった。絶頂に至った直美が短時間、失神するのを利用するのだ。
 月が変わり、直美の月経も終わりその日がやってきた。いつものように僕は直美の家へ愛車で行った。アパートの近くに路上駐車し、直美の部屋へ向かう。インターホンを鳴らすと直美が出てきた。
 「純也君!!待ってたよぉ~」
 甘えた声を出す直美。部屋に入ると二人で抱き合ってキスをした。その後ベッドに直美を連れて行きパンティーを脱がす。
 「直美・・・今日はちょっと提案があるんだ・・・」
 「何?純也君」
 「いつもの時と違って、前回は直美の声が大きかったから、近所に聞こえると直美が恥ずかしいと思ってガムテープを用意してきたんだ・・・これを口に貼ってもいいかな?」
 「え!?・・・私の口に?」
 「そう、君の口をテープで塞ぐんだ。」
 「こんなの貼ったら、肌が荒れやしない?」
 「大丈夫。後で化粧水を塗れば・・・」
 「うん・・・いいよ・・・」
 僕は持参したガムテープを直美の口に貼り付けた。そして直美の陰部に手をやった。そして激しく手を動かした。直美は仰け反って僕の肩に爪を立てて感じていた。しばらくして直美は、ぐったりと動かなくなった。絶頂に達したようだ。
 僕は計画通りに、直美の両手を頭の上で一まとめにし左手で押さえつけ、右手でガムテープの猿轡の上から、直美の鼻と口を塞いだ。
 最初、直美の表情は変わらなかったが、20秒ほど立つと苦しそうな表情を浮かべた。そして、程なく気が付いた。
 「うっ・・・うっ・・・ん?!・・・んーーーーっ!!」
 直美は激しく抵抗する。僕は押さえつけている手の力を強めた。
 「んーーーーっ・・・・んーーーーっ・・・ん・・ん・・んーーーーっ!!」
 直美は足をばたつかせて激しく抵抗する。あまりの激しさに両手を抑えていた手が離れてしまった。そして直美は僕の右手に爪を立てて引っかいた。
 「いてっ」
 思わず、直美の鼻と口を塞いでいた右手を離してしまった。直美は猿轡をはがして、荒く息をした。
 「ぶはぁ、はぁ、はぁ、はぁ、純・・・也・・・君・・・何・・・する・・・の・・・はぁ、はぁ、はぁ」
 「ごめん!!君の苦しむ姿を一度見てみたかったんだ・・・ごめん」
 とっさに謝ったが、直美は許してくれなかった。
 「純也君嫌い!!帰ってよぉ~・・・」
 「ごめん・・・もう二度としないから許してくれ・・・」
 「もう来ないでよぉ・・・嫌いだよぉ・・・」
 直美は目から大粒の涙をこぼしながら言った。
 僕は誠意を出して謝れば、直美が許してくれるものだと思っていた。計画は失敗だった。恋愛の破綻の予感を感じながら、僕は直美のアパートを後にした。
 数日後、僕は直美の携帯電話に電話したが、着信拒否になっていた。その夜、直美の家に電話したが、返ってきた返事は
 「もう純也君のことは嫌いになったの・・・私のことを大事にしてくれない純也君が嫌いになったの・・・もう、純也君とは会わない・・・さようなら」
 完全に直美との仲が破綻してしまった。でも、僕は次の計画を練り始めた。

直美の章

 也に窒息させられ、死ぬほど苦しい思いをしたあの日から、2ヶ月が過ぎた。もう純也から連絡も無い。純也がああいう嗜好が好みだとは思わなかった。ショックだった。でも気分はふっきれた。通っている大学で新しい彼氏でも見つけよう。新しい生活が始まるんだ、そう思った。
 しかし、直美は純也がまだ付けねらっていることを知る由も無かった。

 ある秋の夕暮れ、直美は大学から自宅へ帰った。大学のひとつ上の先輩に告白し、今日OKの返事をもらったのだ。直美は今日先輩と食事をしたかったのだが、先輩はバイトの都合で駄目だった。しかし週末にデートをする約束をしていた。直美は浮かれていた。少し注意力が散漫になっていたのかも知れない。自宅のアパートの、部屋の鍵を開けたときの、いつもと違う微妙な空気に気がつかなかったのだ。
 玄関で直美は靴を脱ぎ、下駄箱にしまおうとしたとき、背後の気配にも気がつかなかった。
 靴をしまおうとして、しゃがみ込もうとしたその瞬間、直美の鼻と口をタオルで塞いだ何者かが居た。
 「?!・・・むっ、むーーー・・・うーーー」
 すごい力で直美に悲鳴をあげさせまいと、押さえ込んでくる。背後から襲われたので誰だか判らなかった。
 (何?誰?・・・誰か助けて!!)
 「むーーーー、うーーーー、むぐぅーーーー」
 うめき声をあげ必死に抵抗する直美の首筋に激痛が走った。
 「んーーーーーーーーーーー・・・・・・ん・・・・・・」
 直美は目の前が真っ暗になり、気を失った。

