「昔の失敗をいつまでもクヨクヨと考えるな」とは良く言われることだ。だが、ある科学者によると、実はクヨクヨ考えた方が良い場合もあるそうだ。
人によっては失敗の苦い記憶が一層の努力を重ねるモチベーションとなり、将来的な成功につながることになるという。
今回の研究で判明したのは、失敗をあまり気に病まない人には、成功できないことについて言い訳ばかりする傾向があることだ。つまり、そうした人は似た様な状況に直面しても、それまで以上に頑張ろうとはしないのだ。
一方、失敗した時の苦い記憶をいつまでも覚えている人は、同じ状況になると、それまで以上に頑張るようになるという。
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失敗を経験させる実験
米オハイオ州立大学のセリン・マルコック(Selin Malkoc)氏の研究チームは次のような実験を行なった。まず大学生98名に、ネットで特定の条件を満たすブレンダー(ミキサー)の価格を調査してもらった。この際、最も安いブレンダーを見つけた人には現金が手渡されると伝えた。
結果発表に先立ち、学生の半数には勝敗について感じた気持ちを意識するよう指示した。そして、もう半数には行った調査方法について意識するよう指示した。
実はこの調査は仕組まれたもので、学生が発見できたものよりも安い価格が最安値として発表されるようになっていた。結果発表後、学生にはこの失敗について感想を書いてもらった。
実験の狙いは、過去の失敗について感情に意識を向けるか、思考に意識を向けるかで将来的な取り組みに違いが出るかどうかを明らかにすることだった。
そこで今度は大学生の半数に、友人へ本をプレゼントしたいので、学生でも手頃に買える価格のものを探して欲しいと依頼した。つまり最初の課題と同じ、最安値を探す課題である。
また今回、残りの半数には、友人へのプレゼントとしてぴったりの本を探すよう指示した。こちらは最初の課題とは少々性質の異なるものだ。
失敗したときの気持ちに意識を向けることで次の成功につながる
実験の結果、類似の課題では感情面に意識を向けた大学生の方がやる気を見せることが分かった。このグループは方法に意識を向けたグループよりも25パーセント長く本探しに時間を費やしていた。
一方、最初の課題と性質の違う課題を与えられたグループでは努力の程度に有意な差異は認められなかった。
マルコック氏によると、失敗と向き合う場合はその時の気持ちに意識を向けるといいのだという。もう同じ経験は懲り懲りだという思いが、次へ向けて一層努力するモチベーションになるからだ。
面白いことに、失敗についてクヨクヨ考える人は、同じ失敗を避ける方法についてはあまり意識しない傾向にあるという。
なお失敗について意識を向ける点を特に指示しなかった別の実験では、感情よりも方法について考える学生の方が多いことが明らかになっている。
自己弁護では何も変わらない。失敗と距離を置かず正面から向き合う勇気を
人は失敗について考えるよう言われると、失敗は自分のせいではない、あるいは大した問題ではないと自己弁護に走る傾向がある。
ところが、このようにして失敗と距離をとろうとすると、そこから何も学べず、自分を成長させる機会を失うことになる。
苦い記憶から逃げずに正面から向き合うことが大切であるようだ。
via:theconversation / osuなど/ translated by hiroching / edited by parumo
あくまでも失敗に関する悩みであり、人間関係とか恋愛とかそういう悩みではないが、失敗の度合いが取り返しがつかないほど大きいものだとなかなか立ち直るのに時間がかかる気もするが、失敗したらその教訓を生かすためにきちんと考えていこうという意味においては有効なのかもしれないね。
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コメント
1. 匿名処理班
こういう論文はありがたい。
読んでいるだけでも気持ちが安らぐよ。
2. 匿名処理班
失敗を直視するには「勇気」が、それを克服するには「根気」が必要なんだね。
3.