面白いほど人から慕われ出す、超一流の「質問テクニック」とは?

質問を制する者は人生を制す――その極意を、“お悩み”別にビジネスコミュニケーションの達人が解き明かす連載の第1回。相手を問い詰めて「黙らせて」しまうことは誰にでもあると思いますが、黙らせたところでいいことは何もありません。黙らせることが目的ならそれでいいでしょうが、そんなことをしても相手から嫌われるだけです。ではどうすればいいのでしょうか。その解決法をお教えします。

質問をしたら、相手が黙ってしまった!
さて、どうする??

 まずは、こんな状況を想像してみてください。

 あなたが気にかけている後輩が、出先からトボトボと帰ってきました。
 やる気はあるのになかなか結果が出せなくて、「今日も契約がゼロでした」とションボリしています。
 こんなときは、ひと声はげまして、頼れる先輩をアピールしたいですよね。
 そんなわけで、あなたはこう声をかけてみました。

 「なあ。おまえ、どうして契約が取れないんだと思う?」

 「何がダメなのか考えてみよう」と解決策を探らせる、一見「いい質問」に思えますよね。
 ところがションボリくんは、なぜかだまって下を向いてしまいました。まるであなたに叱られたとでもいうように……。
 いったいなにがいけなかったのでしょうか?

ひとつの質問の中に複数の質問を混ぜていませんか?

 結果が出せない後輩くんに対して「どうして契約が取れないんだと思う?」と質問することが、なぜダメなのか?
 それは、「ひとつの質問の中に複数の質問を混ぜてしまっている」からです。
 こんなシーンを想像してみるとわかるのではないでしょうか。

 あなたはテニスの初心者で、テニススクールに通い始めたばかり。しかし、なかなか上手にボールを打ち返すことができません。
 すると、先生が「横を向いてボールを打ちましょう」とアドバイスをくれました。
 アドバイスを聞いたスクールメイトは、スコーン、スコーンとテンポよくボールを打ち返しています。
 ところが、あなたがラケットを振ってもボールはちっとも飛んでいきません。先生に言われたとおり「横を向いてボールを打って」いるはずなのに……。
 そんなとき、あなたの前にやってきた先生が、こう言ったとしたらどうでしょう。

 「どうして打てないんだと思います?」

 「それがわからないから困ってるんだよ!」と、イラッとしませんか? 
 あなたに「どうして契約が取れないんだと思う?」と聞かれた部下の反応も、それとまったく同じなんです。

「ごちゃ混ぜ型」の質問にご用心!!

 これらの質問をよく見ると、ひとつの質問の中に、たくさんの細かい質問が混じっていることがわかります。
 テニスの例で言えば、「横を向いてボールを打つ」という、一見シンプルなテクニックには、さまざまな「コツ」が含まれています。
 ボールが飛んでくるコースを早めに予測したり、腰をひねったり、軸足を前に出したり……。
 スクールの生徒さんが、「横を向いてボールを打つ」ことがうまくできないのなら、これらの「コツ」についてひとつひとつ確認していくのが、生徒さんにとっての「いい質問」です。

 ところがこの先生は、全部の質問を「ごちゃ混ぜ」にして「どうして打てないんだと思います?」と聞いてしまっていました。

 ひとつひとつの質問には答えることができても、複数の質問が混ざった「ごちゃ混ぜ型の質問」になると、一気に答えるのが難しくなりますよね。

さらにマズいのは、答えることのできない質問をされると、相手は「自分を否定された」ように感じてしまうこと
 「質問に答えられない自分はバカなんじゃないだろうか?」と、自己嫌悪におちいってしまいます。
 だからこそ、後輩くんはあなたの「質問」を聞いたとき、だまって下を向いてしまったんですね。
 質問によって、相手のやる気を引き出すどころか、これではまったくの逆効果になってしまいます。

相手の答えを引き出すのは「スッキリ分割型」の質問

 わたしたちは、ついラクをして「ごちゃ混ぜ型の質問」ですまそうとしてしまいますが、質問のうまい人は、質問を細かく分割します。
 ひとつの「ごちゃ混ぜ型の質問」を、少なくとも3つに小分けするイメージです。

 「どうして打てないんだと思います?」
   ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
 「軸足は前に出していましたか?(質問1)」
 「打つときに腰をひねりましたか?(質問2)」
 「ボールが飛んでくるコースを予測していましたか?(質問3)」

 いかがですか? こう聞かれると、とても答えやすいですよね。

 それではもうひとつの例のほうは、どう質問すればよかったのでしょうか。これも3分割してみましょう。

 「どうして契約が取れないんだと思う?」
   ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 
 「まず、訪問件数はちゃんと足りてる?(質問1)」
 「自分が思っていたとおりのプレゼンテーションはできた?(質問2)」
 「先方からはどんな質問があった?(質問3)」

 こんなふうに、質問を小分けにしてスッキリとわかりやすくすることで、相手も具体的な答えが言えるようになります。
 さらに、問題点もぐっと見えやすくなってくるんです。

一流の質問術
「質問をスッキリ分ける!」

シリーズ累計64万部『超一流の雑談力』著者が、「次」の大テーマ「質問力」に挑む!

超一流 できる人の質問力

安田正
マガジンハウス
2017-10-19

この連載について

超一流 できる人の質問力

安田正

私たちの日常会話は「質問」であふれています。「有休とっていいですか?」と、上司にお伺いを立てるのも、「この商品を買ってくれませんか?」と、顧客に営業するのも、「結婚してくれませんか?」と、恋人の気持ちを確かめるのも、すべて質問。「聞き...もっと読む

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