 どの位の時間、気を失っていたのだろうか?直美が、気が付いたとき縛り上げられていた。両手を後ろ手に縛られ膝と足首も縛られている。なおかつ、ロープで体をベッドに縛り付けられている。声を出そうとしたが、口の中にガーゼのような物をつめられ、その上からガムテープがべったりと貼られている。
 どうやら自分の部屋らしいが、電灯は豆球が点いているだけなので様子は判らない。
 「うーーー・・・うーーー・・・」
 体を捩って、拘束を解こうとするが、体の自由はきかなかった。
 突然、部屋の入り口のほうで
 「無駄だよ・・・直美」
 という声がした。頭を捩って見てみると、純也だった。私の背筋に寒い物が走った。
 「うーーーうーーーんーーーんーーー」
 私は不自由な体を、なんとかしようと身を捩って、少しでも大声をあげようとした。
 「直美・・・あんまり抵抗すると、またスタンガンで眠ってもらわなければならないよ。」
 純也のこの言葉を聞いて私は事を理解した。付き合っていたとき、私の部屋の合鍵をこの男は作っていたのだ。そして、今日その鍵で忍び込み、私をスタンガンで気絶させ、縛り上げて、これから何かをしようとしているのだ。
 「今日は僕の趣味に付き合ってもらうよ。有無を言わさずね。」
 純也のこの言葉を聞いて、私の背筋に再び寒い物が走った。
 「直美はどの位の時間、息を止めていられるのかな?1分かな?それとも2分?3分はどうかな?」
 (3分なんて冗談じゃないわ。私、死んじゃう)
 「うーーー・・・うーーー・・・」
 うめき声を上げ、身を捩る私の元へ純也が近づいてきた。私の上に馬乗りになって、猿轡をした私の口を純也は左手で押さえ、鼻を右手で摘んで塞いだ。私は息が完全に出来なくなった。
 「くっ・・・くっ・・・」
 私は、出来るだけ酸素を消費しないように体を動かさず、頭だけを動かして純也の魔の手から逃れようと抵抗した。しかし、純也の力は凄まじく、拘束されていることもあって抵抗できない。だんだん苦しくなってきた。
 (いやぁーー誰か助けてーー先輩・・・助けて)
 じっとしていることが出来ないくらい、苦しくなった。私は無駄なこととは判りつつ、拘束を解こうと、体を捩った。
 「んーーんーーんーー」
 もしかしたら、うめき声が聞こえて隣人が異変に気が付いてくれるかもしれない。
 (いやぁーーー苦しいーーーすごく苦しいーーー誰か助けてーーー)
 どのくらい暴れただろうか?1分以上は経っている。もう限界だ。心臓は物凄い速さで脈打っている。頭のこめかみ辺りが、ずきずき痛む。そのとき私の鼻を塞いでいた純也の手が離された。
 「ふうーーーー・・・ふうーーーー・・・ふうーーーー」
 私は必死になって空気を貪った。
 「どうだ苦しかっただろう。苦しんでいる君の姿は美しいよ。」
 純也は目を細めて、私を見下ろしている。私は気持ちが悪くなった。
 「まだ楽しみはこれからだ。もっともっと苦しんでもらうよ・・・直美」
 私はパニックになった。息が出来ても苦しさは、まだ去っていない。純也の右手が私の鼻に近づいてきた。私は思いっきり息を吸い込んだ。その瞬間またしても、私の鼻は純也の右手によって摘まれ、塞がれた。
 「んーーーんーーーんーーー」
 私は出来るだけ声を上げようと、うめき声を出し続けた。体も捩りつづけた。しかし息は全く出来なかった。また、だんだん苦しくなってきた。
 「んーーーんーーーんーーーんーーー・・・・・」
 (苦しいーーー息が出来ない・・・苦しいーーーー!!)
 私の意識が遠のきかけたとき、純也の右手が離された。が、10秒もしないうちに、また私の鼻を摘まんで塞ぐ。こういう事が20分以上続いただろうか?もう私の体力は限界だった。絶望感から涙が溢れて止まらない。
 暫くこういう純也の責めが続いた後、純也の右手が私の鼻から離された。
 「今度は、直美が失神するまで、呼吸を止めさせてもらうよ。」
 「うーーーー」
 「いや、心臓が止まるまでかな?絶対に警察に届けるだろう・・・直美!」
 「うーーーん・・・うーーーん」
 私は首を横に振った。まだ死にたくなかった。やりたい事だって、まだいっぱいある。先輩とも付き合うことになったのに。
 (純也君、警察には言わないから、今日のことは秘密にしておくから、命だけは助けて)
 どうにかして、純也に私の気持ちを伝えたかったが、猿轡のせいでくぐもった声にしかならない。
 「さよならだ・・・・・・・・直美」
 純也の右手が私の鼻に、徐々に近づいてきた。私は頭を左右に振って最後の抵抗を試みた。だが、私の口を猿轡越しに押さえている純也の左手に力が込められ、抵抗できなかった。息を思い切り吸い込んだ瞬間、純也の右手が私の鼻を摘んで塞いだ。
 「んーーーんーーーんーーーんーーー」
 (いやぁーーー死にたくない!!いやぁーーー苦しいーーー誰か助けてぇーーー)
 「んーーー!!んーーー!!んーーー!!」
 私は必死に抵抗しようとするが、体を拘束されているので叶わなかった。
 苦しい。とっても苦しい。心臓が物凄い速さで脈打っているのが判る。目の奥がズキズキ痛む。耐えられないほど苦しくなった。私は死に物狂いで体を動かした。
 「さあ、そろそろオネムの時間ですよ」
 と純也が言った。
 私の目から涙がぼろぼろ流れ出してくる。大声を出そうとしても、息をしようとしても、すべての行為が無意味だった。私は閉じていた瞳を開いて、馬乗りになった純也を見た。純也は目を細めて、笑っていた。楽しそうだった。
 (何で・・・こんな事に・・・)
 私がそう思った瞬間、私の目の前は真っ暗になり、私は意識を失った。

純也の章

 20分くらい、直美を責めつづけたときに判った事がある。人間というのは呼吸を遮られ苦しくなると、とんでもない力を出すということだ。この前は、直美を縛り上げておかなかったから、抵抗されてしまい失敗に終わったのだ。今日は、何度も直美を責めつづけられて満足だった。
だが、事後のことは悩んでいた。警察に通報されると俺は、殺人未遂で逮捕される。最初の計画どおりに、このまま直美を窒息死させてしまおうと、責めながら考えていた。
 最後に責めたとき、直美は目から涙をぼろぼろ流していた。死にたくないからだろうか?それとも苦しいからだろうか?
 「んーーーー!!んーーーー!!んーーーー!!」
 直美はうめき声を上げながら、必死に首を左右に振ろうとして抵抗する。その苦しんでいる姿を目に焼き付けながら、俺は満足感に浸っていた。
 直美の呼吸を遮断して2分くらい経った時、突如うめき声が途絶え、直美の全身から力が抜けた。それでも俺は直美の鼻と口を塞ぎつづけた。暫くすると直美の体が小刻みに痙攣しだした。そして「ぶっ」という脱糞の音がした。それからも俺は直美の鼻と口を塞ぎつづけた。小刻みに痙攣していた直美の体がぐったりとなった。
 俺は直美の鼻を塞いでいた右手を離した。すると直美の鼻から、泡状の液体のような物がこぼれだした。これには少し驚いた。直美がまだ生きていると思ったからだ。しかし、直美は呼吸しなかった。直美は死んでしまった。
 直美をベッドに縛り付けていたロープをはずす。そして箪笥や、机の引出しを引っ掻き回した。そして箪笥の中から、預金通帳と印鑑そして直美の財布から現金を抜き取った。強盗の仕業に見せかけるためだった。
その後、一部始終を録画していたビデオカメラを鞄にしまった。そして、直美の家の鍵を持って部屋を出てドアに鍵をかける。その後、車で自宅に帰った。
自宅に帰ってから録画したビデオを何度も見た。直美の苦しむ姿は美しく、それを見て俺は何度も自慰行為をした。

