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オイコノミア「生まれ変わる“西成” 地域再生の経済学」[解][字] 2017.10.25

新たな豆腐の一面に出会えますよ。
お試しあれ。
又吉さん今回東京を飛び出してやってきたのは?
(又吉)え〜今僕は大阪の西成区に来ています。
え〜「あいりん地区」と呼ばれる地域ですね。
あいりん地区のイメージはやっぱりちょっとあのう近づきづらいというかまあ僕が子供の頃とかでいうとなんか暴動が起こったとかそういう印象はありますけどね。
え〜今回はそんなあいりん地区の「今」を見ていきたいと思います。

(テーマ音楽)大阪市西成区。
通称「あいりん地区」。
かつて「釜ヶ崎」と呼ばれたこの地域は日本最大の日雇労働者の町として発展してきました。
高度経済成長期には全国各地から労働者が殺到しその数は3万人まで膨れ上がりました!しかしバブル崩壊後多くの労働者が失業し…。
更に…社会に対する不平不満がたびたび「暴動」として爆発。
大阪出身の又吉さんにとっても近づきづらいイメージが定着していました。
そんな「あいりん地区」が今「地域再生の先進地」として脚光を浴びているのです!ん?外国人?若い人もいっぱ〜い。
一体この町で何が起きているのか!?経済学でひもとけば地域再生のヒントが見えてきます。
あいりん地区を訪れるのは初めての又吉さん。
先生との待ち合わせ場所にやってきました。
ああおはようございます。
はじめまして又吉です。
(鈴木)ああどうも鈴木です。
今日はどうぞよろしくお願いします。
お願いします。
「オイコノミア」初登場の鈴木亘先生。
実は元銀行マンです。
1995年景気調査のために初めてこの地域を訪れたときあまりのホームレスの多さにがく然。
「彼らを救う方法はないか?」と考え銀行を辞めてホームレス問題の研究を始めました。
以来全国の貧困地域に出向き調査をしてきた異色の経済学者です。
すごい見晴らしがいいですね。
そうですね。
ここからまさにあいりん地区が一望できます。
どの辺りなんですか?そうですね。
ここから大体1kmぐらい。
2万人ですか?はい。
これは東京の銀座と同じぐらいの人口密集地域なんですね。
へぇ〜!その人たちのほとんど半数以上が高齢者であるということで65歳以上の人々がまあ50%以上いらっしゃいます。
へぇ〜!そういう町なんですね。
はい。
まあなんでその人口構成がゆがんだかということなんですがそもそもはですねここは日雇労働者の町ですのでいつぐらいに人々が来たかというと大阪は1970年に万博がありますのでそれを前後として全国から若い人たちが集まってきたというわけなんですね。
1970年の大阪万博。
その工事のために全国各地から若い日雇労働者が押し寄せました。
彼らはこちらの施設で仕事を見つけ現場へと派遣されていきます。
バブルの頃には年間187万人もの求人数を誇りましたが昨年は25万人まで減少。
かつてこの町にやってきた労働者たちの高齢化も進んでいます。
まあ求人が無くなるとここでこの地域からいろんな場所に人が移っていくかっていうとそうでもなくてですね失業しまして彼らの多くはホームレスとしてこの地域に住み続けたんですね。
へぇ〜!ホームレスの方がたくさんいるっていうイメージはありましたね。
はい。
そうですね。
そして町がまあ汚いと。
…だというようなイメージがあるかと思います。
はい。
今町はどうなっているのでしょうか?ここは三角公園ですね。
そうですね。
まあ一種の聖地ですね。
うん。
ここにももうテントとかが並んでたんですか?まさにこの三角公園はですねホームレスたちがたくさんいらしてテントとか小屋掛けが非常に多くてそして不法投棄のごみなんかも結構たくさんうずだかく積まれていたという状況でこれあの昔の写真があるんですけど。
はい。
これですね。
こんな感じですね。
これが…。
ホームレスのブルーテントがずら〜っと並んでて。
そう見ると何かだいぶきれいになったなという感じがしますよね。
そうですね。
どうやってこういう問題を解決したかということですけども又吉さんは「西成特区構想」というのはご存じでしょうか?西成特区構想。
なんか聞いたことありますね。
はい。
