「デジタル産業革命の進展を加速させる次世代イノベーションプラットフォームを提供したい」――。NECの福田公彦執行役員常務は、NECが10月25日に開いたスーパーコンピュータの新製品発表会見でこう切り出した。
新製品の名称は「SX-Aurora TSUBASA」。NECが従来展開してきたベクトル型スパコンの処理性能や拡張性を大幅に強化し、HPC領域の科学技術計算に加え、AIやビッグデータ解析などの新しい領域にも活用できる新プラットフォームという触れ込みだ。
ハードウェアの特徴としては、同社独自の高密度実装技術や高効率冷却技術などで開発されたカード型の「ベクトルエンジン(VE)」を搭載。そのVEを86サーバへ搭載できるようにした新アーキテクチャの採用により、ベクトル演算に加えx86で行うスカラ演算の両ニーズに対応した。さらに、VEの搭載数により、エッジ用からデータセンター用まで幅広いラインアップをそろえ、計算能力ニーズに応じた選択を可能としている。(図1参照)
新製品の詳しい内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは福田氏が会見で説明した新製品の狙いに注目したい。
同氏はまず新製品を投入した背景について、IoTの進展などによって世界規模で扱われるデータ量が2年ごとに倍増していると指摘。また、それら大量のデータはより高度なAI処理を要求するケースも増えていくことが見込まれるなど、大量データを高速かつ高度に処理することが求められているという。
これらのニーズに対し、従来ではスパコンに代表されるHPCでの処理が一般的だったが、システム規模も大きく利用価格も高額になるため、ユーザーは一部の省庁や研究機関、大手企業に限定されていた。
そこで同社は、高性能と導入のしやすさの両立を目指して今回の新プラットフォームを開発。コア当たりのアプリケーション性能を世界最速レベルにすることと、ベクトル型プロセッサをカード型化することで、幅広いユーザーが利用できるシステムに仕立てたとしている。
そして、同氏はベクトル型プロセッサの位置付けとして図2を示した。この図でポイントとなるのは、メモリ性能および演算性能それぞれに必要な領域がある中での青(汎用型プロセッサ)と赤(ベクトル型プロセッサ)と緑(超並列型プロセッサ=GPGPU)の位置関係である。
今回の新製品は青と赤の領域をカバーしていることから、従来、得意としていたシミュレーション領域に加えて、AI・ビッグデータ活用領域でもメモリ性能が求められる需要予測やレコメンド、深層学習を除く機械学習などに適しているという。
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