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日本文化

なぜハロウィンは日本でこれほど大ブームになったのか

転機は2009年、その時何が?

ハロウィンの季節である。

今年(2017年)は火曜日。10月31日。

仮装して、はしゃぐ祭りである。

何だかよくわからない。まあ、祭りには、ほとんど意味がないから、これはこれでいいんだろう。でも海外発祥の祭りだから、どこかに違和感がまとわりつく。

ルーツや由来を知りたがる。

天神祭や神田祭、祇園祭は、もとからそこにあるものだとおもって身元を改めないが、新しいものはその出自を確かめたくなる。

ハロウィン〔PHOTO〕iStock

つまるところ「アメリカの祭り」

ハロウィンのひとつのルーツは、キリスト教が世界を覆う以前(4世紀より前)の古代の祭りにあるようだ。秋の祭りである。

そのあと、キリスト教がヨーロッパ世界(もとローマ帝国)の精神的支柱となるにつれ、この古代の祭りを「万聖節」としてキリスト祝祭の一日にしようとした。キリスト教の世界戦略のひとつである。

それぞれの土地に〝キリスト教的ではない〟土俗宗教的な祝祭が残っていたとき、キリスト教はそれを排除するか、それが難しい場合は〝キリスト教が定めた祝祭日〟とすり替えてきた。

代表的なのはクリスマスである。

もともとあれはローマ帝国での冬至の祭りだった。一陽来復。太陽がここからどんどん栄えていく日として、太陽信仰的な土俗宗教で大事にされていた日である。

その冬至の祭りを〝キリストが神の子として降誕した日〟にした。

もちろん12月25日はキリストが生まれた日なんぞではない。

そもそも、ナザレのイエスが生まれた日はまったくわかっていない。たぶん記録されていない。イエス本人さえ自分の生まれた月日を知らなかった可能性が高い(イエスを人として考えた場合ですけど)。

 

しかし4世紀に降誕した日を決めなければいけなくなったとき、ローマ帝国での土俗的祝祭日だった冬至の日を指定したのである。

冬至の祭りは、わりときれいに「キリスト教の祝祭:クリスマス」として覆われた。

ただ、秋の祭り・万聖節はキリスト教以前の土俗的な要素が強く残ったままである。

ハロウィンはキリスト教の祝祭ではない。

キリスト教でも覆い隠すことができなかった古来の悪魔祓い(のようなもの)の名残りがある。

ハロウィンは、つまるところ「アメリカの祭り」でしかない。

おそらくイギリスあたりに端緒がある万聖節の前夜の騒ぎは、アメリカで大きく広まり、アメリカの祝祭となった。ルーツをさぐれば、キリスト教以前の祭りにつながるが、そこまでの検証に意味があるわけではなく、単に「アメリカの祭り」だと考えていいとおもう。