西成特区構想とは大阪市が中心となりこの地域が抱える貧困や治安高齢化などの問題を解決しようと打ち出している政策です。
(橋下)西成の地域ですね特に…問題の根底には根深い行政不信がありました。
暴動の鎮圧ホームレスの強制排除など行政と支援団体の間であつれきが生じていたのです。
そこで白羽の矢が立ったのが鈴木先生でした。
まず一番重要なことはですねこの地域はホームレスの人がたくさんいて生活困窮者もたくさんいてこの人たちをどうやって路上から路上生活から脱却させるかということが重要ですね。
どこの町でも国でも同じですけども……するというのが経済学の基本なんですね。
では一体一番多くある資源とは何だったかということはお分かりになりますでしょうか?さっき先生すごい人口密度が高いっておっしゃってましたよね?そうですね。
はい。
ほぼ正解なんですけども我々が着目しましたのは資源という言葉はちょっと語弊があるんですけどもまあ生活困窮者ホームレスの方々この方たちがたくさんいますのでこれをマイナスのイメージでは見ないでこの町のいろんな貢献をしてもらう「労働力」としてみたというところがこの西成特区構想の1つのポイントです。
うん。
西成特区構想が始まった当初ホームレスや生活困窮者の数はおよそ1500人。
彼らの「労働力」に注目って?あの方々がまさにこの地域のホームレスや生活困窮者の方々です。
ああそうなんですか。
はい。
どうですか?お仕事されてるんですね。
そうですね。
これはあの市とか府の仕事でまあごみの清掃をするという事業で正式にはですね「高齢者特別清掃事業」略して特掃というふうに言います。
高齢者特別清掃事業は1994年から続いています。
一日6時間の労働で5700円の収入が得られます。
現在1161人が登録。
1人あたり月6回ほど清掃作業を行っています。
特掃あってどうですか?ベリーグッド。
ああ。
えっ?それは…シークレット。
おお。
英語すごいお上手ですね。
へぇ〜!鈴木先生はこの事業に着目。
高齢化したかつての日雇労働者たちの「労働機会」を増やしていきました。
清掃範囲をあいりん地区から西成区全域に広げ不法投棄ごみの回収も業務に加えました。
更に新たな事業を立ち上げました。
24時間交代制でごみの見回りや違法駐輪の整理を行うようにしたのです。
こうした労働機会の拡大はホームレスや生活困窮者の収入を安定させるだけではなく治安の改善につながり劇的な効果を生み出しました。
まあホームレスの方々と言うとですねあるいは生活困窮の方々と言うとまあ公費に依存していて社会のお荷物というマイナスのイメージがあるわけですけどもそれは大いなる誤解で彼らは勤勉なんです。
ですから彼らをそのまあ実際には仕事が無くてですね働きたいけれども働けなくて路上生活を送っているという方々ですので彼らの働く意欲を活用しようと。
まあこういうわけです。
なるほど。
町を良くするというとまずはね不法投棄とかごみの問題とかからやるっていうのがね当然だと思うんですけど。
そこを業者を入れてという考え方じゃなくてそこに住んでるホームレスの方々に仕事として提供したというのが発想として良かったんじゃないかなと思いますよね。
はい。
大阪西成区のあいりん地区ではかつての日雇労働者が高齢や病気などで働けなくなり「生活保護」を受けるケースが増えています。
今この地域では住民の3人に1人が生活保護を受けています。
2013年彼らに対する新たな事業が始まりました。
どうぞ。
ああ失礼します。
先生ここはどういった施設なんですか?あのここいっぱい写真ありますけども彼らはみんな生活保護受給者なんですね。
高齢でそして単身つまり独居老人が多いんですね。
そういう方々の社会貢献する活躍の場所なんかを作り出す「ひと花プロジェクト」というものをここではやっております。
へぇ〜!ひと花プロジェクトとは単身高齢の生活保護受給者に対する福祉支援を行う事業。
地域のNPO法人が大阪市と西成区から予算を受けて運営しています。
例えば週2回行っている農作業では収穫した作物を地域の幼稚園に配り園児たちと交流を深めています。
こちらはかつての日雇労働者が持ち前の技術を生かして作った遊具。
こういった事業を立ち上げた理由というのはなんでしょうか?そうですね。
あのまあこれ西成特区事業を始めた当初ですね実は生活保護受給者に対しては非常に世間の目が冷たかったんですね。