 何日か後、新聞に直美の記事が載った。大学に出てこないので友人が心配してアパートに行ってみると、新聞が何日も溜まっており、異臭がしたことから警察に通報したということだった。警察では部屋が荒らされていることから、強盗の仕業として捜査しているという事だった。
 翌日、刑事が俺の家に来た。6日前の俺のアリバイを聞きに来たのだった。俺は、直美とは別れて関係ないこと。その日は自宅にいて、一人暮らしであることもありアリバイの証人が居ないということ。直美には新しい彼氏が出来たようで、怪しいのはそいつだというようなことを言った。刑事は一応納得して帰った。
 結局その後、警察は俺のことを調べに来なかった。証拠の通帳と印鑑は焼却処分した。ビデオはDVD-Rに記録してから、テープは処分した。直美の家の鍵は、遠く離れたどぶ川に棄てた。車もいつもと違うところに路上駐車したし、アパートに忍び込む時も、出て行く時も細心の注意を払っていたので、目撃者は居ないという自信があった。
 これが、俺が犯した最初の殺人であった。
 これ以後、殺人も含め俺は窒息責めをするために、次々と、犯罪を犯していくのであった。5年後、現行犯逮捕されるまで・・・




最初の襲撃

 彼女の直美を窒息責めし、彼女を失った純也。次に彼がとった行動とは・・・

 美が死んで、2ヶ月が経った。俺は、窒息プレイがしたくて、仕方が無かった。しかし彼女をこの手で殺してしまってから相手も無く、欲望が溜まるばかりだった。
 俺は、大学の研究室に助手として勤めている。
 ある日の夕暮れ、大学からの帰り道、車を走らせていると俺の車の前を走っているバスが、バス停に止まった。バスの降り口から、通勤のサラリーマンに混じって、女子高生が降りてきた。
 俺は、その女子高生を尾行することにした。新興住宅街に向かってサラリーマンの後から、彼女はゆっくり携帯電話のメールを打ちながら歩いていく。
 俺は、車をゆっくり走らせながら、彼女の後を尾行した。彼女はサラリーマンの後から完全に離れ、メールに夢中という感じでゆっくり歩いていた。
 彼女は三叉路を左に曲がり、空き地が多い道路の前をゆっくり歩いていた。そして、携帯電話をポケットにしまうと足早に歩き出した。俺は、さらに後を尾行した。彼女は突き当たりの家に入っていった。
 次の日、俺は休暇を取り昼に現場の下見をした。空き地は道の左右に5件分づつあり、その奥に民家があった。
 空き地は道路から2メートル位、高台になっておりススキなどの雑草がたくさん生えており、この中に連れ込めば道路からは確実に見えない。民家の2階の窓から見ればばれてしまうので、真中の空き地に連れ込むことにした。
 その日の夕方、俺はバス停の反対側に車を止めて、30分に1本のバスを監視し続けた。昨日と同じ時刻のバスには、彼女は乗っていなかった。次のバスを待つことにした。
 30分後、次のバスが来た。そのバスに彼女は乗っていた。俺は、襲撃ポイントまで車を進めて、先回りした。
 車をポイントの傍で止め、両手に皮手袋をはめて、右手にスタンガンを持った。そして、彼女を拘束する道具を入れたバッグを肩に掛け、ポイントの空き地にバッグを置いた。そして、雑草の茂みに身を隠して様子をうかがった。サラリーマンたちが足早に家路を急ぎ、目の前を通り過ぎて行った。
 その5分後、彼女が来た。うつむいて携帯電話の画面を見つめながらゆっくり歩いて来る。
 俺は、スタンガンの安全装置をはずし、ゆっくりと音を立てないように空き地の土手を下り、彼女の背後に回り込んだ。周りを見回したが、誰も歩いていない。民家の2階も明かりが消えている。
 小走りに彼女に近づいた。彼女は、俺の気配を察したようで、携帯電話の画面を見つめている顔を上げ、後ろを振り返ろうとした。それより一瞬先に俺が、左手で彼女の口を塞いだ。
 「うっ・・・うーーー・・・うーーー」
 彼女は、うめき声を上げ俺の左手を離そうと必死に抵抗する。俺は、力をこめ彼女の口を塞ぎながら、右手のスタンガンを彼女の首筋に当て、メインスイッチを入れた。バババババババと鈍い放電の音が響いた。
 「うーーーーーーーー・・・うーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・」
 彼女の全身から力が抜け彼女は、ぐったりとなった。
 俺は、彼女を抱きかかえると空き地へと運び、両腕を後ろ手にして手錠をかけた。そして、ガムテープで目隠しをし、口にも貼り付けて猿轡をした。そして、彼女を襲った地点まで行き、彼女の携帯電話と鞄を拾い、彼女のところへ戻った。
 5分位して彼女は意識を取り戻した。彼女は、自分の体の自由が奪われていることを知ると、何とか体の自由を取り戻そうと、もがき始めた。
 俺は、傍で立って彼女の様子を眺めていた。
 彼女は暫くして、俺の気配に気がついた。
 「うーー・・・うーーん・・・」
 俺は、彼女の頭の上に回りこみ、両手で彼女の鼻と口を塞いだ。彼女は驚いたようで、すぐに抵抗を始めた。
 「んーーーんーーー・・・んんーーー!!」
 彼女のルーズソックスを履いた足が、バタバタと宙を蹴る。
 俺は、構わず彼女の鼻と口を押さえ続けた。1分位経ったとき、鼻だけ息が出来るように離した。
 「うーーーうーーーうーーーうーーー」
 彼女はうめき声を出しながら、必死に呼吸をした。
 俺は彼女が息を吐いたのを見計らって、再び鼻を塞いで窒息させた。
 「うーーー・・・・んっ・・・んっ・・・んーーーんーーー」
 彼女は足をばたつかせながら、必死に体を捩って抵抗する。俺は、再び1分位して、彼女の鼻を離した。
 この様な窒息責めを10回くらい繰り返して鼻を離したとき、彼女は、うめき声さえも出せないくらいに、衰弱していた。
 俺は腕時計を見た。もう、そろそろ次のバスが到着する頃だ。俺は彼女の鳩尾を殴った。
 「うぐっ・・・・・・うーーーうーーー」
 俺は、彼女の鳩尾にパンチを浴びせつづけた。
 「うぐっ・・・うーーー・・・うぐっ・・・・・・うぐっ・・・うぐっ・・・」
 何回か殴ると彼女は失神した。
 こつこつと足音がした。様子を伺うと、スーツを着たサラリーマン風の男が目の前の道路を歩いてくる。
 俺は息を殺して、彼が通り過ぎるのを待った。ススキのお陰で彼は、俺たちの存在に気が付かず、通り過ぎて行った。暫く様子を伺ったが、人の来る気配が無い。
 俺は、再び彼女の鼻と口を塞いだ。
 「・・・・・・ん・・・・・ん・・・・・・んっ・・んっ・・んっ・・・・・んーーー!!」
 彼女は意識を強制的に取り戻されて、再び窒息の苦しみを味合わされた。
 「んーーー!!んーーー!!んーーー!!」
 俺は彼女が失神するまで責めることにした。
 彼女のルーズソックスを履いた足が、地面を掻くようにバタバタと動く。スカートが半分捲りあがって、白い太ももが夜目にも判る。
 俺は、彼女の鼻と口を押さえている手に力をこめた。
 「んーーー!!んーーー・・んーーー・・んーーー・・・・・んぐっ・・・・・・・」
 彼女は意識を失った。
 俺は、すぐに彼女の鼻から手を離した。彼女は呼吸を再開した。俺は彼女のほっぺたを軽く叩いてみたが、彼女の反応は無かった。
 俺は彼女の目隠しと猿轡をはがし、彼女の瞳を見てみた。彼女の目は白目をむいていた。
 俺は、彼女をうつ伏せに寝かして、後ろ手にかけた手錠をはずした。そのとき彼女の携帯電話が鳴り出した。俺は、慌てて彼女の携帯電話を拾い上げた。画面を見ると「自宅」と表示が出ていた。
 俺は、赤いボタンを2回押して電話を切った。そして、証拠を残さぬように、目隠しと猿轡に使ったガムテープや手錠、スタンガンをバッグに入れ、その場を立ち去った。車に乗るときも最新の注意を払った。
 翌日の夕方、大学の帰りに現場を通ってみた。彼女の家の前も通ってみたが、変わったところは無かった。ひょっとして通夜でもしていたら、と考えていたのだが命に別状は無かったようだ。
 この方法は、使える。俺は、そう思った。しかし、犯罪を重ねることによって、徐々に捜査網が狭まってくるとは考えもしなかった。




