そぼ降る雨、薄ら寒い秋の風を切って1万3973人が力走し、22万人が沿道を切れ目なく埋めた。店を閉めて横断幕を掲げる人あり、声援に力を得てゴールにたどり着くランナーあり。参加者と市民が「雨には負けない」と心を一つにして大会を盛り上げた。3年目を迎え、10月の最終日曜に日取りが固定された金沢マラソンは、街にすっかり浸透した。
天の配慮か、前夜から降り続いていた雨は号砲が鳴り渡る少し前にやんだ。だが1時間ほど後には予報通り雨粒が落ち始め、沿道にポツポツと傘が開いた。
17キロ地点に近い橋場町交差点には、うどん・そば小橋お多福(金沢市)のオーナー齋田和代さんがカッパを着込み、「やんわり行こう」などと書かれた横断幕を持って立った。
大会前日は大勢のランナーが来店し、大会に出る店員もいることから、昨年から昼間は店を閉めて応援することにした。深夜3時まで夜なべして横断幕を作った齋田さんは「雨でも、一歩踏み出せばゴールにたどり着ける。人生も同じやね」と笑顔で話し、声を振り絞った。