それもそのはずでですね例えば生活保護を受けてるんですけども昼間からお酒飲んでるとかですね。
あるいはパチンコを生活保護費でやってるとかですね世間から見ると何でこんな生活保護費でこんなことをやってるんだと厳しい目だったんですね。
その根本原因というのがやっぱり生活保護というのはですね大体月12万円ぐらいもらえるんですけどもそれをもらうとですね結構な金額ですのでもうやることが無くなってしまうというか時間の使い方がうまく使えなくなっちゃうんですね。
この地域の単身高齢者が受け取れる生活保護費は1か月およそ12万円。
住居も確保されます。
もともと日雇労働者だった人々は生活保護を受給した途端時間を持て余してしまうことが多いといいます。
でも…。
こうやって社会貢献して自分も役にもう一回立つんだと分かるとだんだん誇りを取り戻してくるわけですね。
まあ「承認欲求」という言い方を難しい言い方でしますが自分が社会に承認されてると。
それを満たすことができるのでまあ平たい言葉で言うと誇りを取り戻すというか自分に自信を持てるようになってくると。
それそれぞれ皆さん能力があるのにそれを使えずにいたということですよね。
はい。
これは非常に重要なことで貧困な人たちを生活保護をかけて畳の上に上げてしまうとそこは一種のゴールみたいに考えてる人たちが多くてもうこれで安心だろうと思うんですが実はそこで終わりではないんですね。
畳の上に上がったけどやることが無いと。
どうして時間を過ごしたらいいんだろうというところが本当の問題でそういう意味では生活保護がゴールじゃなくて…なるほど。
なかなか個人ではできないですよね。
個人でみんなが町が良くなればいいなとかそれぞれ思ったりするんですけどやっぱり誰かが指揮を執ってえ〜システムとして導入していかないとまあ現実にはならない。
やっぱりその辺は苦労されたんですか?そうですね。
私が主に苦労したのはこういう事業をやろうというアイデアはあったわけですけどもそれを行政の事業として組み立てるためには行政を説得しなきゃいけませんし予算も作らなきゃいけないのでその橋渡しをしたというところで私が汗をかいたということですね。
ただですねこれだけのいろんな中身を作ったのはやっぱりこれは行政の力ではなくてこの地域にいるいろんな支援者活動をしてる方々の知恵なんですね。
そうですよね。
その支援者たちはもともとここで活動してたってことですよね。
いろいろ。
そうなんです。
はい。
逆に言えばですねこの地域は非常に貧困で問題の多い地域だったもんですから彼らを支援する人々というのは非常にスキルの高い人々が多かったんですね。
ですからそれを総動員しまして彼らが創意工夫でここまで築き上げたということです。
なるほど。
今西成特区構想で進行中の事業は56。
大阪市と西成区から予算を受けた地域の支援者などが運営しています。
ここに至るまで行政と支援者との間で紆余曲折がありました。
(ありむら)お久しぶりでございます。
ここからは20年近くあいりん地区の町づくりに携わるありむら潜さんと共に改革の歩みを振り返ります。
大学卒業後あいりん労働福祉センターに就職。
労働者の職業紹介や福祉支援を行ってきたありむらさん。
1998年ホームレスが激増したのを受け翌年仲間と共に支援団体を立ち上げました。
2008年にはさまざまな団体とも協力関係を結び支援の輪を広げました。
しかし行政とのつながりはほとんど無かったといいます。
西成特区構想が来たときはありむらさんはどう思ったんですか?えらいことになったなと思いましたよね。
ああそうですか。
うん。
それはまず警戒ですよね。
はい。
どういう警戒だったんですか?やっぱりねトップダウンでそのどうやら他のとこでのやり方見てると東京から訳の分からん特別顧問がやってきていわゆる「スラム・クリアランス」という言葉があるんですけどねそれもうやられてしまうんじゃないかというようなことですよね。
スラム・クリアランスっていうのはどういう?そういう貧困地域というのは邪魔だからどこか要するに吹き飛ばされてしまうんじゃないかというような警戒心というのか疑念というのがすごくありましたよね。
そしてやっぱり接点が無かったですよね。