襲撃失敗

 街行く獲物を探して、行動に移した純也。しかし2回目は・・・

 初の女子高生の襲撃から、3ヶ月が経った。俺は、また窒息プレイがしたくなった。俺の、手元にはスタンガンがある。これを使えば、大人だって一発で失神する。説明書には効果は人によって違うと書いてあったが、何せ12万ボルトの電圧だ。これは強力な武器だ。
 俺は、再び大学の帰りや、休みの日に獲物を探して街をうろついた。そして獲物を見つけた。ある日の大学の帰りに偶然見かけた、女子高生だった。クラブ活動の帰りなのか、見かけた時間は遅かった。赤いマフラーに制服のコート、大きなスポーツバッグに、赤色のスニーカー、白色のスクールソックス。そういう姿だった。真面目にクラブ活動をしているという感じだった。
 彼女は毎日電車を下りて、自宅に向かって徒歩で歩いていく。そのときに人気の無い公園を近道として通るのであった。
 俺は、彼女の行動パターンを、綿密に調べ上げた。彼女は、土曜日もクラブ活動をしている様で、土曜日も19時30分位に公園を通る。
 週休2日制のおかげで、通勤のサラリーマンも少ない土曜日に、決行することにした。
 次の週の土曜日、俺は公園の脇に愛車のワンボックスを止め、公園のトイレ横の植え込みに身を隠した。時計を見ると19時20分だった。俺は息を殺して待った。
 暫くして足音が聞こえた。茂みの影から見ると、サラリーマンだった。その後方を見ると、公園の入り口の方に、彼女の姿が見えた。俺はスタンガンの安全スイッチをはずして待った。
 目の前をサラリーマンが足早に通り過ぎて行った。俺は、公園の入り口のほうを見た。彼女の後ろからは誰も来ていない。彼女が近づいてきた。俺は、胸の鼓動を押さえるように、ゆっくり深呼吸をした。
 やがて、彼女が目の前に来た。俺はそっと、足音を忍ばせて彼女の背後に近づき、左手で彼女の口を塞いだ。
 「むっ・・・うむぅ・・・」
 驚いている彼女を、俺は茂みの中へ引きずり込んだ。
 「うーーーうーーー・・・むうーーーー」
 彼女は必死になって抵抗する。その首筋にスタンガンを当てて、メインスイッチを入れた。バババババババババと放電の音がする。
 「うーーーーーーー・・・・んーーーーーーー・・・・うーーーーーーー」
 彼女は、必死にうめき声を上げて抵抗する。彼女の口を塞いでいる俺の左手を、離そうとする彼女の両手の力が弱まった。
 しかし、いつもと様子が違った。彼女は失神しないのだ。
 「うーーーーうーーーーうーーーー・・・・んんーーーー」
 力こそは弱まったものの、うめき声は激しくなる一方だ。彼女は体を捩って抵抗している。
 俺はあせった。いくら首筋に、スタンガンを強く押し当てても、結果は一緒だった。
 このまま逃げてしまっても良いが、悲鳴を上げられたらピンチだ。俺は、スタンガンを腰のホルダーに差込み、両手で、彼女の鼻と口を塞いだ。
 「んっ・・・・うぐっ・・・・んーーー・・・・」
 彼女は必死になって、俺の両手に手をかけて抵抗する。このまま、力ずくで押さえ込んで、彼女を失神させるつもりだった。しかし、様子がおかしい。
 「うーーー・・・すぅーーー・・・うーーー・・・すぅーーー」
 彼女は呼吸をしていた。手に隙間が出来て、完全に彼女を窒息させることが出来ないのだ。
 俺は、再び手の位置を微妙に変えて、彼女の鼻と口をぴったりと塞いだ。
 「んーーー・・・んーーー・・・」
 彼女は体を捩って、俺の両手を離そうと、必死になっている。
 (よし!これで大丈夫だ)
 そう思った瞬間、またしても彼女の抵抗が弱くなり、息をする音が聞こえてきた。
 俺は困ってしまった。このまま手を離してしまったら、悲鳴を上げられる。しかも、スタンガンは効かない。窒息させて失神させることも出来ない。
 俺は、植え込みの影で彼女の口を塞ぎながら、途方にくれていた。幸い彼女に顔は見られていない。
 俺は、彼女の後頭部をスタンガンで殴って、失神させることにした。
 俺は、スタンガンを腰のホルダーから取り出し、右手に持ち電池の入った部分で、彼女の後頭部を思いっきり殴った。「ごつっ」と鈍い音がする。
 「うーーー・・・・・・・・」
 俺は、彼女の口を左手で塞ぎながら、様子を伺った。彼女は、ぐったりと腰を地面に落とした。それに合わせて俺もしゃがみ込む。
 俺は、彼女を地面に押し倒すと、彼女の口を塞いでいた左手を離し、茂みから逃げ出した。その時
 「いやぁーーきゃぁーーー・・・・誰かぁーーーー」
 彼女が悲鳴を上げた。俺は必死になって車まで戻り、慌ててエンジンをかけて逃げ出した。俺は、自宅に帰るまで心臓がドキドキしたままだった。
 自宅に帰り着き、水を飲むと落ち着いた。俺は、なぜ今日の襲撃が失敗したのかを、冷静に分析し始めた。
 なぜ、スタンガンが効かなかったのか?
 彼女の後頭部を殴ってスタンガンを壊してしまった今、変わりの物を用意しなければならない。クロロフォルムだ。それは大学の研究室に有り、管理もずさんで多少持ち出しても、発覚する心配は無かった。
 後は両手で窒息できなかったこと。皮手袋を嵌めた手で、ぴったり鼻と口を塞いでも、抵抗されると微妙に隙間が出来て、その隙間から呼吸が出来てしまうのだ。
 俺は、色々考えた末、ビニールを使うことにした。しかし、ビニール単体では引きちぎられる恐れがある。ビニールをタオルに両面テープで貼り付けたら良いと結論した。
 後は、クロロフォルムだ。テレビでは2~3秒で失神してしまうが、俺はその様なことが無いのを知識として知っていた。
 研究室で、DNAの抽出にクロロフォルムを使うのだが、多少嗅いだ位では、失神しない。少し気分が悪くなるだけだ。少なくとも3~4分位、嗅がせ続ける必要があった。スタンガンのように即効性は無い。人気の無い場所を、襲撃ポイントに選ばなければならない。それに失神している時間が判らない。
 俺は、実験することにした。ターゲットは1度目に襲撃した、女子高生にすることにした。彼女も、2度も襲われるとは夢にも思っていないだろう。
 俺は次の日、大学に出勤した時に、クロロフォルムを1壜失敬した。保管庫には鍵が挿したままで、クロロフォルムの壜も多量にあり、発覚する心配は無かった。その日の帰りに、ドラッグストアーで10m巻きの厚手のガーゼを購入した。後は実験するだけだ。
