2017年10月30日 07:00
朝晩涼しくなり、いよいよ夏も終わったと実感するようになった。衣替えに合わせ、家電も夏物から冬物へと入れ替え始めているという人も多いのではないだろうか。
冬物家電として用意したいのは、暖房、そして加湿器だ。空気が乾燥するとインフルエンザにかかりやすくなるほか、お肌も荒れてしまいがち。その対策として有効な加湿器は、冬物家電の定番になりつつあると言ってもいいだろう。
今回ご紹介するのは、そんな加湿器の中でも、スタイリッシュなデザインがひときわ目を引くカドーの加湿器。10月28日に登場する新モデル「STEM(ステム) 620」だ。
メーカー名 | カドー |
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製品名 | STEM(ステム) 620 |
価格(編集部調べ) | 42,500円(税抜) |
“華道”と聞いて納得の、日本生まれのデザイン
このシリーズを初めて見たとき、「これが加湿器?」と驚いた記憶がある。一般的な加湿器とは一線を画したデザインは、家電というよりオブジェのようだ。そもそもカドーは日本の家電メーカーで、社名は「華道」から発想を得ているという。そう聞くと、このデザインも花器に生けられたいけばなをモチーフにしているようにも見えてくる。
加湿器の加湿方式は、大きく分けて「スチーム式」「気化式」「超音波式」の3タイプに分かれるが、STEM620が採用しているのは、超音波式。水を超音波で振動させてミスト状に分解し、ファンで空気中に吹き出す仕組みだ。
ではさっそく構造をチェックしながら組み立てていこう。一番下に置くのが、超音波でミストを発生する「霧化ユニット」や、それを吹き上げるファンを内蔵した本体部分。ここに、水タンクとミストを噴出するダクトを突き立てる。
超音波式でも安心して使える衛生対策
ところで、このSTEM620には、超音波式特有の弱点に配慮した衛生面へのこだわりが2つある。1つは、水槽内に施した抗菌プレート。超音波式は熱を使わないため、電気代が安く済むのが魅力である半面、タンク内にカビや雑菌が発生した場合、それがそのままミストに乗って、部屋中に散布されてしまう。
しかしSTEM620は、抗菌処理を施した抗菌プレートを採用しているため、24時間で99.9%以上の細菌を抑制できるという。もちろん長時間放置した水で稼働したり、メンテナンスを怠っていいわけではないが、神経質にならなくていいのは安心だ。
もう1つのこだわりが、カルシウムを除去する新開発のフィルターカートリッジの採用。水道水には、カルシウムが含まれているため、加湿器を使い続けると、噴霧するミストが付着した場所に白い粉が付着することがあるらしい。
その点、STEM620に採用したカートリッジは、日本の水の約6倍の硬度があり、カルキ成分をたっぷり含む欧州の水にも対応すべく改良されているという。つまり超音波式の弱点をカバーしたというわけだ。
続いて水タンクに水を入れるのだが、水タンクがこれだけ長いと、水道のある場所まで持っていって給水するのは大変だ。そのためタンクを本体に立てた状態で、水差しなどで給水することができる。
この方法は、重いタンクを持ち運ばなくてよい半面、タンクの注ぎ口が狭いので、注ぎ加減を間違えると水がこぼれてしまうため、慎重になる必要がある。筆者は少々せっかちなところがあるため、最初はつい多めに流し込んでは、こぼしてしまった。
何はともあれ、準備完了。コンセントを差し込み、いざ稼働……! と思ったのだが、操作パネルを見ても、よくわからない(笑)。真ん中が電源、「A」のマークはオートモードで、時計のマークはおそらくタイマーでしょう。……想像するのは諦めて、改めて取扱説明書を開いた。
結果、急速運転モードや間欠運転、弱運転、強運転などが選べることを確認。なるほど、マークだけだと最初はわからなくても覚えやすいし、デザイン的にもすっきりしている。もちろん欧州など海外でも通用するということなのだろう。
真っ白なミストが一気に天井まで吹き上がる
そこでまずは、オートモードで運転してみることにした。運転が始まると、タンクの下部が青色にぽわんと光り、なんとも美しい。このイルミネーションは、現在の湿度を表しているそうで、青色は湿度約50%以上とのこと。
これが約30~50%になると緑色に、約30%以下になると黄色に光るという。どんな雰囲気になるのか体感してみたかったが、時期的にまだ湿度が50%超えていたため、見ることはできなかった。
ちなみに水がなくなると、湿度に関係なく赤色に光るという。そこで水槽部の水を捨てて空っぽにしてみたところ、赤く光って点滅し始めた。これはこれで、ちょっと焦ってしまう。
オートモードにしたら、吹き出し口から出るミストは、うっすらと少なかった。湿度が50%超えているから、そんなに加湿の必要はないと判断したのだろう。そこで、「急速運転ボタン」を押したところ、すごいことになった!
留守中の運転で湿度が大幅アップ
これだけのパワーだから、空間の加湿能力もじゅうぶんだろう。実際、6畳の部屋でオートモードで運転させて出かけたところ、帰宅した8時間後も運転が止まることなく、湿度は58%から74%まで大幅にアップしていた。控えめな運転だったためか、水は半分も使われていなかったようだ。
さらにこのSTEM620シリーズは、高い位置からミストが出るデザインにもこだわりがあるという。実は、吹出口のある床から85.5㎝の高さは、人が床に座ったときの目線。ここから最大1.3mの高さまでミストが舞うと、高さの合計2.2mになり、日本の平均的な天井の高さまで舞い上がる計算になる。
一方、1週間に1回のお手入れは少々面倒だ。何しろタンクやダクトが長いため、水道水で洗い流すときなど、キッチンのシンクやお風呂場で行なわないと厳しいだろう。それでも清潔に使うためには必要なことなので、使い続けるうえでここはネックになるかもしれない。
フレグランスディフューザーとして一年中活躍!
実際に使ってみて、使用感は独特であったものの、やはりデザインは格別だ。リビングに置くと、インテリアとしての存在感が感じられる。さらに幻想的なミストや、水のゆらめき、美しいイルミネーションもまた、見ているだけで癒されるようだ。
また今回は入手できなかったが、同社指定の「フローラルウォーター」を使えば、香りを楽しむことができる。つまり加湿の必要がない季節にも、フレグランスディフューザーとして使えるというわけだ。
単機能の加湿器で4万円を超える価格は、高いと感じる人も多いかもしれない。しかし、インテリアとしてのデザイン性と、一年中使える汎用性を加味すれば、価格なり、またはそれ以上に活躍してくれるに違いない。