ニュージーランドには「世界一うまいハンバーガー」と各方面から絶賛されている店がある。アメリカの大手ニュースメディア・CNNにも「ニュージーランドで一番のハンバーガー、いや地球一か?」とのレビューが載るほどの名店だ。国内屈指の観光地にあり、嘘偽りなく、ここのハンバーガーを求めて世界中からお客さんが訪れる店であるという。
実際に行ってみた。ほんとうに旨かった。
世界一うまいハンバーガーは遠い、でかい、そして並ぶ
その店の名は「ファーグバーガー (Fergburger)」という。ニュージーランドは南島の景勝地、クイーンズタウンという街にあるのだが、この街がまぁとにかく気軽に行くには遠い。下の地図を見ていただければわかる通り、内陸の奥深く、サザンアルプスの麓といった場所にある。
公共交通機関に乏しいニュージーランドでは、陸路を車で爆走するか高いお金を払って国内線に乗るかしかたどり着く方法がない。
南島の玄関口であり僕の住んでいるクライストチャーチからは、車をノンストップで走らせても6時間かかる。飛行機なら片道1時間で行けるものの、往復200ドル(約2万円)以上のお金が必要だ。日本で安く旅行ができるのは、大量の乗客を効率的に運搬できる鉄道網が完成されているからなんだなってことがよくわかる。
日本とニュージーランド、国土面積はそんなに変わらないはずなのに、国内の時間的、金銭的な距離は圧倒的に違うのだ。
と、不満を言っていても仕方がない。なにせ相手は世界一うまいハンバーガーである。多少の交通費を払ってでも食べる価値はあるだろう。ということで、3連休を狙ってクイーンズタウンに出かけることにし、えいやっと飛行機のチケットを押さえた。
これまでファーグバーガーに行ったことのある人に聞いてみると、どうやらそこのハンバーガーはかなり大きいらしい。人間の顔くらいの大きさがあり、思いっきりお腹を空かせていかないと完食できないとのこと。ラーメン二郎みたいなものだろうか。身長170cm、体重53kgとヒョロヒョロの自分に果たして食べきれるのか不安である。
さらに、ファーグバーガーは注文するまで結構並ばなければならないようだ。ランチの時間帯には30分待ちは当たり前、ときには1時間待ちになることもあるらしい。人気店に行列ができるのは日本ではよくあることだが、ニュージーランドでは異常事態である。そもそもニュージーランドで行列らしい行列に出くわしたことがほとんどない。
しかしこれは、行列ができてる時点で味にはかなり期待がもてるってことでもある。どうやら相当に旨いらしいぞ、ファーグバーガー。
実際にファーグバーガーまで行ってみた
住んでいるクライストチャーチから飛行機で1時間、クイーンズタウンに到着した。人口は2万人ほど。ニュージーランド最大級の湖、ワカティプ湖の湖畔に位置しており、その景色の美しさと周辺の観光地へのアクセスの良さから、一年を通じて世界中からの観光客で賑わっている街である。
市街地は非常にコンパクトにまとまっており、30分もあれば一通り見て回ることができる。中でもメインストリートのひとつである Shotover Street にその店はあった。
ここだ! ファーグバーガー! 3連休の初日、土曜日の12時前という時間だったので行列覚悟だったが、全然並んでなくて拍子抜けしてしまった。ちなみにファーグ(ferg)とは英語のスラングで「super cool」という意味らしい。いまの日本語に訳すなら「エモみがヤバイ」だろうか。
特に待たされることもなくオーダーすることができた。今回は初めてということもあり、最もプレーンな「ファーグバーガー」を注文。こちらの名前と番号つきのレシートを渡してくれる。
店内にはディスプレイが設置されており、できあがった注文の番号がどんどん表示されていく。レシートに書かれた番号が出てきたら、カウンターまで取りに行けばOKだ。要するにマクドナルドと同じ仕組みである。わかりやすい。
空腹は最大の調味料とも言うが、順番を待っている時間もまた同じではないかと思う。あぁ早く食べたい、自分の番号はまだだろうか、どんなものが出てくるのかな……などなど想像を膨らませているとますます腹が減ってくる。空腹はすでにピークに達しており、どんなでかいハンバーガーでもどんとこいな気分である。