 準備をしてから、仕事が忙しくてなかなかチャンスが無かった。1ヶ月が過ぎた頃、ようやく仕事が暇になり、定時に終われる事が多くなった。
 俺は木曜日の夕方、早く仕事が終わったので、道具をバッグに詰めて、前回女子高生を、待ち伏せしたバス停に向かった。もしかしたら、警戒して帰宅時間を早めているのかと思ったが、心配は不要だった。彼女は前回と同じバスに乗っていた。しかも、一番最後にバスを降りてきた。
 俺は、前回彼女を襲ったポイントまで車を走らせ、止めた。
 俺は車の中で、両手に皮手袋を嵌め、ガーゼとクロロフォルムの壜を取り出し、彼女を待った。2分くらい経った頃、彼女が曲がり角に姿を見せた。
 俺は、ガーゼにクロロフォルムをたっぷり染み込ませて車を降り、車の陰に隠れた。
 彼女が、車の側を通り過ぎたとき、俺は彼女の背後に回りこみ、鼻と口をガーゼで塞ごうとした瞬間、彼女が振り向いた。彼女に顔を見られた。俺は、慌てて彼女の鼻と口を、ガーゼで塞いだ。
 「ふっ・・うーーー・・・・ごほっ・・・・ごほっ・・・・ごほっ・・・・」
 彼女は、クロロフォルムのあまりにも強烈な臭いに、むせ返り咳き込んだ。が、それも一瞬だった。彼女は、激しく抵抗を始めた。
 「むーーーーーーーうむぅーーーーーーうーーーーーーー」
 彼女は、激しく体を捩り、足をばたつかせて抵抗する。俺は、彼女の鼻と口を塞いでいる右手に力をこめた。
 「うーーーーーむうぐぅーーーーんーーーー・・・うむぅーーーんーーーー」
 俺は、辺りを見回した。民家に明かりが、ぽつんと点いているだけで、人の気配は全く無かった。
 それよりも、彼女に顔を見られた事に不安を感じていた。このまま山奥にでも連れて行って、殺すしかない。そう考えていた。
 彼女にクロロフォルムを嗅がせ始めてから、3分くらい経った頃、彼女の動きが徐々に緩慢になってきた。
 「むぅーー・・・・うーー・・・・うむぅーー・・・・」
 彼女は、がっくりと腰を地面に落とした。しかしまだ意識は失っていない。俺も、彼女の背後に回りこみ、しゃがんで彼女の鼻と口を塞いでクロロフォルムを、嗅がせ続けた。彼女の意識が遠のいていくのが、はっきり判る。
 「うぅ・・・・・・・むぅ・・・・・・・うんんぅ・・・・・・・」
 俺は、彼女の顔を覗き込んだ。彼女の目は、とろんとしていた。俺は、なおも彼女の鼻と口をガーゼで塞ぎつづけた。
 やがて、俺の右手にかかっていた彼女の両手がパタリと落ちた。
 「ん・・・・・・・ぅ・・・・・・・」
 彼女は、ぐったりと俺にもたれかかった。俺は彼女を地面に横たえると、ワンボックスのハッチバックを開け、彼女を抱きかかえ、車に乗せた。
 車のハッチバックを閉め、彼女の両手を、後ろ手にビニールテープでしっかりと拘束し、両足首と、両膝もビニールテープでしっかりと拘束した。口にガムテープを貼って猿轡をした。
 俺は、殺害と死体を遺棄する場所を、1時間半位、山手に走ったダムにすることにした。
 俺は、ダムに向かって車を走らせた。急いだせいもあったか、1時間程でダムに着いた。ダムの側は、小さな公園になっており、駐車場がある。
 俺は駐車場に車を止めた。スライドドアを開けて車の後部に入る。
 彼女は意識を取り戻しつつあった。俺は、バッグの中から、サランラップを貼り付けたタオルを取り出した。彼女の頬をひっぱたく。
 「うっ・・・うーーーーーん」
 彼女は、うっすらと目を開けた。まだ意識が朦朧としているようだ。
 俺は、彼女の鼻を摘んで窒息させた。彼女は、最初はじっとしていたが、暫くすると体を捩って苦しみもがきだした。俺は、これで完全に意識を取り戻したのを確認すると、鼻を摘んでいた手を離し、彼女の呼吸が出来るようにした。そして、猿轡のガムテープを剥がした。
 「私をどうする気?」
 彼女は怯えながら言った。
 「顔を見られた以上、生きて返すことは出来ないよ。」
 「お願い、警察には言わないから、命だけは助けて・・・」
 「いや、駄目だ。前回、襲われたときも警察に通報しただろう?」
 「え・・・あれも、あなただったの・・・警察には言ってないよ」
 俺は、彼女にサランラップを貼り付けた、タオルを見せて言った。
 「このタオルには、サランラップが貼り付けてある。これで君の鼻と口を塞ぐと完全に呼吸が出来なくなる。君は窒息死して、このダムに死体を棄てられるんだ。」
 彼女は、タオルを見て驚いたようだ。
 「いや・・・いやぁーーー」
 俺は、彼女の顔面にゆっくりと、タオルを近づけていった。彼女は、鼻と口を塞がれる瞬間、思いっきり息を吸い込んだ。彼女の鼻と口に、サランラップの面を押し当てる。
 「んーーーーーんーーーーーんーーーーー」
 彼女は不自由な両足を、車の床にバンバンと叩き付けて抵抗する。ブーッと音がする。口から息を吐いたとき、サランラップがその様な音を立てるのだ。しかし、息を吸うことは出来ない。
 「ブブブブ・・・・んんんんんーーーんんんんんーーー」
 彼女は、必死にもがいて抵抗するが、全て空しい行為だった。彼女の抵抗は徐々に激しさを増していった。
 3分位経ったとき、突然、彼女のうめき声が途絶え、彼女は、ぐったりとなった。
 シャーと音がする。彼女は失禁して、尿を排泄しているのだ。その後、ブッと、脱糞の音がした。俺は、彼女の胸に耳を当て、心臓の鼓動を聞いてみたが聞こえなかった。
 俺は、彼女の手足の拘束をはずすと、彼女の両脇に手を通し、彼女を引きずってダムの辺まで運んでいき、ダムの湖面に彼女を放り込んだ。
 彼女は、うつ伏せになって湖面に浮かんでいた。俺は、すぐに車へ戻り家に帰った。
 翌日の、夕方のテレビで「女子高生の遺体、ダムで発見される」のニュースが流れた。警察は他殺と断定、捜査本部を設置したとの事だった。
 拘束していたテープの屑は、焼却処分したし、車も綺麗に清掃した。証拠は無いはずだ。
 ほとぼりが冷めた頃を見計らって、また好みの女をクロロフォルムで拉致して、顔がばれなければ窒息プレイをした後、再びクロロフォルムで失神させ、元の付近に放置すればよい。俺は、そう考えていた。
 これが、俺が犯した2度目の殺人だった。




