私は現在、米国株式を対象とした配当再投資戦略を採用しており、ポートフォリオに関してもその戦略に適したディフェンシブ銘柄7銘柄に分散投資しています。
私のように個別株式への配当再投資投資を実践している投資家の皆さんにお聞きしたいのですが、リスクヘッジという観点だけで考えた場合、最終的に何銘柄に分散させるべきだとお考えでしょうか?
恐らく私だけでなく、ポートフォリオの銘柄数を何銘柄にすべきかという疑問は、個別株式に投資を行っている投資家の誰もが一度は悩んだことがあるテーマではないでしょうか?
そこで今日は、個別株式への配当再投資を実践する投資家における、具体的な銘柄分散の形について、私なりの見解をご紹介してみたいと思います。
銘柄分散が必要だと言われる一般的な理由
そもそも、なぜ複数の銘柄に投資資金を分けなければならないのかと言えば、株価の下落や企業倒産により、大切な資産が毀損してしまうリスクをできる限り減らすためだと言えましょう。
株価の下落を招く3つの主な要因とは
それではまず、資産の棄損につながる可能性の高い主なリスク、株価下落の主な要因について、改めておさらいしてみましょう。
①株式相場を取り巻く環境の悪化
一般的には地合いという言われ方をすることが多いですが、例えば昨年で言えば中国経済の先行き不安、ブレグジットによるEUの先行き不安、最近では北朝鮮との緊張の高まりなど、リスクオフの動きにつながるような出来事が発生した場合、全体的に株価は下落することが多いと言えます。
②セクター全体の先行きに対する懸念の広がり
企業単体の問題というよりは、その企業が属するセクター全体に対する先行き不安につながる出来事があった場合、そのセクターに関わりを持つ企業群全体の株価が下がることがあります。
例えば、代表的なところでは、石油やたばこなどセクター全体が縮小に向かうような場合が挙げられる他、最近で言えばアマゾンの躍進により、ゼネラル・ミルズやケロッグ、さらにはクラフト・ハインツなどの食品銘柄が軒並み下落している現象も同じ理屈だと言えましょう。
③個別企業における業績悪化
頻度も高く且つ直接影響するのが個々の企業における業績悪化による株価下落でしょう。数パーセントの下落などは毎四半期の決算で散見されますし、それほど致命的な業績でない場合でも、期待を裏切られた投資家が売却するだけの下落というケースも多いので、大抵の場合はそこまで重要な意味を持たないことが多いと言えます。
各株価下落要因に対する銘柄分散の改善効果
それでは、銘柄分散を行った場合に、上記の3つの要因が改善するか否かという点について考えてみます。
まずは①の地合いの悪化に関して言えば、たとえ何銘柄に分散したとしても、多かれ少なかれ株価は下がることになります。なぜなら、銘柄の問題というよりは株式というリスク資産からの資金回避というのが下落の根本原因であるためです。
ただし、全体的に下がりはしますが、銘柄によっては下がりやすい銘柄と下がりづらい銘柄があるため、銘柄数の問題というよりは下がりづらい銘柄を選ぶことは有効だと言えましょう。
続いて②のセクターに対する先行き不安が招く下落についてですが、これに関しては銘柄分散の効果が期待できる要因であり、セクターを分ける形で複数の銘柄に投資することでリスクヘッジが可能になります。
ただし、同じセクター内で複数の銘柄に投資したとしても、概ね同じ動きをする可能性が高く大したリスクヘッジ効果は期待できないため、1つのセクターに対して1社のみ保有していれば十分でしょう。
最後に③の企業毎の業績要因に関しては、どんなセクターのどの企業でも可能性はあるため、銘柄分散をしてもあまり意味はありませんし、①と同様、単純に銘柄分散だけで解決できる問題ではありません。
つまり、銘柄数を増やしてヘッジするのではなく、投資を検討した各企業についてきちんと調べることで解決すべき課題だと言えましょう。
またこれは、冒頭で挙げたもう一つのリスク要因でもある、倒産に関しても同じことが言えるのではないでしょうか?
配当再投資に専念する投資家の銘柄分散の形
さて、上記でご紹介した株価下落を招く3つの要因の内、銘柄分散で解決可能な要因、セクターの先行きに対する不安を回避するための銘柄分散の形を、配当再投資を実践する私のケースで考えてみたいと思います。
冒頭でも触れた通り、私は配当再投資に適したディフェンシブ銘柄のみに投資するようにしていますが、ご存知の通りディフェンシブ銘柄はどんなセクターにも存在する訳ではなく、限られたセクターにしか存在していません。
一般的に、ディフェンシブ株と言われている銘柄が存在する代表的なセクターは下記の通りです。
- 生活必需品(たばこ)
- 生活必需品(飲料)
- 生活必需品(食品)
- 生活必需品(日用品)
- ヘルスケア
- エネルギー(石油)
- エネルギー(電力/ガス)
- 通信
つまり、私のように配当再投資に専念する投資家の場合は、上記の中で銘柄分散をすることになるため、最大でも計8銘柄の分散にしかならないということであり、私のケースで言えば、追加で銘柄を増やす場合、現在投資していないエネルギー(電力/ガス)と通信に投資するのが銘柄分散的には妥当だと言えましょう。
まとめ
さて、 銘柄分散という手法によって回避することが可能な株価下落の要因、さらには配当再投資戦略を採用する場合の銘柄分散の形の例をご紹介してみましたが、いかがでしたでしょうか?
ここまで書いておきながらなんですが、銘柄分散という観点も最低限は踏まえるべきポイントではあるものの、個別株式への投資という形を選択したのであれば、ある程度のリスクは取った上でどちらかと言えばリターンを優先したポートフォリオ構築をする必要があるように思います。
もしどうしても銘柄数が気になって仕方がないという方は、中途半端に銘柄数を増やしてリスク分散を検討するよりも、この機会に広く分散されたETFに切り替えることをおすすめします。