東名進路妨害の男「以前から運転でカッとすることあった」

東名進路妨害の男「以前から運転でカッとすることあった」
東名高速道路でワゴン車がトラックに追突され、夫婦が死亡した事故で、ワゴン車の進路を妨害したとして逮捕された男が「以前から運転の際にカッとすることがあった」という趣旨の説明をしていることが、捜査関係者への取材でわかりました。検察は勾留期限の31日に起訴について判断する見通しです。
ことし6月、神奈川県大井町の東名高速道路で、大型トラックに追突されたワゴン車に乗っていた静岡市の自動車整備会社経営、萩山嘉久さん(45)と妻の友香さん(39)が死亡し、娘2人がけがをした事故では、ワゴン車の前に車を止めて進路を妨害したとして、福岡県の建設作業員、石橋和歩容疑者(25)が過失運転致死傷などの疑いで逮捕されました。

石橋容疑者は事故の前、パーキングエリアで萩山さんに駐車方法を抗議され、その後、ワゴン車を追いかけ、前に割り込んだり極端に接近したりしたということです。

その後の調べで、石橋容疑者は「以前から運転の際にカッとすることがあった」という趣旨の説明をしていることが、捜査関係者への取材でわかりました。

石橋容疑者は1か月前にも山口県で車の進路を妨害して停車させ、ドアを蹴ったとして書類送検され、危険な運転が繰り返されていたと見られています。

高速道路での進路妨害によって2人が亡くなったとされる今回の事故について、検察は勾留期限の31日に起訴について判断する見通しです。

嘉久さんの母親「はらわた煮えくりかえる」

亡くなった萩山嘉久さんの母親の文子さんは、事故のあと、嘉久さんの高校時代の文集を読み返しているといいます。文集の中で嘉久さんは「僕の夢はメカニック、すみずみまで仕組みが気になります」と記していて、文子さんは自動車整備会社を立ち上げ、夢をかなえた息子を誇らしく思ったといいます。

文子さんは「幼稚園のころから自転車を分解したりしていました。仕事熱心で、私が銭湯に行きたいと言うと車で銭湯まで送り迎えしたあとも職場に戻って仕事をしていました」と振り返っていました。

嘉久さんの家族は旅行に行くなど、とても仲がよかっただけに、両親を一度に失った孫2人を文子さんは心配しています。事故のあと、文子さんの自宅に長女が訪れた際にピアノを弾いてくれましたが、途中でやめてしまい、以前とは違う様子だったといいます。

文子さんは「音色が全然違っていました。ただ、鍵盤を押さえていた悲しそうな音色でした。2人は無理に忘れようとしているように見え、余計に悲しいです。この間、孫が涙をぽろっと流したのを見て、私も泣けてきました。あれだけ仲よく4人で旅行に行っていたことも二度とできないのかと思うと、かわいそうです」と残された孫を心配していました。

今回の事故について「はらわたが煮えくりかえるほど悔しいです。同じようなことが繰り返されないように、何ができるのか社会でしっかりと考えてほしいです」と訴えていました。

嘉久さんの友人「尋常じゃないと思った」

静岡市の田中克明さんは、亡くなった萩山嘉久さんの高校時代からの友人で、萩山さんは誰かのために役立ちたいという優しい性格だったといいます。
田中さんは「困っている人がいたら、何としても助けるっていう男でした。かけがえのない友人だったので悔しい気持ちです」と話しました。

事故直後、ワゴン車に乗っていた萩山さんの長女から田中さんの息子に電話が入り、その後、田中さんが長女の話を詳しく聞き取り、その内容をタブレット端末に記録しています。
田中さんは「電話の向こうで声が震えてパニックになっている状態で、ただごとではないと感じました」と当時の様子を語りました。

長女が説明した内容について田中さんは「白い車がすごい勢いで追いかけてきて、自分たちの車を追い抜き、進路変更して前に入ってきて、最終的に停車させられたという話を聞き、尋常じゃないと思いました」と話しました。

そのうえで「停車させられたあと、妹が泣いていて彼女(長女)も怖くて下を向いていたら、その直後、強い衝撃があったということでした。彼女が何秒か目を閉じたあと目を開けたら、父も母もいなくなっていて、彼女は両親を探しに行くと言ったんですけど、追い越し車線に止まっていると思われたので、『とにかく車の外に出ないで』と言うのが精いっぱいでした」と緊迫した状況を話しました。

田中さんは翌日、病院で萩山さんの2人の娘たちに会い、その後も連絡を取っていますが、2人は気丈にふるまい、つらい気持ちを感じさせないといいます。

田中さんは「もっと悲しんでもいいのにと、逆に心配になります。見守ってあげなきゃいけないと友人どうしで話していますが、逆に元気をもらっています。いちばん悲しいのはあの子たちなのに…」と2人を気遣っていました。

そして、田中さんは同じような悲劇が起きないように何かできないか考えているということで、「嫌がらせやあおり運転は、わかっていてやっているもので『過失』というのはおかしいと思います。萩山さんは『俺と同じ被害者が出てほしくない』ときっと言うと思うので、働きかけられることはやっていきたいです」と話していました。
東名進路妨害の男「以前から運転でカッとすることあった」