更なる襲撃

 街行く獲物を襲撃することに成功した純也。彼の行動は、更にエスカレートする。

捜査本部の章

 村直美が殺害されて、もう半年が過ぎた。事件現場付近の聞き込みをしても、不審者の姿を見たものは居なかった。
 「やはり、強盗なのかな・・・」
 竹中警部補は、そうつぶやいた。強盗にしては、用意が出来すぎている。手足を縛ったロープに、口の中に入れられたガーゼ、口に貼り付けたガムテープ、全て被害者の自宅に存在する物ではなかった。
 現金は奪われていたが、預金通帳からは現金の引出しは無い。それと、死因にも疑問があった。頚部に絞められた痕が無い。鼻から泡沫状の物が出ているので、窒息死は間違いない。
 解剖報告書を読んでみても、血液の流動化、臓器からの欝血等、全てが窒息死を指し示していた。
 犯人は、被害者に猿轡をして声を出さないようにしているにもかかわらず、被害者の顔面を何かで塞いだのだ。
 被害者の頚部にあった電流斑も気になった。スタンガンだろうか?
 被疑者と考えられる人物はいた。藤井純也だ。しかし、付き合っていたとはいえ、二人は別れており、谷村直美にも新しい恋人が出来ていたようだ。
 捜査本部は、県警本部からの人員を含めて、100人体制で捜査を続けていた。
 その間にも、不審な事件の被害届があった。女子高生がスタンガンのような物で襲われたのだ。頭部を鈍器のような物で殴られ、怪我をしたが命に別条は無かった。

 ある日、隣のF県のダムで女子高生の死体が発見された。被害者はこの署の管内に住む、池田美也子だった。F県警察から捜査協力の要請を受け、被害者の自宅へも行った。当日の被害者の足取りも追った。
 当日、学校を出て友人と繁華街のファーストフード店でおしゃべりをした後、バスに乗って帰路に着いたという。
 自宅の最寄のバス停からの足取りが、全く不明だった。
 被害者の死因は窒息死。溺死ではない。手足に縛られた痕があり、血液中からクロロフォルムが検出された。
 F県警では、誘拐殺人として捜査している。
 竹中警部補は、この3件の事件には繋がりがあるのではと、漠然と考えていた。この考えを、捜査会議で発言したこともあったが、県警本部の捜査員の失笑をかった。所轄の係長とはいえ、捜査を指揮する権限は与えられていない。
 F県の池田美也子の誘拐殺人と、K県の谷口直美の強盗殺人は無関係。公園で襲われた、尾崎かおりに付いては、変質者の犯行ということで、今後の捜査を進めると管理官の指示があった。竹中警部補は自分の考えを、強引に前へ出すのをやめ、幹部の意見に従った。

尾崎かおりの章

 われてから、半年が過ぎた。警察には届けたが、犯人の目星が付いた様子も無く、従って自己防衛の為に防犯ブザーをポケットに入れて、通学していた。
 あの、犯人は何が目的だったのだろうか?
 首筋に走ったあの激痛は何だったのだろうか?
 当初は、両親がクラブ活動を止めろと、猛反対したが、説得し今も続けている。近道の公園も最近通るようになった。
 何かあれば、この防犯ブザーの紐を引けば、大音響でブザーが鳴る。これさえあれば安心だ、そう思っていた。

