篠原涼子『民衆の敵」第一話は9.0%の苦しいスタートで”低迷月9”に逆戻りか
篠原涼子(44)が主演を務める「民衆の敵」(フジテレビ系)第1回が10月23日に放送され、平均視聴率9.0%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)だったことがわかった。
大事な初回であるにも関わらず、野球中継で放送時間が遅れた影響のせいか、高視聴率を記録した全クールの「コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」と比較すると、寂しいスタートとなった。しかし、視聴者の関心を引き付けられなかったのは、ドラマの内容にもあるのではと推測される。
この作品は、高校中退の主婦・佐藤智子(篠原涼子)が、市議会議員に立候補するところから始まる。夫の公平(田中圭)と共に慣れない選挙活動に四苦八苦しつつも、ママ友の平田和美(石田ゆり子)の協力を得た智子は、次第に主婦の共感を集めるようになり、繰り上げ当選する。
同時に当選した藤堂誠(高橋一生)、小出未亜(前田敦子)、園田龍太郎(斎藤司)らと今後どのような政治活動を繰り広げるのかが見ものだ。偶然にも、初回放送の前日は衆議院解散総選挙が開催され、現在の日本政治を意識しながら視聴した人も多かったのではないか。
私としても選挙活動の裏側や、有権者の心を掴む術がわかるのでは、と期待したが通り一辺倒の方法で少々がっかりしてしまった。有権者の心を掴むのも、結局智子の演説ありきなのだが、その内容がどうにも自分勝手でイマイチ賛同できない。結局智子が市議になりたいのは、年収950万円や子どものためでしかなく、政治に関する知識や関心は全くないのだ。今後は変わっていくのだろうが、不純な動機で当選した人に税金が支払われることに、理解できない人がいてもおかしくはない。
「中卒者が堅い仕事に就く」というのも、「HERO」(フジテレビ系)などで散々使い古された設定で、目新しさを全く感じない。そもそもこの夏、元SPEEDの今井絵理子議員の不倫問題が発覚し、「やっぱり政治をわかっていない人が政治家になっちゃダメ」という風潮になっているのに、なぜこの設定を持ってきたのだろうか。
政治ドラマにするのなら、主役はどこにでもいそうな主婦・智子よりも、生粋の政治家一家に生まれ育った藤堂(高橋一生)にしてほしかった。「市政のプリンス」と呼ばれながらも、裏では女性と謎の生活を送る主人公の方がミステリアスで、魅力的だ。高橋一生は今旬の俳優だし、篠原涼子よりも注目を集める可能性があったのでは……。
せっかく「コード・ブルー」で盛り返したのに、なんだかまた低質な月9に戻ってしまいそうで不安を覚える。次回以降で、視聴者が魅了される政界ドラマが展開されることを期待しよう。
文・Harumaki