日本のロケットベンチャー、国際会議に見参!

世界最大の宇宙会議IAC探訪記・その3

2017年10月30日(月)

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(前回はこちら→「『日本のJAXAはとても親切』とUAEの担当者」

 9月26日の午後、国際宇宙会議IACのテクニカル・プログラムの一つとして、"Small Launchers: Concepts and Operations"(小型ロケット打ち上げ、コンセプトとオペレーション)と題されたセッションが開かれた。

 1セッションは2時間で、6人の発表者がそれぞれ20分の持ち時間で語る。発表内容は、その後論文として出版されるか、少なくともアブストラクトはウェブ公開されるので、司会者は「では、次のペーパーは……」というふうに紹介することが多い。つまり、学術度が高いプログラムだ。複合的な要素からなるIACでも、展示会が華だとすれば、テクニカル・プログラムは幹といえる。

 専門度が高い議論になるので、正直、理解不能なディテールもありつつ、大枠としては理解できるのが、パワポ完備の発表のありがたいところだ。

 さて、この"Small Launchers"とは、小型ロケットを使って超小型人工衛星などを打ち上げるサービスを提供しようとしている人たちを指す。これまでは、大型ロケットを使う大型の人工衛星や探査機に相乗り(ピギーバック)することで軌道に到達していた、数キログラム級から100kg級くらいまでの小型人工衛星を専門に扱う。

 大型の人工衛星に相乗りする場合、超小型人工衛星はあくまで「従」の立場になってしまう。自分で時期を選べないし、軌道も選べない。超小型とはいえ、もちろん、それぞれの事業主には「いつまでに、どんな軌道に載せたいか」という計画が必ずあるわけで、この従属的な立場はつらい。そこで、小さなロケットで、超小型人工衛星でも「主」になるようにできないか、という発想だ。

インターステラテクノロジズ、見参!

 このニッチに参入しようとしているスタートアップ企業が世界各地にできており、実はそのうちの一つが、日本の北海道大樹町で気を吐くインターステラテクノロジズ(以下、IST)である。

 今年(2017年)7月30日、日本ではじめて民間単独開発のロケットで、高度100kmの宇宙飛行(サブオービタル飛行)を目指した「MOMO初号機」は、見事に離昇したものの、66秒後に通信が途絶したため「部分的成功」に終わった。しかし、その際の不具合の解析をほぼ終えて、今や新たな打ち上げに挑もうとしている。

 前振りがずいぶん長くなってしまったけれど、MOMO打ち上げの中心的なエンジニア、金井竜一朗さんが、このテクニカル・セッションに登壇した。

 ぼくは、気合を入れて聞き入った。国際宇宙会議の場で、日本を代表する民間宇宙のチャレンジャーが成果を語ろうとしているのである。

 まず、金井さんはISTの紹介から入った。

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「日本のロケットベンチャー、国際会議に見参!」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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鈴木 幸一 インターネットイニシアティブ(IIJ)会長