 ある土曜日の夕方、かおりはクラブ活動を終え、帰路についた。電車を下り、徒歩で自宅に向かう。
 (そういえば、襲われたのも土曜日だったっけ・・・)
 そんなことを考えながら、歩いていると公園にさしかかった。かおりは近道をしようかどうか迷った。辺りを見回したが人気は無い。しかし前回、襲われたときと違い季節は初夏で、辺りはまだ薄明るかった。
 かおりは、近道をすることにした。公園の中を早足で歩いていく。襲われたトイレの横を通り過ぎるとき、さすがにびくびくした。
 がさっ、と音がした。かおりは、びくっと立ち止まった。ポケットの防犯ブザーを握りしめる。振り返ると、野良犬だった。
 かおりは、ほっとして再び歩き出した。暫く歩くと公園の出口だ。かおりは足を速めた。
 公園の出口まで50m位の所まで来たとき、背後に足音がし、人の気配がした。かおりは、振り返ろうとしたその瞬間、かおりの鼻と口をガーゼのような物が覆った。そのガーゼは、じっとりと湿り気を帯びていった。息を吸うと、変に甘ったるい香りがした。
 かおりは、ポケットの防犯ブザーを取り出した。しかし、かおりの左手はあっけなく掴まれ、ねじ上げられた。防犯ブザーはぽとりと地面に落ちた。
 ずるずると、植え込みの陰に引きずり込まれた。鼻と口を覆っているガーゼはひんやりと冷たく、頬がぴりぴりとする。かおりは、テレビで誘拐されるとき、薬を嗅がされるシーンを思い出した。
 (これって、クロロフォルムっていうやつじゃぁ・・・)
 かおりは、息をしないようにして、必死にガーゼを取り払おうと抵抗した。しかし、息をしないで抵抗を続けられるわけは無い。
 「くっ・・・くっ・・・うーーーごほっ・・ごほっ・・」
 息を吸い込んだとき、甘い刺激臭を一緒に吸い込み、むせ返り咳き込んだ。頭がぼんやりしてきた。
 「ごほっ・・・うーーーーむぐぅーーーー・・・」
 かおりは足をばたつかせて必死に抵抗した。耳鳴りがしてきた。
 「くっ・・・・」
 かおりは再び息を止めた。必死にガーゼを取り払おうとするが、犯人の力が強すぎた。必死に息を止めていたが、全力で抵抗していたので、息をこらえることが出来ない。
 「・・・・うーーーー・・・むぐぅーーーーんーーーーー!!」
 うめき声をあげ必死にもがいたが、犯人に抱きつかれ思うように体が動かない。うめき声を上げるたびに、甘い刺激臭が肺の中に染み込んでいく。視界がぼやけてきた。
 「うーーーー・・・うーーーー・・・んんーーーー!!んんーーーーっ!!」
 耳鳴りが、ひどくなってきた。体の力が抜けていく。宙を蹴っていた足の動きも、徐々に緩慢になってくる。
 「うーーーん・・・・むぅーーーーん・・・ううーーーーん・・・」
 かおりは遂に、地面に腰を落としてしまった。とうとう、自分の意志で立っている事も出来なくなったのだ。犯人も、かおりの動きに合わせてしゃがみ込む。ジーンズを履いた足が見えた。
 「むぅぅぅぅぅぅ・・・・・うむぅぅぅぅぅぅ・・・・・」
 かおりは、必死に足をばたつかせようとするが、のろのろと地面を掻くような動きしか出来ない。手にも力が入らなくなってきた。
 耳鳴りが更にひどくなってきた。視界が急速にぼやけ、くるくる回る。
 「うむぅ・・・・・・・むぅ・・・・・・・うぅぅぅ・・・・・・・」
 両足が言うことを聞かなくなった。左手がぽとりと落ちた。
 「うぅ・・・・・・・ぅぅ・・・・・・・ぅっ・・・・・・・」
 目の前が暗くなり、かおりは意識を失った。

純也の章

 犯ブザーを持っていたのは、計算済みだった。意識を失わせるまでに、5分位かかったのが心配だったが、人も通らず顔も女子高生に見られなかった。
 俺が、再びこの女子高生に狙いをつけたのには、前回失敗してプライドを傷つけられた思いがしたからだ。
 俺は、彼女を抱きかかえ公園の柵の切れ目から、道路に出た。すぐ側に車が止めてある。辺りは暗くなっていた。
 俺は、車の後部に彼女を乗せた。ハッチバックを閉め、車の中に入る。ワンボックスのガラスにはフィルムが貼ってあったので、外部から中を見られる心配は無かった。
 彼女の両手を後ろ手にして手錠をかけ、両足を揃え、足首と膝をビニールテープでしっかりと拘束した。
 目にガムテープを貼り目隠しをし、口にも貼り付けて猿轡をする。
 俺は運転席に乗り込み、エンジンをかけた。そのまま車を発進させ、かねてから計画していた通り、郊外の公園墓地へと向かう。
 そこは、夜間でも開放されており、外周道路に沿って駐車場があり、その中に車を止めてしまえば、めったなことではばれる心配は無かった。カーセックスする若者たちも居るので、夜間でも車が時折、止まっているような所だ。

 30分程で、公園墓地に着いた。俺は、車の無い駐車場に車を入れた。後から車が来ても、先客があると思い入ってこないだろう。
 俺は、運転席から後部に移った。彼女は寝息を立てて眠っていた。俺は、ガーゼにクロロフォルムの中和剤を染み込ませ、彼女の鼻をガーゼで覆った。
 5分位して、彼女は意識を取り戻した。これからが、お楽しみだった。俺は、サランラップを貼り付けたタオルを用意した。