その改革をやろうとしてた人たちと町の人たちとの接点が無かったんでそれが余計不安感をあおってたという面があったんじゃないかと思います。
そうですね。
なるほど。
どのようにしてその政策を実行していったんですか?そうですね。
まあ私がまず初めに何をやったかというのがとにかく町の人々に対して直接会って話をすると。
まあこれ「どぶ板行脚」と呼んでますけどもとにかくお一人お一人に会って反対する人も賛成する人も会ってで意見交換をしてご意見を拝聴してそういうことを丁寧にやってきたというのが最初だったです。
分かりあう前とかはこうどなられたりとかもあったんじゃないですか?そうですね。
会議とか集会になるともう怒号を浴びるということでサンドバッグになるわけですけども…。
2014年9月行政機関や地域の支援者住民ら総勢200人が一堂に会して行われた「まちづくり検討会議」。
鈴木先生は議長としてこの会議を取りしきっていましたが…。

(罵声)
(住人)お前らに何が分かる!現場に行ったんかお前ら。
現場に行ったんかお前ら。
原発行ったんかお前ら。
全体での議論を…。
鈴木先生はひるまず住民の中へ入っていき対話を重ねました。
聞いて頂いてそれに対していろんな意見を言うとかね。
それから寄り場はあいりん地域からなくさないということを明言してます。
(住人)明言しとるやないやんけ。
お前!明言してます。
明言してます。
それはかなり効果的でしたか?それはもう大変な…いろんないわゆる怖い団体の所にもですね率先して入っていくんですよ。
それがね一番嫌がる事なんです。
今まで役所が。
そこに単独で入っていく。
どんどんそういう所があればどんどん入っていくからということでね来てくれという所があったら教えて下さいとおっしゃるわけですから。
それによってこうお互いが対話をできる状態になっていったということですよね。
へぇ〜!どれくらいの人に会ったんですか?そうですね。
延べで言うと200人ぐらいに。
初めのうちに。
お一人お一人会ったりグループになったり会って頂いて。
まあ一人一人に直接会うっていうこのどぶ板行脚というのは一見非常に非効率ですよね。
つまり一人一人会っていくわけですから大変な時間がかかるわけですけども。
ですから経済学的に見ると非効率。
ですけどもこれをやったからこそいろんな改革が進んだという意味で実は大変効率的な投資をしたんじゃないかと思ってます。
先生最初からこれに関わると決まったときにそういうふうにしようとご自身で決めたんですか?そうですね。
やっぱり…重要なのはですねキーパーソンですね。
町の人々が信用しているキーパーソンたちに彼らから信用してもらうというやり方をとればこれはかなり大勢の人々を賛同者とできるだろうと考えました。
なるほど。
まあ経済学では「規模の利益」と言いますけどもある程度信用の輪が広がっていくとますます信用の輪が広がりやすくなると。
はい。
この地域はですねキーパーソンとなる優秀な方々たくさんいらして味方になってもらえたというのが結局この改革にとって一番重要な要素だったんじゃないかと私の立場からは思います。
我々にとってはですね役所とつないでもらった。
地域というのをね。
その役所も同じ役所でもトップとつないでもらえる訳ですからこれはもう大変な効果ですよね。
だってそれ以前はとにかくいろんな悶々としている。
それが役所に届かないつながらないというようなところでもうずっといらだちというんですかね悶々としてきてるわけでね。
今はだからそのまちづくりの会議には行政っていっても市も府も。
警察も。
警察もですからね。
だからこれはねこの地域の歴史は約110年ちょっとあると思ってるんですけどその中でもホントにね画期的な時期なんですよ。
はいはい。
だからその改革をする時って「よし改革をしよう」って俯瞰で見た時に10年後いい街にするんだっていう意識のもとでやっていくじゃないですか。
長期的に見るじゃないですか。
でもそこで暮らしてる人たちはいや10年後みんな幸せかもしれんけどここからの10年俺らどんだけしんどい思いせなあかんねんというここが無視されることも多々あるじゃないですか。
それがすごくありむらさんみたいな方がいて鈴木先生のみんなに地道にお話を聞きに行ったということがあったからそこが何かすごくゼロではないにしろ緩やかなものになったんじゃないかなというのをすごくお話を聞いてて感じましたね。
