世界遺産の宇治上神社で、式を挙げた国際結婚カップル。人生の節目を過ごした
大切な場所として記憶に刻まれる。 その様子は、フォトギャラリーから、どうぞ。
ハワイやオーストラリアのリゾートウェディングなど、海外で結婚式を挙げることは今や日本人にとって定番の選択肢のひとつ。ではその逆はどうかというと、同じように人生の晴れ舞台に日本を選ぶ外国人もいる。
京都の社寺や老舗(しにせ)料亭などでの結婚式をプロデュースしているTNCブライダルサービスは、外国人の京都での結婚式も手がけている。「日本人が海外で式を挙げるように、海外の人にももっと日本に来てもらいたいと思ったんです」と、同社代表取締役の木村俊昭さんは話す。
もともと着物の図案を描くデザイナーだった木村さん。和装の需要が減り、京都でも伝統技術を支える職人が廃業していくのを目の当たりにして、和装を盛り上げたいと15年ほど前に純和風の結婚式のプロデュースを始めた。一時期アートギャラリーも運営していたことから、日本に滞在していた外国人アーティストと日本人カップルの結婚式を手がける機会もあり、「和婚」は外国人にも喜ばれた。京都造形芸術大で英語を教えていた知人の協力で、2008年ごろに外国人向けの「Kyoto Weddings」という英語サイトを開設。日本の結婚式の様式や衣装について紹介し、世界遺産の上賀茂神社や妙心寺の塔頭、春光院などでの挙式、和装のレンタルや写真撮影のプランを用意した。特に宣伝を出したわけではないが、少しずつ申し込みが入るようになり、今では年に約30件の外国人の挙式を手がける。多いのはオーストラリアやアメリカ、イギリスのカップル。桜の季節が人気で、すでに来春の挙式の問い合わせも入ってきているという。
申し込みから打ち合わせまでは基本的にメールでのやりとりで進める。新郎新婦と顔を合わせるのは挙式の前日か当日となるが、前金を受け取るようにしていることもあり、大きな問題が起きたことはないそうだ。ブライダルサロンで婚礼衣装に着替えると、「新郎は和装姿の新婦に『きれい!』『かわいい!』を連発します。外国の方はほめ方がストレート。見ていて幸せな気持ちになります」とウェディングプランナーの小島アヤさんは笑う。
実際に神社や寺での式に臨むと、外国人であってもみな神聖な空気を感じて神妙になり、「こんな歴史のある場所で結婚式ができた」と感激するという。「日本人がヨーロッパの古城で結婚式をするような感覚なのでしょうね」と木村さん。建物の中で完結する教会の挙式とは異なり、自然豊かな境内を散策したり、写真撮影したりできる開放的な空間も魅力になっている。昨年はシンガポールから総勢45人がやってきて、上賀茂神社での挙式と料亭での披露宴を開催。「鏡開きをしたい」「舞妓(まいこ)さんを呼んでほしい」といったリクエストにも応えて、盛大な宴となった。着物をアレンジしたドレスを持参したイギリス人の新婦や、結婚20年のお祝いに家族4人で仏前式を挙げたアメリカ人の一家もいる。
外国からやってきて京都で挙式するカップルに、京都市では今年4月から市長の署名入り結婚証明書を贈るサービスも始まった。彼らにとって古都は単なる観光地ではなく、日本の伝統や文化を体感しつつ、人生の節目を過ごした大切な場所として記憶に刻まれる。
(文 谷口絵美)
(写真 TNCブライダルサービス/谷口絵美)
場所名:TNCブライダルサービス(京都結婚日和ブライダルサロン)
住所:京都市中京区河原町二条北東角ABビル1階
アクセス:京都市役所前駅から徒歩2分
電話:075・241・1188
ホームページ:http://kyoto-weddings.jp
http://www.kekkonbiyori.jp
メモ:外国人を対象とする「Kyoto Weddings」の基本的な挙式プランは神前式(上賀茂神社、岡崎神社)、仏前式(春光院)、ガーデンウェディング(松山閣松山)の3種類。国内向けには「京都結婚日和」というブランドで、京都での多彩な結婚式をプロデュースしている。
[PR]
|