尾崎かおりの章

 のくらい、意識を失っていたのだろうか?
 意識を取り戻したとき、私は手足を拘束され、目隠しと猿轡をされていた。
 なぜ、この様な事になっているのか、事態が飲み込めなかった。
 学校からの帰り、公園を通ったとき、背後から鼻と口を湿ったガーゼのような物で塞がれて・・・、甘ったるい匂いがして・・・、それから意識が無くなって・・・
 誘拐された。そう思った。体を横に捩ってみた。
 冷たい金属の感覚があった。どうやら公園ではないようだ。手を動かしてみた。かちゃかちゃと金属音がする。手首に何かが食い込んでいるようだ。
 手錠を掛けられている。そう思った。何か人の気配がした。
 「うーーー・・・・」
 私はうめき声を出した。しかし、何も起こらない。
 (犯人だ!)
 そう思った。私は、もがいて手足の拘束を解こうとした。
 しかし、いくら力をこめても、手のほうは鎖の音がカチャカチャとするだけだし、両足は強固に拘束されていて、全く左右の足が離れなかった。
 ピッ、と音がした。その後ウィーンと機械の音がする。どうやらビデオカメラのようだ。誘拐して身代金を奪うため、証拠のテープを録画しているのだと、私はは思った。
 犯人が近づいてきた。口のガムテープをべリッと剥がされた。痛かった。
 「私を誘拐したのね」
 犯人に問い掛けたが返事は無い。
 「早く家に帰してよぉ」
 そう言った時、私の鼻と口を何かが塞いだ。布切れのようにぴったりフィットするが、ナイロンのような感触があった。
 息が出来なかった。私は必死にもがいて抵抗した。苦しくなってきた。心臓がバクバクと激しく脈打つ。
 「んんんんんんんっ・・・んんんんんんんっ!!」
 私はうめき声を上げながら、必死に拘束された両足を、バンバンと床に叩きつけながら抵抗した。
 (殺される!!)
 私は必死になって体を捩り、もがいた。苦しさが限界に達した。 
 「んーーーーーーーっ!!んーーーーーーーっ!!」
 目隠しされているのだが、目の前をチカチカと白い光が走る。
 (いやぁ死にたくない。苦しい!!苦しい!!息をさせてぇーー!!)
 そう思ったとき、鼻と口を塞いでいた何かが、離れた。
 「ぶはぁ・・はぁ・はぁ・いやぁーー・はぁ・殺さないでぇ・はぁ・はぁ・はぁ」
 私は必死に、見えない犯人に向かって懇願した。その時、再び私の鼻と口は塞がれた。
 「んんっ・・・んんんんん・・・んーーーーーーーっ」
 私は必死になって、もがき苦しんだ。息が出来ないなんて、こんなに苦しいこととは思わなかった。
 限界に達したら、鼻と口は開放される。そして、呼吸がまだ荒いのに、再び鼻と口が塞がれて窒息させられる。この様なことが、何度も続いた。
 私は、もがき苦しんで、へとへとだった。
 鼻と口が開放されたとき、私は
 「もう許してよぉ・・・お願いよぉ・・・」
 と懇願した。
 すると、ガサゴソと音がした。トクトクトクと何かの液体が、壜から出る音がした。甘い香りが漂ってきた。
 (さっきの薬・・・眠らされる!!)
 「お願い、薬だけは止めて!!」
 そう言った瞬間、私の鼻と口は塞がれた。じっとりとした、ガーゼのような物だった。甘い、ツンとした刺激臭がした。
 (眠っちゃいけない。眠っちゃ・・・)
 私は、息をこらえて薬を嗅がないようにした。その時、私の鼻と口を塞いでいたガーゼが離れ、再びナイロンのような物で塞がれた。
 もう、息をこらえるという状況ではない。息が出来ないのだ。私は、苦しみもがいた。
 鼻と口を塞いでいた物が離された。次の瞬間再び、じっとりとしたガーゼで鼻と口を塞がれる。
 「んーーー・・・んーーー・・・ぶはっ・はぁーはぁー・・・うっ・・うむぅーーん」
 窒息から開放されたばかりだったので、甘い刺激臭、おそらくクロロフォルムという物だろう。それを私は、吸いたくないのだが、息が荒いので吸ってしまう。
 「うーーーーうーーーーうーーーーうーーーー」
 頭がぼうっとしてきた。くらくらする。耳鳴りもしてきた。体に力が入らない。
 どの位の時間、薬を嗅がされ続けられただろうか。私の体は、言うことを聞かなくなっていた。ぐるぐると自分が回るような感覚に襲われた。
 「うぅ・・・・・むぅ・・・・・ん・・・・・・・・・・・」
 私は、意識を失った。

純也の章

 隠しをしていたので、苦悶の表情を詳細に撮影することは出来なかったが、満足だった。
 彼女は、寝息をたてて眠っている。後は彼女を、翌朝にでも発見される所へ放置すれば、終わりだ。
 俺はビデオを止め、彼女の手足の拘束と目隠しをはずした。車のエンジンをかけ、車を発進させた。
 もう、終電も終わりに近づいている時間帯だ。バスは走っていない。俺は、彼女の家のそう遠くないバス停のベンチに、彼女を横たえた。
 再び、クロロフォルムをガーゼに染み込ませ、彼女の鼻と口を塞ぐ。彼女の呼吸が徐々に深くなって行く。
 麻酔が効いているのに、再び麻酔をかけられたのだ。2〜3時間は、彼女は意識を取り戻さないだろう。
 俺は、辺りを見回した。人影すら無い。俺は、安心して自宅に帰った。
 クロロフォルムを再び、彼女に嗅がせたことが俺の逮捕を遅らすことになるとは、夢にも思わなかった。


(未完)









 窒息王のホームページのウェブキャッシュは、こちら。本文は、ここより転載した。これはあくまでアーカイブの目的・精神によるものであって、それ以外のいかなる理由ももたない。また、再掲載の際、読みやすくするために数箇所に空白を挿入し、章の間に改行をいれた。部ごとの説明文は、「The Asphyxisation」メインページから。
 埼玉愛犬家連続殺人事件の犯人関根元は、殺人哲学として以下をあげていた。
  1. 世の中のためにならない奴を殺す
  2. すぐに足がつくため、保険金目的では殺さない
  3. 欲張りな奴を殺す
  4. 血は流さないことが重要
  5. 死体(ボディ)を透明にすることが一番大事

 これらの点(特に4つめ)より考えると、窒息は効率のよい殺しの方法だったかもしれない。無論、完全犯罪をたくらんだ彼らですら逮捕されたのだから、安全な殺人方法というものは発見されるに至っていないわけである。これには快楽というひとつの壁があるようにも思えるし、そうであればまず殺人好きの狂人に完全犯罪は不可能だということともなる。窒息王の書いた文章は、不安定で荒削りな文章、どろどろした雰囲気、根底にある憎悪等から読み取れるとおり、追い詰められた人間独特の不気味な執念を内包している。狂人のはきだすそれは、麻薬そのものだ。
 この小説を途中まで掲載している地下文書資料サイト「昭和レトロ・懐かしポルノ館」コンテンツ内「アングラ図書館」には、このほかにも気違いじみた不謹慎な文章が多量に保管されている。興味がある方は、是非ご訪問を。





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