でもそこのしんどさみたいなものは当事者として乗り越えていかなあかんからそこもまた難しいところでお互いのしんどさというかつらさみたいなものがどうしてもありますよね。
何かを変えていくっていう時には。
やっぱり改革が持続するエネルギーというのはあまりスムーズに行くというよりはこうぶつかっていったり。
今日分かりやすく話をするために割とスムーズな話をしたんですけど実際にはもう大変なんです。
そうですね。
そんなスムーズな話じゃなくてもうぶつかり合ってどこ行くんだって右往左往しながらでも大きく見るとこっちの方向にちゃんと進んでるというのが現状でぶつかり合ってだからこそみんながもうののしり合うような経験をしてそれが改革のエネルギーになって進むというのをこの地域もやっぱり経験してます。
はい。
今後ありむらさんはこの町をどういうふうにしていきたいですか?この町の一番の良さを引き継ぐこと。
良さというのはねこれも皆一致してるんですけど「包摂力」なんですよこれは。
全国からいろんな人たちが人生の終着点と言われるようなところでねやってきます。
でもどんな人でも受け入れてもらえるしそれなりに生きていける町なんですよね。
この町ではそういうね支援の体制であるとか試みとかですねそういうのがいっぱい行われてるわけですからそういう意味でこの…この地域はですねあの〜意味があると思います。
う〜ん。
又吉さんと鈴木先生は再び町へ。
ここは地域の変化が最も現れている場所だといいます。
ここがですね簡易宿泊所街といいまして1泊1,000円から2,000円ぐらいで泊まれるようなまあ簡易宿泊所というところがまあ軒を連ねている通りです。
そしてここにはですねお弁当屋さんがこの辺にあったりとかですねそこに銭湯がありますけども。
それからコインロッカーとかですね。
ですから労働者にとって便利なものが集中していると。
西成区のあいりん地区には日雇労働者向けに3畳一間素泊まりの宿が立ち並んでいます。
その周辺には銭湯や安くてボリューム満点なお弁当屋さんなど労働者の生活を支えるあらゆる施設がそろっています。
しかしバブル崩壊で仕事を失い簡易宿泊所に泊まれない労働者が増えました。
客を失った簡易宿泊所は存続の危機に陥りました。
ええこの辺り簡易宿泊所街と言ったんですが中にはですね福祉アパートと書いてるようなこれは何かと言うとですねホームレスになった日雇労働者たちが生活保護にかかって住むアパートというのが福祉マンションなんですね。
で実は大阪市の規則でですね簡易宿泊所では生活保護受給者は受け入れられないというそういう規則があるんです。
そうなんですね。
はい。
2000年ごろおよそ200軒あった簡易宿泊所の半数が経営を成り立たせるために福祉アパートへ業態を変えました。
看板からは「ホテル」の文字が消えていきました。
そして入居者の生活支援を行う「サポーティブハウス」という施設が生まれました。
ここに日本が抱える高齢化対策のヒントがあるといいます。
はじめまして又吉です。
西口です。
よろしくお願いします。
お願いします。
オーナーの西口宗宏さんです。
ここでは90人が生活しており平均年齢は70歳。
入居者をサポートするため玄関にスタッフを24時間常駐させています。
やっぱり徘徊とか認知とか出られたら帰ってこれなくなる人いてるんで。
そこに声かけしてっていう形で。
へぇ〜!これがね安否確認票ってやつで。
はい。
あの顔見たら丸を付けて2日顔見ないとお部屋訪ねますという形で。
はい。
それ以上すると嫌がられるので。
なるほど。
それぐらいの距離感で。
はい。
やりすぎず最低限のサポートをするっていうことなんですね。
お薬も朝昼夜。
はい。
何を飲むかっていうのを。
はい。
へぇ〜!これは安心ですね。
なぜサポーティブハウスを始めようと思われたんですか?ああそれねあの私簡易宿所をやってたんですけど4年ぐらいたった頃にもうホームレス野宿の人が大阪で8,700名近く出てると。
結局僕ここの簡宿の息子として生まれてその人らのお金で生活させてもらって大学も行かせてもらった。
その人たちが道で寝てるっていうのをこれは何とかできないかと。
僕にできるのは部屋の提供をどないできるという発想ですよね。
