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半田市長「考えてみたい」 大村知事、病院移転に仲裁案

 愛知県半田市立半田病院の移転先をめぐり、大村秀章愛知県知事は30日午前の定例会見で、津波や台風時に浸水が危惧される現在の移転候補地を断念し、高台に変更するよう、仲裁案を半田市の榊原純夫市長に示したと明らかにした。

 大村知事は「(榊原市長には)重く受け止めていただいたのではないか」と述べた。30日午後、県公館で榊原市長と面談し、あらためて仲裁案を説明する。

 榊原市長はコメントを発表し「愛知県知事の発言を真摯(しんし)に受け止め、一度立ち止まって考えてみたいと思います」と述べた。11月1日に市役所で記者会見を開く意向という。

 半田市は移転先を、現病院に隣接する市職員駐車場(同市東洋町)としている。これに反対する住民は高台移転を訴え、移転先を問う住民投票を求めている。

 知事は、仲裁を決断した理由を「今の状況が継続することを看過しているわけにはいかない。住民投票は否定しないが、市民病院の移転など複雑な案件にはそぐわないのではないか。感情的な対立やしこり、無用な混乱を招く」と語った。

 仲裁案は、移転先として半田運動公園(同市池田町)を候補に挙げている。県は運動公園を、大規模災害時にヘリで重症患者を搬送する拠点とする構えで、知事は「搬送拠点と半田病院が隣接すれば、大規模災害時に大きな意味を持つ」と踏み込んだ。

 ただ、市や市民団体の間で候補地はほかに複数挙がっており、知事は「運動公園は一例。あらためてふさわしい場所を検討し、市が決定すべきだ」と語った。

 半田病院は知多半島で唯一、県が、高度な救急医療を24時間体制で求める「救命救急センター」を備えた災害拠点病院に指定している。

 移転は老朽化が理由。6月の市長選は移転構想が主な争点となり、榊原市長が3選を果たしたが、駐車場への移転に反対する新人の浅野麻里奈氏に僅差に迫られた。浅野氏を会長とする市民団体は今月19日、移転先を問う住民投票の実施を直接請求している。

◆市の移転反対派、仲裁案「うれしい」

 市立半田病院の移転計画で、隣接する市職員駐車場を移転先とする市の計画に反対してきた市民団体代表浅野麻里奈さんは、大村知事の仲裁案発表を「うれしいの一言」と歓迎した。

 浅野さんは「市職員駐車場以外の高台であれば、という思いで活動してきた。災害医療の面でも半田運動公園は最適と思う」と喜んだ。移転先を問う住民投票の実施を市長に直接請求しており、今後、市議会で審議されることになっているが「知事の意向を受け、市長が『高台に』と決定すれば(住民投票を)する必要はないと思う」と話した。

(中日新聞)

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