レースの中止が決まり、閑散としたフィニッシュ地点の大分市営陸上競技場=29日午前 大分市で29日に予定されていた第37回大分国際車いすマラソン大会は、台風22号の影響で中止となった。コース上に枝葉が散乱し、複数の地点が冠水したため、大会事務局は安全面の確保が難しいと判断した。世界初の車いすのみによるマラソンレースとして1981年から歴史を刻み、中止となるのは初めて。大会事務局 安全面を考慮 大会事務局によると、同日午前3時ごろ、事務局職員が県庁前をスタートし市営陸上競技場にフィニッシュするコース全体を点検。25キロ地点過ぎの久原折り返し周辺に複数の水たまりがあり、海沿いで風が強まっていることを確認した。 同日未明、大分地方気象台は暴風警報を出した。事務局は大会運営全般をチェックした上、世界パラ陸上競技連盟陸上競技国際技術委員でもある三井利仁・大会技術代表に助言を仰いだ結果、選手がスリップしたりする危険性があると判断。スタート3時間前の午前7時に中止を決定した。 事務局は選手一人一人に電話で中止を連絡し、海外選手には通訳ボランティアを通じて知らせた。協賛企業や関係団体にも伝え、ホームページ上でも告知。コースの沿道を巡回し、選手を待っていた観客に事情を説明した。 ぎりぎりでの中止とあって、事務局には問い合わせが相次ぎ、中には中止を知らずに受付に訪れるボランティアもいた。フィニッシュ地点の競技場では、スタッフらが横幕や掲示物を片付け、選手や役員、ボランティアら約3千人分の弁当の整理に追われた。 大会は世界トップレベルの選手が競う世界パラ陸連公認レース。県や日本障がい者スポーツ協会日本パラリンピック委員会、大分合同新聞社などの主催。今年は16カ国の224人がエントリーしていた。来年のレース期待 大会会長の広瀬勝貞知事の話 随分迷ったが、選手の安全を第一に考えて中止とした。大会を目指して練習に励み、遠路来県してくれた選手には大変残念だろうが理解していただきたい。来年、また元気いっぱいのレースを期待している。