そっからです。
へぇ〜!子供の頃労働者の方にかわいがられたりすることあったんですか?はい。
まあいろんなとこでこの話するんですけどねまあそのころ帰ってきたらお風呂入りはるんやけど玄関で待ってるんですよ。
「兄貴一杯行こうか」って声かけるんです。
僕幼稚園なんですけどね。
そしたら「ちょっと待ってな」って。
家の食べ物よりええとこ連れて行ってくれるから。
(笑い声)家の食べ物嫌やから必ずそうして玄関で待っとくんです。
へぇ〜!そうやって育ててもらいました。
そういう経験があると確かに今皆さんがねご高齢になってきてなんかこう場所をね作りたいという気持ちがこう湧いてくるというのも分かりますよね。
スタッフも今10名いてますけど今昼おるスタッフはみんなこの町生まれなんです。
へぇ〜!サポーティブハウスというのはですねこの地域で西口さんをはじめとする方々が先駆的に始めて独自の発展を遂げたということなんですが実はこういう高齢者との関係づくりとか接し方というのはこれから実は日本の他の地域がどんどん高齢化してった時に非常に役に立つヒントがあると思うんですね。
今都市部ではですね「サービス付き高齢者住宅」というのがどんどんできていてやっぱり独居老人なんか孤立しちゃってるんですね。
施設に入っちゃうともう全部面倒見てもらう。
だから個人が生きるようなちょうどいい接し方ってなかなか無いんですね。
私思うのはそのいろんな支援があるのもいいかも分かりませんけどあまりこう手を出さない方向でで必要となった時にはやっていきましょうっていう。
でないと…でコストもかかるし本人が使えるお金も少なくなっていく。
それって面白くないなと。
そうですね。
はい。
でもホンマの憩いの場は風呂なんですよね。
お風呂ですか。
はい。
スタッフいてないでしょ。
私もいてないでしょ。
みんなないしょの話は風呂でしてると思いますよ。
なるほど。
はい。
入居者のプライバシーを尊重し最低限のサポートを心掛ける西口さん。
入浴もなるべく個人の力で行ってもらうといいます。
入居者はほとんどが単身者。
孤立しないようにと「談話室」も作りました。
入居者同士の交流が生まれています。
さっきね安否確認もやってるっておっしゃってましたけどそういうのがある中でも自分で自由に行動できて1人の時間もあってなんか誰かと話したいなと思ったら下おりてきたらおるっていう。
こういう環境はいいんじゃないですかね。
いや自分自身がそういう環境で年老いたときにおりたいなと思って。
ああそうですよね。
はい。
改めてこの地域で起きたことっていうのを振り返りますともともと日雇労働者がホームレスになって生活保護になった。
で簡易宿泊所はこういうサポーティブハウスとか福祉アパートというものになって彼らを受け入れたという意味では町の様子は随分変わったというふうに言えるわけですけども実は登場人物は変わってないんですね。
そうです。
これが実はすごく重要なことで改革というと全く新しい制度を外から取り入れてガラガラと変えちゃうというイメージがあるんですが…そういう改革の無理のない改革というのが非常に大きなポイントでこの地域の1つのモデルですね。
簡易宿泊所街ではもうひとつ大きな変化が起きています。
こちらの宿。
中に入ると…。
なんと外国人がいっぱい!労働者向けの宿から「国際ゲストハウス」へと生まれ変わったのです。
実はあいりん地区はJRや私鉄地下鉄が乗り入れる交通の要衝にあります。
この利便性の高さを簡易宿泊所がインターネットでアピールしたところ2005年ごろから外国人旅行者が訪れるようになりました。
今や年間なんと20万人!更に…。
(星野)まさに大阪でしか体験できないようなですね風景光景人の文化がですねあふれている場所だと。
日本を代表するリゾート運営会社があいりん地区のすぐそばに20階建て600室を超す大型ホテルを建設すると発表したのです。
その大型ホテルが計画されてるというのは正直驚いたんですけど旅行者が更に増えるってことなんですかね?そうなってもらえばありがたいですよね。
だからあの簡易宿所安宿の…私組合の理事やってますけど皆さん反対ないです。
ああそうですか。
いろんな形があって…う〜ん。
片や2万円。
1泊2万円取ってくれるとこもあればうちみたいに1泊2,000円もあるし。