10分ほど待つと、ついに自分の番号(56)がディスプレイに現れた。待ってました! 勇んでカウンターまでファーグバーガーをお迎えに行く。
来た! これが看板メニューの「ファーグバーガー」だ。確かにでかい! 僕の顔が隠れるくらいの大きさはゆうにある。片手で持っているとずっしりと重い! これは食べごたえありそうだぞ。
具材は、ニュージーランド産ビーフ100%のパティにトマト、レタス、玉ねぎにマヨネーズ&ケチャップと実にシンプル。
この具材ひとつひとつのクオリティがめっちゃくちゃ高い。ビーフパティにはほとんど余計な味付けがされておらず、肉の赤身の旨味をダイレクトに楽しめる仕上がり。へたなハンバーガーにありがちな牛臭さが一切なく、大きさの割にぱくぱく食べれてしまう。レタスは見ての通り新鮮でシャキシャキ、肉がちょっと重たくなってきたな〜ってところで現れるトマトとオニオンはいい箸休め(?)の役割を果たしてくれている。
そして、特筆すべきはバンズ(パン)である。こんな旨いパン、今まで食べたことないぞ! 外側カリカリ、中ふんわりの理想的な焼き加減に、小麦のいい香りが漂い、しっかりとした甘さも感じられる。パンそのままで食べても十分おいしい。ファーグバーガーの美味しさは、実はこのパンによるところが大きいのではないだろうか。
しかもこの美味しさで、お値段たったの11.9ドル(約1000円)である。世界一のハンバーガーは、グルメバーガーとしてはかなりお手頃な値段で楽しめるのだ。良心的すぎる。
夢中になって食べていたら、あっという間に最後の一口に……。
ファストフードチェーンで食べるハンバーガーって、だいたい食べた後に「もうしばらくは食べなくていいな」と感じる。でもファーグバーガーは、それよりもっと大きくて腹にたまるのに、「また食べたい!」と感じさせてくれるハンバーガーだった。良質な材料を使っていると体も喜ぶんだろうか? パティも脂身があまりなく赤身中心で意外とあっさり食べられるのも、軽い食後感に貢献していると思う。
少食の僕でも食後にデザートがほしくなる程度の余裕は残っていたので、ふつうの大人なら完食できる量だと言える。ただしお腹を空かせておくのは絶対必要、中途半端な腹加減で注文すると食べきれないだろう。サイドメニューにフライドポテトもあるけど、見たところこちらも結構なボリュームだったので、食べる量に自信のない人は注意。2人でシェアするくらいがちょうどいいんじゃないかな。
食べ終わってから店を出たら、めっちゃ人が並んでた。奥の「GELATO」と書かれた看板の下くらいまで行列がのびていたので、やはりお昼のピーク時に行くのは避けたほうがいいのかもしれない。
リピートした。何を頼んでもうまいぞ!
ファーグバーガー、あまりに美味しかったので次の日の夜にもしっかりリピート! この日は鱈(英語ではコッド)のフライが挟んである「コッドファーザー(Codfather)」というメニューを試してみた。こちらも鱈の身がふわっふわで、ファーグバーガー同様ぺろりと平らげてしまった。ただフライなので若干胃もたれするかもしれない。揚げ物のつらさで年齢を感じる年になってしまった。
ほかにも、鹿やチキンを使ったハンバーガーなど気になるメニューが目白押しなので、通いつめていずれ全制覇してみたいところである。
まとめ ー ニュージーランド来るならファーグバーガー食べて帰って! ー
ファーグバーガー、これを食べるためだけにクイーンズタウンに来る価値があると自信をもって言える、納得の味だった。日本からニュージーランドに観光に来る場合、最近では「星空世界遺産」のテカポだけ寄って帰る人もいるけど、それはほんっっっっっとにもったいない。ファーグバーガー食べて帰らないと絶対後悔するよ。クイーンズタウンはぜひとも観光ルートに加えてほしい。日本からのフライトはニュージーランド航空便が速くて快適!↓
この店、朝8時から翌早朝の5時まで営業というクレイジーな営業時間なので、夜中に突然お腹がすいたとき、観光に忙しくてご飯を食べ損なっちゃったときにも便利。お好きな時間に活用してくださいませ。最後に詳細地図載せておきます。