東名進路妨害の男「以前から運転でカッとすることあった」

東名高速道路でワゴン車がトラックに追突され、夫婦が死亡した事故で、ワゴン車の進路を妨害したとして逮捕された男が「以前から運転の際にカッとすることがあった」という趣旨の説明をしていることが、捜査関係者への取材でわかりました。検察は勾留期限の31日に起訴について判断する見通しです。

ことし6月、神奈川県大井町の東名高速道路で、大型トラックに追突されたワゴン車に乗っていた静岡市の自動車整備会社経営、萩山嘉久さん(45)と妻の友香さん(39)が死亡し、娘2人がけがをした事故では、ワゴン車の前に車を止めて進路を妨害したとして、福岡県の建設作業員、石橋和歩容疑者(25)が過失運転致死傷などの疑いで逮捕されました。

石橋容疑者は事故の前、パーキングエリアで萩山さんに駐車方法を抗議され、その後、ワゴン車を追いかけ、前に割り込んだり極端に接近したりしたということです。

その後の調べで、石橋容疑者は「以前から運転の際にカッとすることがあった」という趣旨の説明をしていることが、捜査関係者への取材でわかりました。

石橋容疑者は1か月前にも山口県で車の進路を妨害して停車させ、ドアを蹴ったとして書類送検され、危険な運転が繰り返されていたと見られています。

高速道路での進路妨害によって2人が亡くなったとされる今回の事故について、検察は勾留期限の31日に起訴について判断する見通しです。

嘉久さんの母親「はらわた煮えくりかえる」

亡くなった萩山嘉久さんの母親の文子さんは、事故のあと、嘉久さんの高校時代の文集を読み返しているといいます。文集の中で嘉久さんは「僕の夢はメカニック、すみずみまで仕組みが気になります」と記していて、文子さんは自動車整備会社を立ち上げ、夢をかなえた息子を誇らしく思ったといいます。

文子さんは「幼稚園のころから自転車を分解したりしていました。仕事熱心で、私が銭湯に行きたいと言うと車で銭湯まで送り迎えしたあとも職場に戻って仕事をしていました」と振り返っていました。

嘉久さんの家族は旅行に行くなど、とても仲がよかっただけに、両親を一度に失った孫2人を文子さんは心配しています。事故のあと、文子さんの自宅に長女が訪れた際にピアノを弾いてくれましたが、途中でやめてしまい、以前とは違う様子だったといいます。

文子さんは「音色が全然違っていました。ただ、鍵盤を押さえていた悲しそうな音色でした。2人は無理に忘れようとしているように見え、余計に悲しいです。この間、孫が涙をぽろっと流したのを見て、私も泣けてきました。あれだけ仲よく4人で旅行に行っていたことも二度とできないのかと思うと、かわいそうです」と残された孫を心配していました。

今回の事故について「はらわたが煮えくりかえるほど悔しいです。同じようなことが繰り返されないように、何ができるのか社会でしっかりと考えてほしいです」と訴えていました。

嘉久さんの友人「尋常じゃないと思った」

静岡市の田中克明さんは、亡くなった萩山嘉久さんの高校時代からの友人で、萩山さんは誰かのために役立ちたいという優しい性格だったといいます。
田中さんは「困っている人がいたら、何としても助けるっていう男でした。かけがえのない友人だったので悔しい気持ちです」と話しました。

事故直後、ワゴン車に乗っていた萩山さんの長女から田中さんの息子に電話が入り、その後、田中さんが長女の話を詳しく聞き取り、その内容をタブレット端末に記録しています。
田中さんは「電話の向こうで声が震えてパニックになっている状態で、ただごとではないと感じました」と当時の様子を語りました。

長女が説明した内容について田中さんは「白い車がすごい勢いで追いかけてきて、自分たちの車を追い抜き、進路変更して前に入ってきて、最終的に停車させられたという話を聞き、尋常じゃないと思いました」と話しました。

そのうえで「停車させられたあと、妹が泣いていて彼女(長女)も怖くて下を向いていたら、その直後、強い衝撃があったということでした。彼女が何秒か目を閉じたあと目を開けたら、父も母もいなくなっていて、彼女は両親を探しに行くと言ったんですけど、追い越し車線に止まっていると思われたので、『とにかく車の外に出ないで』と言うのが精いっぱいでした」と緊迫した状況を話しました。

田中さんは翌日、病院で萩山さんの2人の娘たちに会い、その後も連絡を取っていますが、2人は気丈にふるまい、つらい気持ちを感じさせないといいます。

田中さんは「もっと悲しんでもいいのにと、逆に心配になります。見守ってあげなきゃいけないと友人どうしで話していますが、逆に元気をもらっています。いちばん悲しいのはあの子たちなのに…」と2人を気遣っていました。

そして、田中さんは同じような悲劇が起きないように何かできないか考えているということで、「嫌がらせやあおり運転は、わかっていてやっているもので『過失』というのはおかしいと思います。萩山さんは『俺と同じ被害者が出てほしくない』ときっと言うと思うので、働きかけられることはやっていきたいです」と話していました。