(前回はこちら→「『日本のJAXAはとても親切』とUAEの担当者」)
9月26日の午後、国際宇宙会議IACのテクニカル・プログラムの一つとして、"Small Launchers: Concepts and Operations"(小型ロケット打ち上げ、コンセプトとオペレーション)と題されたセッションが開かれた。
1セッションは2時間で、6人の発表者がそれぞれ20分の持ち時間で語る。発表内容は、その後論文として出版されるか、少なくともアブストラクトはウェブ公開されるので、司会者は「では、次のペーパーは……」というふうに紹介することが多い。つまり、学術度が高いプログラムだ。複合的な要素からなるIACでも、展示会が華だとすれば、テクニカル・プログラムは幹といえる。
専門度が高い議論になるので、正直、理解不能なディテールもありつつ、大枠としては理解できるのが、パワポ完備の発表のありがたいところだ。
さて、この"Small Launchers"とは、小型ロケットを使って超小型人工衛星などを打ち上げるサービスを提供しようとしている人たちを指す。これまでは、大型ロケットを使う大型の人工衛星や探査機に相乗り(ピギーバック)することで軌道に到達していた、数キログラム級から100kg級くらいまでの小型人工衛星を専門に扱う。
大型の人工衛星に相乗りする場合、超小型人工衛星はあくまで「従」の立場になってしまう。自分で時期を選べないし、軌道も選べない。超小型とはいえ、もちろん、それぞれの事業主には「いつまでに、どんな軌道に載せたいか」という計画が必ずあるわけで、この従属的な立場はつらい。そこで、小さなロケットで、超小型人工衛星でも「主」になるようにできないか、という発想だ。
インターステラテクノロジズ、見参!
このニッチに参入しようとしているスタートアップ企業が世界各地にできており、実はそのうちの一つが、日本の北海道大樹町で気を吐くインターステラテクノロジズ(以下、IST)である。
今年(2017年)7月30日、日本ではじめて民間単独開発のロケットで、高度100kmの宇宙飛行(サブオービタル飛行)を目指した「MOMO初号機」は、見事に離昇したものの、66秒後に通信が途絶したため「部分的成功」に終わった。しかし、その際の不具合の解析をほぼ終えて、今や新たな打ち上げに挑もうとしている。
前振りがずいぶん長くなってしまったけれど、MOMO打ち上げの中心的なエンジニア、金井竜一朗さんが、このテクニカル・セッションに登壇した。
ぼくは、気合を入れて聞き入った。国際宇宙会議の場で、日本を代表する民間宇宙のチャレンジャーが成果を語ろうとしているのである。
まず、金井さんはISTの紹介から入った。