ハロウィンの季節である。
今年(2017年)は火曜日。10月31日。
仮装して、はしゃぐ祭りである。
何だかよくわからない。まあ、祭りには、ほとんど意味がないから、これはこれでいいんだろう。でも海外発祥の祭りだから、どこかに違和感がまとわりつく。
ルーツや由来を知りたがる。
天神祭や神田祭、祇園祭は、もとからそこにあるものだとおもって身元を改めないが、新しいものはその出自を確かめたくなる。
ハロウィンのひとつのルーツは、キリスト教が世界を覆う以前(4世紀より前)の古代の祭りにあるようだ。秋の祭りである。
そのあと、キリスト教がヨーロッパ世界(もとローマ帝国)の精神的支柱となるにつれ、この古代の祭りを「万聖節」としてキリスト祝祭の一日にしようとした。キリスト教の世界戦略のひとつである。
それぞれの土地に〝キリスト教的ではない〟土俗宗教的な祝祭が残っていたとき、キリスト教はそれを排除するか、それが難しい場合は〝キリスト教が定めた祝祭日〟とすり替えてきた。
代表的なのはクリスマスである。
もともとあれはローマ帝国での冬至の祭りだった。一陽来復。太陽がここからどんどん栄えていく日として、太陽信仰的な土俗宗教で大事にされていた日である。
その冬至の祭りを〝キリストが神の子として降誕した日〟にした。
もちろん12月25日はキリストが生まれた日なんぞではない。
そもそも、ナザレのイエスが生まれた日はまったくわかっていない。たぶん記録されていない。イエス本人さえ自分の生まれた月日を知らなかった可能性が高い(イエスを人として考えた場合ですけど)。
しかし4世紀に降誕した日を決めなければいけなくなったとき、ローマ帝国での土俗的祝祭日だった冬至の日を指定したのである。
冬至の祭りは、わりときれいに「キリスト教の祝祭:クリスマス」として覆われた。
ただ、秋の祭り・万聖節はキリスト教以前の土俗的な要素が強く残ったままである。
ハロウィンはキリスト教の祝祭ではない。
キリスト教でも覆い隠すことができなかった古来の悪魔祓い(のようなもの)の名残りがある。
ハロウィンは、つまるところ「アメリカの祭り」でしかない。
おそらくイギリスあたりに端緒がある万聖節の前夜の騒ぎは、アメリカで大きく広まり、アメリカの祝祭となった。ルーツをさぐれば、キリスト教以前の祭りにつながるが、そこまでの検証に意味があるわけではなく、単に「アメリカの祭り」だと考えていいとおもう。