ここに来たら何とかなるよねって思ってもらえる地域になるのはいいことなんで。
よく考えてみたらここは電車も通ってますし交通も便利というところなのでもともとこういうホテルが投資するという意味ではポテンシャルは高かった地域だと思うんですね。
はい。
非常にポテンシャルの高い地域なのにもかかわらず……っていうのが大きかったんじゃないかと思いますね。
こういうのはですね経済学では「ホールドアップ」と言うんですけども投資をして…した途端後ろからホールドアップっていうのは「手を上げろ」ということですね。
頓挫する。
そういう心配が無くなってきたというのがひとつこういう投資がぼちぼち出てきた大きな経済学的な背景だというふうに思います。
まあその話的にはそのとおりやと思うんですけど要するにここが平和に見えるようになってきた。
だからこの町の物件を買う人が増えてきた。
これも確かなんです。
いろんな人が入ってきた。
でもね……っていうのは残るんですね。
ああ。
この町が変わっていくっていう事に対する反対論というのは根強くあります。
そういう方々がおっしゃるのは「ジェントリフィケーション」というんですけどもこの星野リゾートみたいなのが出てくると地価が高くなって今住んでいる弱者の方々がですね住めなくなってしまうんじゃないかと。
だから駄目だという論理なんですけども。
そこで話し合いできるという場所があるかないかやと思うんです。
この町にはあるんです。
大きなネットワークがあってそこにみんなが参加して話すると。
興味ない話は別に参加せんでええと。
そういう集まりがあるので。
そうですね。
外からだけになっちゃうとどこもかしこも似たような町になりますもんね。
この町の歴史とかそういうなんやろどういうふうに発展してきたのかというのを踏まえた上でなんかこう次の展開へ移行していけたらいいですよね。
外の人は興味を持ってくれるようになりましたけど中の人がもっと元気になって未来を自分らで考えるためには何が必要というのを次ホンマに若い労働者の人であったりこれから海外の労働者も来るかも分からん。
ここで子供を産んで生活できるスペースっていうのも用意していかなあかんやろうし。
だからどうなってほしいんじゃなくってもっと多面性を持っていかなければあかんのかなと。
ほんで懐の優しいセーフティーネットというのを持ったままそれをつなげてくれればいいかなと。
なるほど。
又吉さん今日は一日あいりん地区を町歩きをしてきましたけどもどういうご感想をお持ちですか?そうですね。
やっぱりあの僕が今まで思ってたイメージとは全然違いましたね。
あとなんかぬくもりをすごく感じました。
ここは町をつくるに当たってまあみんなの声をちゃんと拾おうとしてるじゃないですか。
それがすごくすばらしいなと思ってて。
どうしても誰かの声が無視されるってことがねよくあるんでどの町も見習っていくというかねやってもらいたいなと思いましたね。
はい。
2017/10/25(水) 22:00〜22:45
NHKEテレ1大阪
オイコノミア「生まれ変わる“西成” 地域再生の経済学」[解][字]

大阪西成のあいりん地区が激変。かつての日雇労働者の町が「地域再生」モデルとして全国から注目され、視察が相次ぐ。いったい何が起きているのか、又吉こん身のレポート!

詳細情報
番組内容
日本3大ドヤ街の一つ、大阪西成のあいりん地区。大阪出身の又吉は敬遠し一度も訪れたことがなった。ところが今、かつての日雇労働者は高齢化して街は穏やかになり、外国人旅行客で大にぎわい。今回又吉を案内するのは、西成を知り尽くす経済学者、学習院大学・鈴木亘教授。ホームレス研究20年、西成の改革に奔走した鈴木さんは、経済学の考え方を生かした「地域再生」のモデルという。全国の自治体が注目する“西成”とは…
出演者
【出演】又吉直樹,【解説】学習院大学教授…鈴木亘,【語り】朴ろ美

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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日本語(解説)
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