「Google Home」は、「OK Google」または「ねぇ Google」と呼び掛けると聞き取りを行うモードになり、続けてリクエストを行うと、その内容に合ったアクションを実行してくれる。
聞き取りを行っている最中は本体天板の4色のLEDがクルクルと回り、聞き取りと解釈が終わって返事をする際はLEDが点滅状態に移行する。この動きはキャラクター性があり、なかなかユーモラスだ。
もっとも、このLEDが目視できない位置から話し掛けた場合、きちんとこちらの音声が受け取られたのか確かめる術がない。暗い部屋であれば、LEDの明かりが天井や壁面に反射することで察知できなくもないが、よそ見をしていてはそれもできない。可能性としては、ACアダプターが抜けた状態の本製品に必死に話し掛けるという、マヌケな事態も起こりうるわけだ。
実は初期設定ではオフになっているのだが、Google Homeにはリクエストの開始時および終了時に、「ポン」という電子音を発するオプションがある。これをオンにしておけば、よそ見をしながら話し掛けた場合も、Google Homeがリクエストを受け付け、そして解釈を実行したかが、耳で判断できるというわけだ。
これがデフォルトでオフになっているのは、なるべく人間の会話に近い、自然なやりとりをさせるためだと思うのだが(あくまで筆者の推測である)、現在はそれ以前に、まだユーザーの側がGoogle Homeの扱いについてド素人という段階である。Google Homeとの「会話のテンポ」を早くつかむためにも、慣れるまではこの機能をオンにしておくことを、個人的におすすめしたい。
さて、前回まででセットアップが完了して使えるようになったわけだが、添付の「はじめてみよう」の内容を参考に、タイマーやアラーム、検索、スケジュールの読み上げなど一通り試したうえでの感想は「思ったより発声をきちんと聞き取ってくれる」、そして「その割には融通が利かない」ということだ。
例えば「次の予定を教えて」「次のスケジュールを教えて」といったリクエストには、「すみません、お役に立てそうにありません」あるいは「すみません、お役に立てそうにありません。もっと勉強して改善します(今後さらに頑張ります)」などと返される。このレスポンスは、正直ちょっと困る。
というのも、この答えだと、質問の仕方が悪いのか、そもそも機能自体がないのか、あるいはそれ以外の理由(例えば、ネット回線がダウンしているとか、カレンダーとの連携が切れているとか)なのか区別がつかないからだ。これが人間相手なら、聞き取りに失敗した時点で「スマン、聞き取れへんかったからもっかい言うて」くらい言ってくれるはずだが、そうではないので困ってしまう。
ところが「次の」を「今日の」に替えて、「今日の予定を教えて」とリクエストすると、Googleカレンダーに登録されている次のスケジュールをきちんと読み上げてくれる。なんのことはない、「次の」という表現を理解できずに引っ掛かっていたわけだ。
この辺り、理解できない単語はスキップして解釈を試みるくらいの融通はほしいな、と思う。事実、しばらく後になって「今日の」を省略して「予定を教えて」だけでも通じることが分かったので、分からない単語を無視するロジックがあれば、最初からやりとりが成立していたことになる。どう呼び掛ければ認識するのか、人間側が毎回考えなくてはいけないようでは、自然な使い勝手には程遠い。
ただ、これはまだ語彙(ごい)数が少なく、解釈のロジックも確立していない現在ゆえの症状であり、これをもって製品の良しあしを判断するのは早計だろう。もしかすると明日にでも改善されて挙動が一変し、そのうち「Google Homeって発売直後はこんなこともできなかったんだよねー」と笑い話になっているかもしれない。後は、そのような段階から製品をいち早く使うか、しばらく待ってみるかという、個人の判断次第だろう。
ところで、Google Homeがユーザーの発音をどのように聞き取ったのかは、Googleの「マイアクティビティ」に記録されており、後から確認できる。この一覧には発声データまで含まれており、ワンクリックするだけでそのときどんな内容を呼び掛けたのか、自らの肉声をあらためて聴けてしまう。
これは、聞き取りが連続して失敗する場合に手掛かりをつかむのに有益だが、考えてみるとなかなか恐ろしい機能だ。実際、一覧化されたリクエスト内容を後日ざっと流し見すると、そのときの行動はもちろん、そのときに何を考えて何を望んでいたかも一目瞭然なので、ちょっと怖い。酒に酔うと前後不覚になるような人は、自らの醜態がクラウドに保存されないよう、気を付けた方がよさそうだ。
つづく。
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