先週土曜日、筆者は朝日放送の番組「正義のミカタ」に出演した。同じく出演していた朝日新聞の編集員である曽我豪さんが、総選挙を総括して解説していた。この方は、朝日新聞の中でも割と公平に物事を見ている人で、どのような組織でもバランスの取れた良心的な人はいるという典型だ。
しかしこのときに限っては、「朝日新聞の人丸出し」という話の連続だった。筆者はここで強く感じたことがある。それは、そのくらい今回の総選挙の左系マスコミへの影響が大きかったのだ、ということだ。
曽我さんは、安倍政権は総選挙では勝ったが、世論調査の「民意」をみると、安倍首相は支持されていないと指摘した。さすがに、この発言はおかしなところがあるので、宮崎哲弥さんが、「曽我さんの引用している世論調査は選挙前のもので、選挙後の世論調査では支持率が戻っている」と指摘していた。
その後、筆者も短くコメントを求められたので、「世論調査はいろいろ。曽我さんのいう民意とは、朝日新聞の世論調査のことだから」と皮肉を言ってしまった。朝日新聞の世論調査は誘導的で当てにならないというと、さすがに不味いので、そこまでは言わなかったのだが(笑)。番組後に、曽我さんに「総選挙の結果が民意でなかったら、なにが民意なの」と言っておいた。
政治家が政治家たる所以は、民意で選ばれているからだ。政治家個人をみれば、頭の良さでは官僚にかなわない人もいる。しかし、それでも官僚が(形式的とはいえ)政治家を尊敬し従うのは、政治家が民意で選ばれているからだ。
さらに、曽我さんは朝日新聞がやってきた「モリカケ追及」について、政権が十分に疑惑に答えていないことに意義ありという立場だった(これは朝日新聞の人としては当然!)ので、「モリカケ」もはじめの段階ならマスコミが「疑惑」と叫んでもいいだろうが、もう半年以上も経ったというのに、新たな証拠もなしで「疑惑」と言い続けている左派マスコミはおかしい、ともいっておいた。
本コラムの読者であれば、筆者が「モリカケ」について、公開情報から、安倍首相の「意向」や「関与」がないことを証明してきたことをご存じだろう。これは、安倍首相その他に頼まれてやったことではない。筆者はエビデンスをもとにさまざまな事象を論証するスタイルをとっているが、その有効性について絶好の課題だったので、力試しにやってみただけだ。
もちろん、筆者の知らない事実が出てくれば、筆者の負けである。しかし、どうだろうか。半年以上経っても何もでてこない。
本コラムに書いたことだが、これは「悪魔の証明」である。何もないことについて総理に説明責任を転嫁してはならず、あくまで疑惑を主張する人が証明すべきである。いまだに朝日新聞は、総理は誠実に説明する責任を果たしていないという「言いがかり」を付けているが、国会では、関係者すべてが朝日新聞の思惑と違った証言をしている。
この段階で、普通のビジネスであれば「半年以上も成果が出ないので終わり」となるはずである。新たな証拠もなしで、半年以上も「疑惑が残っている!」と叫び続けるマスコミにはあきれてしまう。